ンんンの出番
ンんンの出番
しりとりが 、はじまりました。
でも、ライオンの王さま、それから家来のきりんには、出番がありません。
「たいくつじゃの」
「そうですね」
「どうじゃ、ここはひとつ、出かけるとするかの」
「では、おともいたします」
カメレオンもこっそりついていきます。
「おや、いいにおいがするの」
においにさそわれて、たどりついたのは、パンダのパンやさんです。
「おや、そなた。しりとりは、どうしたのだね」
「ああ、王さま。わたくしは、もうよばれまして……」
店のテラス席では、山盛りのりんごを見るゴリラ、椅子の上に置かれたままのラッパを、カメレオンが見上げています。
「こうして、しりとりを終えたみなさまに、やきたてをふるまっております」
「早くよばれるのも、たいへんじゃの」
たなには、あんぱん、クリームパンに、クロワッサン。などなど…… 目うつりします。
「ひとつ、いかがですか。ちょうどやきたてですよ」
すすめられて、王さまはぱくり。
「……ふむ、なかなかのうでまえ。毎日食べたいの」
家来のきりんが、王さまの望みのとおり注文します。
「さて、つぎはどこへ行くとするかの」
王さまと家来はいつしか、町の外れの定食屋さんの前まで来ました。
「おや、ずいぶん、にぎやかだの」
その定食屋さんには、たくさんのネズミがいます。
「おや、そなたら、しりとりはどうしたのだね」
すると、ネズミが口ぐちに答えます。
「ぼくたち」
「あたしたち」
「兄弟が」
「姉妹が多いの」
「たがら、かわりばんこで、しりとり」
「……なるほど。それはたいへんじゃの」
何匹かのネズミがメニューを持って、王さまと家来のまわりをうろうろしています。
店の奥に座っているカメレオンは、何にしようかとまよっています。
「おまたせしました」
「おお、これ、これ。
一度食べてみたかったのじゃよ」
王さまは、ラーメンにチャーハン。その横で家来は、うどんに玉子丼がはこばれてきました。
「さて、つぎはどこへ行くとするかの」
王さまと家来は、国はずれまでやって来ました。
そこには、カンガルーの喫茶店がありました。
カメレオンは、店の花壇で日なたぼっこをしています。
「ちょうどよかった。あまいものがほしいと思ったところじゃ」
王さまはカンガルーにたずねます。
「おや、そなた、しりとりはどうしたのだね」
「ああ、王さま。自分は“る”で終わるので、つぎに続けづらいと、よばれることがあまりないのであります」
「それはそれは、たいへんじゃの」
「ところで、これはなにじゃ」
ショーケースには、プリン、マカロン、落雁、羊羮、寒天が並んでいます。
「はじめて食べるものじゃが、あまくてたまらないの」
羊羮を食べて、王さまはごきげんです。
「さて、つぎはどこへ行くとするかの」
「ゆうびん、ゆうびんでーす」
お茶を飲み、くつろいでいる王さまの元に、ペリカンが手紙を運んで来ました。
とどいたのは、氷の国のペンギンからのお手紙です。
「ほほう、ひみつのおんせんとな。行ってみるとしよう」
王さまと家来はペンギンからの手紙を見ながら、氷の国に向かいます。
その途中、マラソンの練習中のバイソンに出会いました。
「おや、王よ。どこまで行かれる?」
「ペンギンのひみつのおんせんへ」
「あそこへ行かれるとな。
ならば、これを持っていかれるといい」
そう言って、はんてんをわたしました。
「われもそのおんせんに、おともいたします」
カメレオンはその様子を、サボテンの花の上から見ています。
火山のようがん、遠くにながめ、めざすはペンギンのひみつのおんせん。
「だんだんひんやりしてきましたね」
寒くなってきたので、みんな、はんてんを着ますが、カメレオンはそのままです。
「王サマ、ヨク来テクダサイマシタ」
ペンギンが羽をあげて迎えます。
きゃっ!
とつぜんあがったひめいに、みんな、びっくりぎょうてん。
そこには、カチンコチンに氷ったカメレオン。
「コッチ、コッチ、イソイデ」
ペンギンがみんなを、ひみつのおんせんにあんないします。
どっぼーん!
「ひゃあ、たすかった~」
「そなた、いつからいたのだね」
ペンギンのひみつのおんせんは、かくべつです。みんな、ぬくぬく。ほかほか。
なかよくみんなでおでんを食べていると、ペリカンがやって来ました。
「あ、みなさん、こちらでしたか。おまたせしました。みなさん、出番です」
しりとりが終わったら、字のおけいこです。
ンとソ、まちがえずに書けるかな?