落ちたその先で
「メイ様、掴まってください!」
「アレン!」
メイは思わずアレンを抱きしめる。
その途端、船はさらに大きく傾き、体勢を崩した2人は船外に投げ出された。
アレンは、メイを庇おうとしっかりと抱き抱えたまま海に落ちたが、2人とも衝撃で気を失った。
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空が青く、波の音が聞こえる。
体が冷たい。動かない。
ここは、一体...?
「ーーーメイ様!!!」
「アレン...?」
声がした方を横目で見る。びしょびしょのアレンがいる。メイは泣いているアレンを見るのは初めてだった。
「メイ様、よかった...」
「私たち、助かったの...?ここはどこ...?」
「私にも、わからないんです」
落胆した様子でアレンが答える。
思わずアレンの頭を撫でようと、動きにくい腕をなんとか持ち上げてアレンの頭に置いた。
「大丈夫、なんとかしよう。」
「動けない人が言うセリフじゃないですよ。」
アレンは少し笑ったあと、周囲を散策してくると立ち上がり、走っていった。
「本当、動けない人が言うセリフじゃないわね...」
自嘲の笑みをメイは浮かべながら、やってきた眠気に抗えず眠りについた。
しばらくしてアレンが戻った。
眠っているメイをみてまさかと大慌てしたが、眠っているだけということを確認した後は黙々と焚き火を起こし、メイのための風除けを作った。
焚き火や風除けを作りながら、アレンは自分の生い立ちを思い出しながら初めて感謝した。