表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ンんンの出番

作者: 大西洋子


  ンんンの出番


 しりとりが 、はじまりました。

 でも、ライオンの王さま、それから家来のきりんには、出番がありません。

「たいくつじゃの」

「そうですね」

「どうじゃ、ここはひとつ、出かけるとするかの」

「では、おともいたします」

 カメレオンもこっそりついていきます。


「おや、いいにおいがするの」

 においにさそわれて、たどりついたのは、パンダのパンやさんです。

「おや、そなた。しりとりは、どうしたのだね」

「ああ、王さま。わたくしは、もうよばれまして……」

 店のテラス席では、山盛りのりんごを見るゴリラ、椅子の上に置かれたままのラッパを、カメレオンが見上げています。

「こうして、しりとりを終えたみなさまに、やきたてをふるまっております」

「早くよばれるのも、たいへんじゃの」


 たなには、あんぱん、クリームパンに、クロワッサン。などなど…… 目うつりします。

「ひとつ、いかがですか。ちょうどやきたてですよ」

 すすめられて、王さまはぱくり。

「……ふむ、なかなかのうでまえ。毎日食べたいの」

 家来のきりんが、王さまの望みのとおり注文します。


「さて、つぎはどこへ行くとするかの」

 

 王さまと家来はいつしか、町の外れの定食屋さんの前まで来ました。

「おや、ずいぶん、にぎやかだの」

 その定食屋さんには、たくさんのネズミがいます。

「おや、そなたら、しりとりはどうしたのだね」

 すると、ネズミが口ぐちに答えます。

「ぼくたち」

「あたしたち」

「兄弟が」

「姉妹が多いの」

「たがら、かわりばんこで、しりとり」

「……なるほど。それはたいへんじゃの」

 何匹かのネズミがメニューを持って、王さまと家来のまわりをうろうろしています。

 店の奥に座っているカメレオンは、何にしようかとまよっています。


「おまたせしました」

「おお、これ、これ。

 一度食べてみたかったのじゃよ」

 王さまは、ラーメンにチャーハン。その横で家来は、うどんに玉子丼がはこばれてきました。


「さて、つぎはどこへ行くとするかの」


 王さまと家来は、国はずれまでやって来ました。

 そこには、カンガルーの喫茶店がありました。

 カメレオンは、店の花壇で日なたぼっこをしています。

「ちょうどよかった。あまいものがほしいと思ったところじゃ」

王さまはカンガルーにたずねます。

「おや、そなた、しりとりはどうしたのだね」

「ああ、王さま。自分は“る”で終わるので、つぎに続けづらいと、よばれることがあまりないのであります」

「それはそれは、たいへんじゃの」


「ところで、これはなにじゃ」

 ショーケースには、プリン、マカロン、落雁、羊羮、寒天が並んでいます。


「はじめて食べるものじゃが、あまくてたまらないの」

 羊羮を食べて、王さまはごきげんです。


「さて、つぎはどこへ行くとするかの」

「ゆうびん、ゆうびんでーす」

 お茶を飲み、くつろいでいる王さまの元に、ペリカンが手紙を運んで来ました。


 とどいたのは、氷の国のペンギンからのお手紙です。

「ほほう、ひみつのおんせんとな。行ってみるとしよう」


 王さまと家来はペンギンからの手紙を見ながら、氷の国に向かいます。

 その途中、マラソンの練習中のバイソンに出会いました。

「おや、王よ。どこまで行かれる?」

「ペンギンのひみつのおんせんへ」

「あそこへ行かれるとな。

 ならば、これを持っていかれるといい」

 そう言って、はんてんをわたしました。

 「われもそのおんせんに、おともいたします」

 カメレオンはその様子を、サボテンの花の上から見ています。


 火山のようがん、遠くにながめ、めざすはペンギンのひみつのおんせん。

「だんだんひんやりしてきましたね」

 寒くなってきたので、みんな、はんてんを着ますが、カメレオンはそのままです。

「王サマ、ヨク来テクダサイマシタ」

 ペンギンが羽をあげて迎えます。


 きゃっ!

 とつぜんあがったひめいに、みんな、びっくりぎょうてん。

 そこには、カチンコチンに氷ったカメレオン。

「コッチ、コッチ、イソイデ」

 ペンギンがみんなを、ひみつのおんせんにあんないします。


 どっぼーん!

「ひゃあ、たすかった~」

「そなた、いつからいたのだね」


 ペンギンのひみつのおんせんは、かくべつです。みんな、ぬくぬく。ほかほか。

 なかよくみんなでおでんを食べていると、ペリカンがやって来ました。


「あ、みなさん、こちらでしたか。おまたせしました。みなさん、出番です」


 しりとりが終わったら、字のおけいこです。

 ンとソ、まちがえずに書けるかな?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ