生あるものの死する妙技
前作天国のきっぷの続編ですが、神か万物の何者かが操っているようなタクシー運転手清川の日常の出来事の数奇な出逢いの運命的な接点なり、理解できない奇妙な経験や想定していない突発的なマイナスの出来事のトラブリなど「私も俺も、UFOに遭遇したよ、九死に一生を得たよ、突然死など神のみぞ知るなど誰しもが経験している奇遇はそれは普通の日常の出来事なようです。タクシー運転手清川の日常から小さな一粒の物質や生命から地球や広大無限な宇宙まで寸分の狂いもなく以心伝心的な運命を共有し動いていると思えざる物語になっております。
生あるものの死する妙技
すべての生命は特に人はその死を迎える時や死してなお不思議な現象を引き寄せるようだ。ある夏の暑い昼前ごろに新御堂筋側道緑地公園辺りで休憩していると彼のタクシーを覗き込む喪服姿の女性が、「このタクシー乗れますか、」と彼に聞いた。休憩時間が終わるまで少し時間があったのでその女性に車の中で涼んでもらった。その間にその女性はタクシーに乗らなければならなくなった理由を彼に愚痴っぽく話し出した。その乗客の話では父親が急に亡くなり葬儀の打ち合わせや段取りのため車を出したところ彼のタクシーの後ろ辺りで突然に動かなくなった。普段は何の支障もなく快適に走っていたのになんでこんな時に故障し止まってしまうんやと困ったと途方に暮れてた時に前方に回送で止まっているタクシーの運転手に様子を伺いながら声をかけたのだった。
「お父さんが車を運転するな、乗るなと言っているんですよ。人が亡くなる時は何かと不思議なことが起こるようですよ。」と彼はその女性客にそう言いながら彼の亡くなった母親や叔父さんたちの亡くなった時に起きた不思議な出来事を思い出していた。彼の母親は四十代の若さで膠原病に似た原因不明の難病にかかり地獄の苦しみをあじわいながらも職人たちの世話をしたり不平の一つも言わず病院に入院するまで火事仕事をこなしていた。その母親が若くして亡くなる三日前に今まで音信不通だった幼友達三人が虫の知らせを聞いて入院先の病院に訪ねて来た。その時はまるでその幼友達は天使のようだった。母親の喜ぶ顔に彼は心で大泣きした。そして亡くなった母親の遺体の周りでは映画のようにポルターガイストが親族の見守る最中に起こった。電球が次から次へと破裂して跡形もなく消えていく、電化製品はスイッチが入ったり切れたり、理解できない現象であった。それに五人いる叔父さんの一人が亡くなった時のことだがいちばん末の進叔父さんだけ行方不明で連絡が取れない困っていると彼の仕事の最中に彼の携帯に知らせが入った。知らせを受けて彼は仕事を切り上げ営業所に戻る途中の阪大前の信号で止まると斜め後方のトラックが烈しく警笛を彼に向かって鳴らしているようだった。けたたましい警笛音の後にトラックの運転手が降りてきた。彼は目を疑った。その運転手は連絡の取れない進叔父さんだった。人が亡くなる時は往々にしてこのような不思議な事が起こるようだ。中には親や身内の不幸に駆けつける途中に事故に巻き込まれるまた引き起こして死亡する事もある。これらの理解し難い現象はやはり魂が関わりあるのだろう。これは人だけではない動物や昆虫にも言える魂があるようだ。犬やねこを飼っている人たちには動物の魂の関わりは理解できるであろう。生あるもの意志なり魂に関して彼の経験した四十センチ以上ある大ムカデの復讐劇の話を聞けばすべての生命に意志ある魂があり運命に関与する現象があるように理解できるかも知れない。結婚当時彼は農家の物置を改造したような一軒家に住んでいた。夫婦で買い物から帰宅して電気をつけた途端に奥さんが虫に足をかまれたとその痛さでしゃがんだ横に三十センチ以上ある大ムカデが這っていた。彼は即座にその大ムカデを殺して妻を病院に連れて行き、その後その大ムカデを写真に撮ってゴミ箱に処分した。そして彼の家からかなり離れている勤め先の朝早い誰も止めていない広い駐車場に彼は車を止めて降りて玄関に向かって歩き出したところその玄関の方から長い四十センチほどの棒切れのような物が彼めがけて地面を這いながら突進してくるのだった。最初彼は目を疑ったがこれも四十センチ以上ある大ムカデだった。が彼は返り討ちだとばかりにその大ムカデを踏み殺して駐車場のゴミ箱に棄てた。そしてその日の昼過ぎ彼が休憩室でベット風の腰掛けに横になり無造作に辺りに置いてあった服を枕がわりに頭にひいて寝かかると頭の下に妙な動きを感じたので枕がわりのその服を彼はどかして仰天した。なんとこれも四十センチ以上ある大ムカデである。彼はとっさに近くに湯を沸かしていたので熱湯をかけてその大ムカデを殺してゴミ箱に棄てた。昔からムカデは必ず夫婦つがいでいてそのたたりは恐ろしく根に持つ神様であると聞いてはいたがこれほどとは信じ難いものだった。そして地元の農家の人が彼の話を聞いてその信じ難いほどの大ムカデを殺して捨てたのはもったいないと言った。ムカデを油に付けて染み出た毒素は傷などに効く薬になるので漢方薬として薬屋に持ち込めば一つ五万円で売れたのにもったいないと彼に言った。その後の昼飯に彼がラーメンを食べかけるとこれがたたりと言えるかどうか疑問だが休憩室の壁の隅にこれも大きなゴキブリが天井に這い上りだして止まりじっと彼を見ている気がした。彼は嫌な予感がしたのでラーメンを持ちテーブルを移動した。そのゴキブリは彼の動きに合わせて動いては止まり今にも彼を襲う気構えを見せていた。信じ難い話だがゴキブリが彼にメンチを切っているのだ。信じがたい話だがゴキブリの襲うオーラを彼は感じていた。そしてゴキブリの狙う先は彼のラーメンの中だ。彼はゴキブリの目線を感じ、
「頼むからこっちに来るなよ、ラーメンの中には入るなよ、俺は腹がすいているのや、」とゴキブリに言いながらテーブルを移動するがその瞬間そのゴキブリは彼に向かって襲い飛びかかては最後にラーメンの中に飛び込んだ。彼はそれで昼飯が抜きになる。この一連の件は何を意味しているのだろうか、この件と関連があるかもしれない百一匹目の猿の進化に関する観察実験が日本で行われた。それによると長い年月を経てある猿が塩水で芋を洗いその美味しさを覚えてその集団に洗って食べる猿が増えその数がある一定の数を超えたところ接触などあり得ない遥か離れたまったく別の場所に生息する猿の集団が芋を洗って食べだした観察記録が最近発表された。すべてのものには意志ある魂があり空間や時空を人の概念を超越して何らかのルールに基づいて自由に動き運命と繋がっているのかも知れない。ある集団の行いがはるか遠おく離れた集団へとその行いが伝わっていく理解を超えた事象である。その観察結果から飛躍すれば宇宙はるか彼方の生命の魂が地球の時代も距離もはるかに離れた太古に造られた現在文明より精度が高く高度な知識の結晶である世界各地の巨大建造物の設計者たちに時空を超えてひらめきと知識をリレーした可能性は考えられる。時空そのものが神様で生を持ち動くものには意志や魂があるようだ。飛躍した話はまた後程にして、彼は久しぶりに隣国の外人観光客の若い男を大阪の色町に送った。明るい色町のピンク色に華やいだ遊郭の玄関に腰掛け客の訪れを待つ女たちの品を崩した姿の艶っぽさには男の気がやはり飛ぶ。タクシーの女性客の中には運転手を誘う客もある。中にはメーターを倒した(入れたまま)ままでホテルに一緒に遊ぼうよとか自宅に寿司やビールを用意しているから家に入ってと誘われる。が彼はその都度に誘いの話を濁して断る。中には度が過ぎた女が駅待ちのタクシーを物色しに来る事もある。その都度運転手たちはドアをロックし窓を閉める。うかつに話をしようものならとんだ結果に発展する。ある新人の運転手がそんな客の怖さの彼の忠告話を鵜呑みにして誘う女性客とタクシーでホテルにしけこみ通称旦那と名乗る人物がホテルのドアを叩きトラブルに発展した。ようは昔ながらのつつもたせである。その逆もある。運転手が女性客を誘うのだ。この件で会社も運転手たちも多大な損害を被った事がある。ある大手の病院の女性職員たちを深夜自宅までお送りする信頼の契約を会社存続時より行っていたが運転手の一人がその女性職員の一人を誘ったのを後日病院に発覚し信用が置けないと他のタクシー会社に送り契約を変更された事がある。中にはおおぴらに水揚げを懐に入れ盗みを働く者もいる。これらの連中には会社の職制は見てみん振りをする。大手のタクシー会社でもこのような運転手はいる。その後この運転手たちがどうなったのかは彼には分からない闇の中である。がいずれはそのものの実態が見えてくる。そこには会社の腐れ体質が渦巻いている。なぜおおぴらな悪がはびこるのか、今は縁も関わりもないまったく別の事柄がやがては重なり合い一つの道筋へと導かれる。誰もが経験している縁は異なもの味なもので今はわが身にとっては別次元で知る由もない関係だが見えない糸はすべて繋がっていてそこには運命のからくりが人を現実の世から魔実の世に誰しも飲み込んでいて人はそれに気付かないようである。善人にとってはこの世は地獄であり悪人にとってはこの世はひと時の天国を桜花できる不思議な現実の世なのである。
現在進行中の現実の物語なので続き物語になっています。この物語に登場している人物なり会社なり役職を持った方々などは日々時と共に事態が変化しています。もおすでに別の場所に移ったり居らなくなっていたりしています。その人たちにも運命がありますが人生つじつまが合うようにできているようで万物の真理の白日の前で幸がありますように願います。人の目に自然や町や地球の放っている何某らのオーラが見えたら幸いです。そして天国のきっぷを得れることができるように願っています。