46話。エピローグ。グリゼルダの誓い
【★☆★★☆★大切なお知らせ☆★☆☆★☆】
あとがきにて、
この作品を楽しんでくださってる方に向けた、
とても重要なお知らせが書いてあります。
どうか、最後まで読んでくださると幸いです。
【吸血姫グリゼルダ視点】
祝福の鐘の音と紙吹雪が、魔王城のバルコニーから降り注いでおる。
今日はカイ様とコレットの結婚式じゃ。
正装に身を包んだカイ様は、輝く程にカッコ良かった。
カイ様に従う魔族たちだけでなく、聖王国から聖王とアンジェリカ王女まで来賓としてやってきておる。
実に、めでたい。実にめでたいのじゃが……
「ぐぅうおぉおおおん! サーシャアァアア!」
「ああっ、よしよし、グリゼルダ様。吸血鬼である私たちの寿命は長いのです。きっとグリゼルダ様にも、今後、素敵な男性が現れますよ」
「そんな訳なかろう! カイ様以上の男など、未来永劫現れんのじゃ!」
わらわは会場の隅っこで、号泣していた。
「……それは確かにそうですが」
カイ様はわらわにとって初恋の男性じゃった。
周りの者たちは、わらわが嬉し泣きしていると思っておる。
「わかりました。今はとにかく、泣きましょう。泣いて、気持ちをスッキリさせるしかありません」
サーシャが、わらわの頭を撫でて慰めてくれる。
「カイ様! カイ様に従わないオークどもを服従させて来ました。私に私に、領地を下さい!」
「エルザ、ご苦労だった。じゃあ次は、西にいる火竜王アドラヌスを退治してきてくれないか?」
「はぁあああ!? いや、ちょっと、アレをまさか1人でぇえええ!?」
エルザが、カイ様に無理難題を吹っかけられて絶句しておる。
カイ様を魔王と認めない魔族を従属させるために、エルザは働かされていたのじゃ。
戦場からトンボ返りのエルザは、ひとりだけ軍装で浮きまくっていた。
「カイ、おめでたい日なんだから、彼女も休ませてあげたら……?」
「やったぁ! 奥方様、そうだよね!? という訳で、カイ様、ぜひ領地を!」
「まだグリゼルダの家臣たちは、エリザを許していない。もっと手柄をあげてからだな」
「はぅうううッ!?」
エルザはコレットに取り入ることで、魔王軍での地位を得ようとしているようじゃった。
抜け目の無い娘じゃな。
しかし、カイ様はエルザを信用していないので、手厳しい。
「だが、働きは見事だった。今日は休んで良いぞ。いずれ領地をやるから、励んでくれ」
「はぃいいいッ! やったぁ!」
エルザは言質を取ると、スキップせんばかりに喜んで離れて行く。
「いずれですか……ふふふっ、カイ様もお人が悪いですね。いつになることやら」
サーシャは微笑ししつ、酒をわらわに注いでくれた。
含みのある言い方じゃが。もしや、エリザが領地を与えられるのは100年後とかかの……?
「では、グリゼルダ様! 今日は、とことん飲みましょう!」
「うむ……ッ!」
カイ様の幸せが、わらわの幸せじゃ。
わらわが奪われた大切なモノを、カイ様はすべて取り返してくれた。
カイ様が現れなかったら、わらわは勇者アレスにサーシャともどもなぶり殺しにされていたじゃろう。
なにより、カイ様は、わらわを大切な存在だと言ってくれた。
その一言が、どれほど嬉しかったことか……
胸に響いたことか……
何があろうとも、わらわはカイ様に付いて行くのじゃ。
そう誓って、わらわはやるせない気持ちと一緒に酒をあおった。
『魔王グリゼルダ。お前こそ真の魔王』
その時、わらわの頭の中に、不思議な声が響いた。
「……誰じゃ?」
周りを見回すが、声の主らしき者は見つからない。
『お前が望むなら、お前が欲するモノを手に入れる力をくれてやろう。聖女コレットを討ち、愛しい男を自分のモノにしたくないか?』
「……なんじゃと?」
こやつ、何者じゃ?
わらわが真の魔王とは、何の冗談じゃ?
信じられぬことに、カイ様がやってきた未来では、わらわが魔王になってたそうじゃが……
「グリゼルダ様、どうなさいましたか? もう酔われたのですかぁああ?」
意外と酒に弱いサーシャは、もう呂律が回らなくなっておる。
『お前が魔王となれば、その望みが叶うぞ。さあ、我と契約を……』
「ふんッ! 誰だか知らぬが断るのじゃ。わらわは魔王カイ様の四天王がひとり。そのカイ様をさしおいて魔王になるなんぞ、あり得んのじゃ!」
『……』
「それに、コレットを討つなどもってのほかじゃ。そんなことをすれば、カイ様が嘆き悲しむじゃろう。失せるが良い!」
わららが強く拒絶すると、声は聞こえなくなった。
はて、なんだったのじゃろう……?
「それでは、誓いのキスを……!」
ちょうど式はクライマックスとなり、カイ様はコレットと口付けを交わすこととなった。
ふたりはとても幸せそうじゃった。
わらわの胸がズキンと痛む。
……じゃが、これで良い。
この先、いかなることがあろうとも。
わらわはカイ様の家臣として、お仕えし続けるのじゃ。
カイ様の幸せこそ、わらわの幸せであるが故に……
※※※
やがてカイは世界を統べる史上最強の魔王となっていく。
カイには、その覇業を助けた四天王がいた。
グリゼルダは四天王筆頭として、いついかなる時も先頭に立ち、魔王カイのために戦い続けたという。
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ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます!
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