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No.S 〜数字が刻まれた部隊〜  作者: 鬼子
No.2 『闇に潜む者』
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2 『邪魔者』

 空港に着くと、ある待ち合わせ場所に人が立っている。

 変な気持ちの悪い人形の前だ。

 目がぎょろっとしていて、デメキンのような眼球を持った人の形をした置物だ。

 ご丁寧に150センチくらいで作ってある。


 気持ち悪い。


 その人形の前には白髪の男性がいる。

 身長は170越えだろうか。 かなり高く見える。

 清潔感溢れる服装で、お洒落には興味がない俺でもすぐにわかるくらいの清潔さだ。


「白銀さんですか?」


 俺が声をかけると、ビクッと身体がはねて反応した。


「そうですけど・・・神楽さん? その格好は・・・」


 俺の服装をじっくりと見る。

 軍服だからな。ワンチャンコスプレとして通らないだろうか。


「逆に目立ちませんか?」


 確かに、先程から注目されている。

 小さい子には指を差される始末だ。 ここに来るまでもかなりの注目を集めていた。

 アイドルとは、こんな気分だろうか。


「正装なんですよ。これが」


 ため息混じりに言う。

 軍服を着ていれば、何かしら役に立つだろう。

 神宮寺にはかなり文句を言ってしまったが、使えるものは使わせてもらう。


 ところで、金属探知の検査とかあったら武器はどうしよう。鉄製だから反応してしまう。


 まぁ、気合いでやるか・・・


「じゃあ、行きますか」


 俺は白銀と歩き出した。

 かなりの人が歩いているのに、みんなこっちをみる。


「服装・・・ミスったかな・・・」


 飛行機乗る前に確保されなきゃいいけど、ここまで見られてると逆に警戒されそうだ。 通常はしなくていい検査までやらされるかも。 俺も、警戒しながら歩かなくてはならない。


 そのとき、白銀が急に立ち止まった。


「白銀さ・・・」


 白銀が見てる方向を見ると、同じ軍服を着た少年が目に入った。


「マズったな・・・」


 皇だ。

 これだけの人間が歩いてるせいか、気配は感じ取れなかった。


「知り合いですか?」


 白銀が落ち着いた様子で質問をしてきた。


「同じ部隊の奴です」


「なら、相手もナンバーズ・・・」


 俺はゆっくりと白銀の前に出る。


「白銀さん、下がって」


 白銀を安全な距離まで避難させた後、ホルダーから銃を抜き、天井に発砲する。


 突然の銃声に驚き、一般人はその場を離れる。

 叫び声と、慌ただしい足音。 それが鮮明に聞こえるのか、皇は眉を歪めた。


「湊さん・・・神宮寺さんからの命令で、帰ってきてもらうっス。力尽くも許可が出されてるんで、殺す気でやるっスよ」


 多少は騒がしい空間だが、何故か皇の声ははっきりと耳に届いた・・・

 警備員が集まり、俺たちを囲う。


「湊さん、あなたは有栖川にも勝てなかったっスよね?部隊で一番弱いあなたが、俺に勝てると思ってるんスか?」


 皇が言うことは正しい。

 弱者が強者に勝てるはずがない。


 でも、友人が襲われてそれどころではない。


「見逃してくれないかなぁ?」


「無理っスね」


 俺は柄を握り、思い切り振る。

 そうすると、金属音と共に刀が出てきた。


「すごい・・・」


 背後から小さな声で白銀が言った。

 やっぱその反応か・・・


「出来ればやりたくなかったんスけど・・・」


 皇も武器を構える。

 ナンバーズどうしの戦闘はどれだけの被害が出るかわからない。

 ここでやって問題ないか?


 そんな時、皇が武器を下ろした


「何してる?」


「いや、戦うのを辞めるんスよ・・・」


 皇はため息をつきながらそう言った。

 スマホを取り出しどこかに電話する


「やめます、無理っスよ・・・仲間を攻撃なんて、少年漫画じゃ、仲間と手を取り合って助け合うもんじゃないスか・・・それに・・・」


 皇は電話の向こうにいる人間に言っている。

 少年漫画がどうとか、能力があってもやはりそこは子供だ


「今の湊さんに・・・」


 そう言いながら皇はこちらを見つめる。

 そして、低い声で言った。


「勝てる未来が見えないんスよ」


 皇はそう言いながら話す。

 突如としてこちらに視線を向け、スマホを放り投げてきた。


 俺が受け取ると、スマホを耳に当てるジェスチャーを皇がした。


 指示に従い、スマホを当てる。


「はい」


「馬鹿者が、空港で騒ぎを起こしてどうする」


 神宮寺の声だ。


「すいません?」


「なんで疑問系なんだ。お前達ナンバーズはまだ未知ばかりなんだ、各国が共存か虐殺かの議論をしている時に問題を起こすんじゃない」


 そう言うのは先に言えよ・・・いや、確認しなかったのも悪いけどさぁ。


 スマホの向こうで神宮寺がため息をつきながら言う。


「まぁいい、飛行機に乗れるように手配しといた。身分証はあるだろう?見せれば通してもらえる。 それと、皇を連れて行け」


 皇を?何故だ


「いいのか?」


「構わない・・・これは皇の願いだ。全力でお前を制止するが、もし出来なかった場合はついて行きたいと・・・皇が戦わずして矛を収めたんだ、この化け物め・・・」


 確かに、皇の瞳や、纏うオーラは殺気が溢れていた。確実に殺すつもりだったのだろう。

 矛を収めた理由は・・・わからない。


「ありがとう」


「あーあー、感謝はいい。行け。初任務だ、市民の安全の確保と、ナンバーズの確保、出来ない場合は殺しても構わない」


 淡々と神宮寺が言った。

 皇が近づいてきて、ニヤニヤしながら言う。


「じゃあ、行きますか」


「お前らが邪魔者にならなくてよかったよ」


 俺がそう言うと、皇の笑顔が引き攣った

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