土曜日 19時00分頃 帰宅。
『メリーさんは今どこに?』の完結から
結構な時間が経過しておりますが
今回、その続編となる作品
『口裂け女が来た日』を連載致します。
『メリーさんは今どこに?』を読んでいない方は
最初に、そちらの作品をお読み頂くと
作品の内容が分かりやすくなると想いますので
よろしくお願い致します。
夜の道。
足を進める先には
電柱の脇に人影が1つ。
少しうつむき加減でその場に立っているようですが
スマホのようなものを見ている訳でもなく
両手は降ろした状態であるところまでは
ここからでも確認が出来ます。
けれど、その人影の顔を照らす画面の灯りも無ければ
外灯の明かりも遠い為、マスクを付けているのは見えても
少し長い髪と周囲の暗さで表情は一切分かりません。
「・・・・・・」
何をするわけでもなく、電柱の影にいる人物。
足を進めるたび、さらに縮んでいくお互いの距離。
少し違和感を覚えながらも、その人物の前を
真っ直ぐ横切り、心の何処かで安心した瞬間。
「!?」
斜め後ろから感じる気配。
明らかに、先程までの位置から数歩は移動し
こちらを真っ直ぐ見られて居る様な
心地の悪い感覚。
「・・・・・・(嫌)」
出来る事なら、今すぐ走り出して逃げたい所ですが
それも出来ずに、平静を装い真っ直ぐ歩いていると
『ねぇ』
「!?」
多少の予想はしてましたが
それは気持ちが整う直前に背後から
声を掛けられてしまい、体が反射的に
その場で立ち止まってしまいました。
『ねぇ? 私、綺麗?』
「・・・・・・!?」
急に、私綺麗? と聞かれても・・・
確かに、スタイルは良かったと思います。
服のコーデだって悪くないと思います。
けど、綺麗って・・・?
『私の顔、きれい?』
「・・・・・・!」
立ち止まらなければ良かった。
聞こえないフリをすれば良かった。
振り返らなければ良かった・・・
唐突に話しかけられた言葉。
綺麗かとの問いに思わず後ろを
振り向いてしまった事を後悔しながら
相手の方を見ると、先程までは物陰で
何も見えなかった顔に周りからの灯りが当たり
表情と言ってもマスクをしているので目元だけですが
一応、表情くらいは確認する事が出来ました。
『私、綺麗?』
「!!!!!」
その言葉から、一瞬で思い出した古い記憶。
現在から約50年ほど前には社会問題にもなりました。
耳元まで裂けた口を隠す大きなマスク。
自分が綺麗かと尋ね、綺麗と答えればマスクを外して
大きく裂けた口を見せ、本当に?と聞き返してくる。
綺麗じゃないと言えば凶器で切りつけられる。
そんな都市伝説の口裂け女。
『ねぇ、私の顔・・・ 綺麗?』
「わ・・・、私の方が! 綺麗に決まってるでしょっ!」
『!?』
「私をっ! 誰だと思っているのよっ!」
両手を腰に当て、胸を張りっ!
なんの躊躇もなく、真っ直ぐな瞳で
相手の目を見ながら言い返しました。
『えっ・・・(汗)』
「私はっ! メリーさんよっ!」
『はっ? えっ!?』
「私の方が美人に決まってるでしょ!」
と、そんな出来事が5分前にあった事を
家の玄関先で、私はメリーさんより
報告を受けている所です。
5分前にそんな事があったという事実を・・・(泣)
「それでっ!? メリーさんっ!」
「なにかしら?」
「なんで私の家に連れてくるの!?」
「なんでって当然の事じゃない」
この思考が人類の遙か斜め上を行く
都市伝説のフランス人形っ!
俗に言う『メリーさん』ですが。(本物です・・・)
とりあえず、メリーさんの都市伝説内容としては
とある少女が引越しの際に古くなった外国製の人形を
ゴミに捨てたのですが、その夜に電話がかかってきて
少女が電話に出ると
「わたしメリーさん 今ゴミ捨て場にいるの・・・」
とだけ言って電話は切れ
また暫くして電話が掛かってくると今度は
「わたしメリーさん 今タバコ屋さんの角にいるの・・・」
そんな電話が何度か繰り返された後
引っ越した家の前まで来たと告げられ、最後の電話で
「わたしメリーさん 今 あなたの後ろにいるの」
と言った具合に、捨てたハズの人形が戻ってくる
お話なのですが。
「で? こちらの方は?」
「あなたは知らないのかしら?」
『く、口裂け女です・・・』
「いや、それは知ってますけど?」
「なら良いじゃない」
『お世話になります』
何が悪かったのでしょうか?
誰が悪いのでしょうか?
夕飯の買い出しをメリーさんに頼んだ私?
メリーさんと知らず声を掛けた口裂け女?
口裂け女を連れてきたメリーさん?
一体、どうしたら良いのっ!?
「あの・・・ メリーさん?」
「何かしら?」
「私のお家、っていうかこのマンションですけど」
「ココ?」
「シェアハウスじゃないんだけど?」
「はわ?(ぽか~ん)」
一応、セキュリティとかの問題もあるし
居住者以外を簡単に建物内へ入れてしまうのは
ちょっとダメだと思うのだけど・・・
「とりあえず、今日は特別に許しますけど」
「ありがと♪」
「それで、口裂け女さんは?」
『はい?』
何となく、察しは付きますが
どうして来てしまったのでしょうか?
私の家に・・・
「口裂け女さんの目的は何ですか?」
『目的は・・・ 人間を驚かす事で・・・』
「つまり、メリーさんと同じ経緯ですか?」
『はい・・・』
メリーさんと同様、口裂け女さんも都市伝説のひとつ。
伝説は形の無いものだから、人々に語り継がれる事でしか
存在が保てないので1人でも多くの記憶に残す必要が
あるそうです。
初の続編作品となりました。
タイトルとか全く違いますが・・・
『メリーさんは今どこに?』の続編!
と言い切ります♪
シリーズ化と言うのが本来なのでしょうか???
けど、今はまだ続編と言う事で
お許し下さいませ。