第九話 ヒロイン見参
第九話 ヒロイン見参
サイド 矢橋 孝太
土曜日、ふとテレビをつけると相変わらずダンジョンや使い魔の事一色だった。
『使い魔の使役は憲法九条に違憲する』
『そもそもこれは人権に対する』
『エルフなどの存在は人間か否か』
どこかの有名らしい教授達が討論をしている。
『うちのラッフィーちゃんが今日も可愛くって』
『使い魔に着せる服はこれが流行り』
『もうこの子なしじゃいけていけない』
モデルや女優が使い魔自慢や使い魔のファッションショーをやっている。
『今週の目玉はこのモンスター!』
『テレビの前のあなただけに!今から三十分以内にお電話くださればボブゴブリン三体が』
『サキュバスってエロイよね』
どこかの会社がモンスターカードの宣伝をしている。最後のは詳しく見たがやはりサキュバスは高い。
『本日、全米モンスター協会の会長が頻発する使い魔を用いた犯罪について会見を開きました』
『犯罪者は使い魔をつれてやってくる。それに対してどうやって身を守るのか。それは自分も使い魔を持つほかない。銃で武装した強盗も使い魔がいれば怖くない。護身のために使い魔が必要なのです』
『この発言に対しジャクソン大統領は』
アメリカの全米モンスター協会の会長の会見をみて、少しだけ確かにと思った。最近世界中でハンドラーによる犯罪が増えている。なんせ使い魔が無事な間人間は無傷なわけで、しかも使い魔は拳銃程度ならものともしない。そうなると警察も使い魔を使って対応するが、一般人の護身としてもう今までの物は通用しないのだ。
両親の事を考える。もしも自分のいない所で二人が襲われたら?その時両親は逃げられるだろうか。たとえ最下級のモンスターでも、使い魔をもたない人間にはかなりの脅威だ。
早速、両親に使い魔を持たないか話してみた。幸い二人とも魔力量は平均より上なので、大抵の使い魔と契約できるだろう。
「使い魔?考えたこともないねえ」
「防犯としてか……確かに最近物騒だしなぁ」
二人とも少し困惑しているが、わりと乗り気だ。
「もしも二人が使い魔を持つならどんなのがいい?」
「そうだな……あまり大きくないのがいいな」
「そうね、あまり大きいと邪魔になるし」
部屋の端で新聞を読んでいた紅蓮がショックを受けたようにこちらを見る。お前の事じゃないから心配するなと手をひらひらとさせておく。
「確かに、トロールとかだと室内戦で不利だし、かといって小さすぎると今度は接近戦に弱くなっちゃって逃げるとき不安だし……」
なかなか、紅蓮のような完璧な使い魔は思い浮かばない。
「すっかり冒険者ねぇ」
「いや、まだまだだよ。基本紅蓮だよりだし」
これは事実だ。自分は戦略とか考える力はない。
「ま、まだ使い魔はいいかなぁ」
「え、なんで」
「だって高いからなぁ」
父の発言に、そういえばとなる。確かに使い魔、それも他人の使い魔と戦えるだけのモンスターカードとなると、Dは欲しくなる。
「確かに、あんまり安いのかっても防犯では意味ないかもしれないしねぇ」
「うーん」
とりあえずこの件は保留となったが、自分に一つ案があった。
その次の日、朝からDランクダンジョンに来ていた。ただし、前に言ったところとは別のところだ。
このダンジョンは木造風の内装をしたダンジョンで、主にキキーモラとフェアリーがでるのでかなり人気だ。なんせどちらのカードも欲しがる人はたくさんいる。自分もその為に来たのだ。
両親の護衛としてどちらのカードも有用だ。しかし、どちらも前衛には向いていない。そこで、この二体のカードを入手した後今まで貯めた分を使って前衛用に他のモンスターを買うつもりだ。本当はサキュバスやエルフ(女)を買うための資金だが、両親に何かあっては目も当てられない。
二人は高校生の子供に高額のカードをプレゼントされたらいい顔はしないだろうが、ダンジョンでたまたまドロップしたのを渡すだけという体でいけば何とかなるだろう。
そうしてダンジョンに潜っていく。
モンスターとして現れるキキーモラは最初っから狼の頭で如何にもクリーチャーだし、フェアリーの方はぱっと見光の玉に見えるから精神的にはそこまで苦ではない。なので、今日は一日かけてこのダンジョンでひたすらモンスターを狩る。
このダンジョンは人気なだけあってDランクのわりに情報が出回っている。大変危険なダンジョンだと。
フェアリーもキキーモラも前衛としての能力はない。どちらも支援型だ。しかし、このダンジョン自体が危険なのだ。
トラバサミに落とし穴、毒塗りの仕掛け弓とひたすら足止め系の罠が所狭しと設置されている。そして、動きが止まったところを遠距離からモンスター達が魔法で攻撃してくる。しかも足元に注意して歩いていると、上からフェアリーが攻撃を仕掛けてくるというひたすらまともに戦えないダンジョンだ。
しかし、それでも魔眼の力と紅蓮がいれば何とかなる。
罠を魔眼で回避するか紅蓮の力技で突破しながら、モンスターを時に切り裂き、時に焼き払う。
前回といい今回のダンジョンといい、火を使うのが危なそうなダンジョンだが、そこは精霊が使うファンタジーな炎。紅蓮の意思一つで消火できるからバンバン使っても問題ない。酸素を燃やしていないのかわからないが、今のところ近くにいて息苦しいとかもない。
ファンタジーな存在といえば、焼け焦げた壁や砕けた地面は気が付けば修復されている。それがダンジョン百不思議の一つである。不思議が多すぎて七つどころか百超えていると研究者の人達がはげそうになっているともっぱらの噂だ。
午前中いっぱいかけて手に入ったのは魔石が合計二十七個、キキーモラのカードが一枚である。
一度ダンジョンを出て休息し、午後一でまた入る。電車でそこそこ離れた位置にあるダンジョンなので、そう何度も来るのは時間的に無理があるからだ。親には今日ちょっと大きな街に買い物に行くと伝えているのだ。一日ダンジョンに潜っていたとか危険すぎると怒られる。
それにしても、自分達はかなりのペースでダンジョン内を回っていると思う。人の少ない深い階層に降りていき、ひたすら狩り続けるが、紅蓮のおかげで戦闘時間がほぼない。罠への対応の方が時間かかっている。
危険と言われているダンジョンといえど、一番危ないのは罠と不意打ち。これらを無力化できる魔眼と紅蓮がいればこの無茶苦茶な行為もなんとかなる。
しかし、慢心はできない。相手の数が多いときは油断なくバフを使い、周囲への警戒はおこたらない。ここは、命を懸けた場所なのだ。
夕方になり、ダンジョンをでる。今日一日で目標を達成できるか不安だったが、結果は大成功だ。
そろそろ帰らなければという時にようやくフェアリーのカードが落ち、帰ろうと思って進んでいたところ戦ったキキーモラがカードを落としたのだ。これでキキーモラ二枚にフェアリー一枚。最高の結果と言っていい。
二枚は両親に契約してもらうとして、一枚は売らずに自分が契約しよう。買うと高いし、流石に紅蓮のみで敵の殲滅と自分の護衛は大変になってきた気がするし、保険は多い方がいい。
カード三枚に加えDランクの魔石が合計三十八個。クエストは受注していないが、魔石だけでもかなりの儲けになる。相場を考えれば四十万は超えるだろう。
受付を済ませて出ようとすると、出てすぐのところで高校生ぐらいの少女が出入りする冒険者に声をかけていた。
「すいません、フェアリーのカードを売ってくれませんか?使い魔が死んでしまって、分割で買わせてほしいんです!」
カードの売り買いは基本一括だ。いつ収入源がなくなるかわからないダンジョン業界はローンをあまりくめない。それに、わざわざ監視カメラのあるダンジョンのスーパー付近で組合を通さない売り買いを申し出ているあたり、考えが足りていないか怪しい人かだ。個人的には後者だと思っている。美少女でファッションも知識の薄い自分でもなんとなくわかるぐらいガッツリきめている。自分の価値をしっかり把握しているタイプだ。
きっと快くカードを売ろうとしたら騙されるかバックレられるのが落ちである。僕は詳しいんだ。あからさまに助けを求める美少女を信用してはいけない。
かといって出入り口は一つ。通る冒険者も迷惑そうにしつつも遠目に見るだけでどっか行ってほしいとは言えない。下手すると自分が悪役にされる。
そうこう考えていると、ダンジョンストア(ダンジョンの入口を囲う店舗の事)の女性店員が注意しに行った。数分程口論のした後、少女は先ほどまでの儚げな様子はどこに行ったのか、鬼の形相で歩いて行った。
内心女性店員さんに喝采を送る。店員さんは周りに小さく会釈した後、そそくさと店に戻っていった。
ストアをでて駅に歩きながら、あの少女の事を思う。漫画やアニメなら主人公が声をかけて問題を解決し恋愛フラグがたつところだが、現実でそうそうそんな事は起きない。起きるならぜひ遭遇したい。主人公として。
まああの少女は漫画に出てくるヒロイン的なものではないだろう。去っていく時に周囲をぐるりと睨みつけた眼光は堅気に思えなかった。正直ゴブリンより怖い。
家についた時はもう暗くなっていたので、前衛のカードを買うのは別の日にした。
後日、学校から帰って私服に着替え、隣街のカードショップへ向かう。住んでいる町にもショップはあるのだが、クラスメートにあうと厄介なので避けた。
カードショップは見るからに強そうなガードマンがいる宝石店のような作りをしている。売っているものは最低でも十万はするものだし、犯罪に利用しようと思えばいくらでもできるのだから当然ともいえる。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」
入ってすぐに、にこやかな中年の店員さんに出迎えられる。たぶん、警戒されているし値踏みされている。普段着の高校生がこんなところに来たら当たり前の対応だ。
だからさっさと相手の心配を解決することにした。
「今日はカードを買いに来ました。一応、冒険者ライセンスをお見せした方がいいでしょうか」
緊張でちょっと早口になってしまう。なんかいかにも『高級な品を扱ってます』って所は来た経験はほとんどないし、自分だけで来た事も一度もないのだから仕方ない。隣に紅蓮でもいれば緊張しなくて済むのだが、流石にここで出すわけにはいかない。
ライセンスのランクを見た店員さんが少し目を見開き、すぐに元の表情に戻る。
「ありがとうございます。ではこちらへ案内させていただきます」
店員さんが一瞬だけ入口の方を見る。気になって視線を追うとガードマンの人が最初見た時の姿勢に戻るところだった。どうやら自分は予想以上に警戒されていたらしい。まったく気づかなかったのでちょっと冷や汗がでた。
店員さんに促されるまま椅子に座る。椅子も明らかにいいものを使っていて落ち着かない。
「カードをお探しとのことですが、どういった物でしょうか」
「室内戦もできるタイプの前衛を二体探しています。キキーモラやフェアリーのサポートを受けて戦うのを前提とした奴で、できればDランクのもので二枚合わせて百五十万以内でお願いしたいんですが」
店で聞かれたらとりあえず情報を全ぶっぱすると決めている。店員さんの方が詳しいだろうし、駆け引きとか自分には無理だ。
「それでしたら、こちらのカタログにあるカードなどどうでしょう」
数秒でカタログが出される。早い。
カタログを店員さんの説明を受けながら見ていく。三十分ほどかけて選んだのは『リビングアーマー』二体だった。
リビングアーマーは空洞の鎧型のモンスターで、ランクはD。頑丈でサイズも人間と変わらず、防御力に優れている。値段は一体四十万円。
丁寧に店員さんに見送られながら店を出る。カードはお代が指定の口座に入金されてから郵送で送られてくる。配達日を次の休みに指定したので、母じゃなく自分が出るよう注意しなければ。冒険者になるとき自分の口座を作っておいてよかった。これなら両親にばれることはそうないだろう。
そして次の土曜日、カードが届いたので早速両親にプレゼントすることにした。
父にはフェアリー、母にはキキーモラとそれぞれリビングアーマーのカードを渡した。
「え、あんたこれモンスターカードじゃない!高かったでしょう、買ったの?」
「いや、ダンジョンでドロップした奴だよ。だから金額は気にしないで」
リビングアーマーについては嘘だがフェアリーとキキーモラは本当なので半本は真実である。
「けど、高額なのは事実だろう?それをもらうわけには」
両親とも予想通り渋るが、ここで引くわけにはいかない。というかもう買っちゃたので貰ってもらうほかない。
「いや、お願いだから貰ってほしいんだ。最近物騒でしょ?警察も頑張っているけど限界はあるし、正直犯罪に対応しきれていない。自衛のためにも、使い魔は持っておいた方がいいって」
それから十分ほど粘ってようやく貰ってもらった。
「じゃあ、二人ともカードに血を垂らして」
「ちょっと怖いな」
包丁で指先をちょっと切り、血をフェアリーとキキーモラのカードにつけた後すぐ絆創膏をはる。消毒が先かもしれないがこれぐらいならいいだろう。
血をつけてすぐ、変化はおきた。カードが光だし、徐々にモンスターの姿をとっていく。
光が収まると、そこには二体の使い魔がいた。
「あなたが、私のご主人?よろしくおねがいしまーす」
フェアリーの方は、背中に半透明な羽の生えた体長十五センチほどの緑色の髪を結った妖精だった。フェアリーの性格は活発かマイペースの二択らしいのだが、父は後者を引き当てたらしい。
「キキーモラです!よろしくお願いします、奥様!」
元気に挨拶したキキーモラは金色の髪をボブカットにしてクラシックタイプのメイド服を着たロシア系美少女だった。足先が鳥な以外人間と見分けがつかない。それにしても老婆の姿でなくてよかった。あれは例外とはわかっていても、つい心配してしまうのだ。
「えっと、よろしく?」
「あら、かわいらしい。こちらこそよろしくね?」
どうやら二人とも初対面の感想は悪くないらしい。
ついでだから、自分もキキーモラのカードと契約することにした。
「あら、あなたも契約するの?」
「うん。紅蓮がいるとはいえ安全の為にね」
それもあるが、美少女メイドである。これに興奮しない男はいない。二人ほど知っているけどあれらは例外だ。
しかし、その前に恐怖のあまり祈りをささげる。
「そこまで怖がらなくても」
「冒険者って言っても刃物はこわいものねぇ」
怖がっているのはそちらではない。万が一、自分も佐藤のようにレアケースを引き当てないか心配しているのだ。
カードは契約者によって容姿も性格も変わるし、記憶も契約ごとにリセットされる。なので、ここで文字通りババを引くという可能性はある。
「美少女こい美少女こい美少女こい」
「こ、孝太?」
両親の心配をよそに包丁で指を切る。わりとガッツリいったがすぐにスキルで治ったので無視である。
カードに血をつけると光りだした。お願いだから美少女こい。できれば胸の大きな美少女こい。
光がおさまりそこにいたのは、
「お初にお目にかかります。ご主人様、今後ともよろしくお願いいたします」
「っっっっいよっしゃぁ!」
まごうことなき美少女がそこにいた。
母のキキーモラが小学生ぐらいなのに対し、こちらは中一ぐらいの身長。美しい白銀の髪は頭の真後ろで一本にまとめられ、顔立ちは理知的な印象を与える。メイド服に包まれた体は小柄だが、それでも見た目年齢にそぐわぬスタイルの良さである。特に胸の大きさは成人女性の身長ならDぐらいだろうが、身長もあって更に大きく見える。
「こ、孝太?」
両親の存在を思い返し、ゆっくりとそちらを向く。
二人とも、子供の部屋でエロ本見つけたみたいな顔していた。
「ん、んん!そういえば、これ買っておいたんだ」
そういって前に買っておいたキキーモラ専用のスリッパを母と自分の使い魔に渡す。キキーモラは人気の使い魔だが、膝から下、あるいは足首から下が鳥の為、フローリングの床を傷つけやすい。そのためのスリッパだ。
「ありがとうございますご主人様」
「大切にします坊ちゃま!」
坊ちゃまって思ったが、そういえば三人にまだ名前をつけていない。
「そういえば、名前つけなきゃ」
「それもそうね。たしか名前の縁起が書いてある本が」
「孝太の時のだろう?洋風の名前の方があいそうだし、ネットで検索しながらの方がいいんじゃないか?」
そうしてわいわいとスマホを片手に話し合う事一時間、最終的に候補をしぼって本人に決めてもらうことにした。
父のフェアリーは『エルザ』、母のキキーモラが『ドロシー』、自分のが『フェリシア』となった。
三人のステータスを確認したところ、能力値は平均的、スキルの方は三人とも治癒魔法を持っていたが、キキーモラ組が生活魔法、エルザは電撃魔法をもっていた。母の護衛としてドロシーに攻撃魔法がないのが不安なので、取って置いたスキルカードを渡すことにした。
「いいの?それも高いんでしょ?」
「いいって、これもダンジョンで拾ったやつだし」
押し付けるようにスキルカードを母にわたし、ドロシーに融合させる。
ドロシーはキキーモラだし家事の手伝いもできるだろうし、エルザは私有地とダンジョン以外の場所で使い魔を出すのは禁止されているが、胸ポケットに召喚していればばれない。これなら不意に刺されたり殴られたりしてもダメージはエルザが肩代わりしてくれるし、その程度の攻撃なら実質ノーダメージだから大丈夫だ。
その旨を両親に話したら、発想が物騒と言われた。解せぬ。防犯のためだというのに。防犯と言えば。
「あ、そういえば、リビングアーマーの方忘れてた」
「「あっ」」
その後、リビングアーマーたちと両親が契約し、父の方を『右近』、母の方を『左近』と名付けた。ダンジョンで貯めたお金の半分かけたわりにネーミング雑では?
自室に戻って、フェリシアを召喚する。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
「ああ、いや、一応僕の部屋を見せておこうと思って」
「はい。今後のご主人様の部屋の掃除、洗濯は私にお任せください」
「えっ」
洗濯はいい。だが、掃除はまずい。
彼女やドロシーの持つ生活魔法はかなり便利だ。種火を出せる『ファイア』、大気中の水を集められる『アクア』はダンジョンにもしもこもるときは有用だし、壊れたものを材料さえあれば一瞬で直せる『リペア』は日常生活でもかなり重宝する。紅蓮を初めて家に出した時の床のへこみも、先ほどドロシーが簡単に直してしまった。
「なにか問題が?契約したばかりで信用はないかもしれませんが、メイドとして」
「いや、その、能力を疑っているわけではなくて」
言いづらい。見た目年下の美少女にエロ本見られたくないから掃除はやめてくれなど羞恥プレイかなにかか。
「……ああ、女性の裸が書かれた本など見られたくない、という事ですね」
「ぐぅ!?」
ずばり言い当てられてうめき声がでる。まさか表情でばれるとは。まさか場所まで察せられているか?
「それでしたら問題ありません。主のそういった事について口をつぐむのはメイドの基本。もし必要であれば私も手伝わせていただきます」
「手伝うって、どんな?」
「隠ぺいや封印、使用時などについてでございます」
「しようじ?」
思わず裏返った声でる。使用時に手伝うという事はつまり、そういう事だろうか。そういう意味なのだろうか!?
「そ、その、使う時手伝うって、どんな?」
「もちろん私の体を使ってです。お見苦しいかもしれませんが、精一杯尽くさせていただきます。今から、なさいますか?」
そういって無表情のままコテンと首を傾げるフェリシア。足首から下以外まごうことなきA級美少女だ。この申し出を断れる男は、特殊性癖か同性愛者ぐらいだろう。
生活魔法に防音の呪文があって本当に良かったと思う。この日、僕は大人の階段を上った。




