子どもの残虐性
「なあ、聞いたか。三上が入ってた児童養護施設に火災が発生したらしいぜ」
とある小学校での会話。
「うん、知ってるよ。志穂ちゃんが起こしたのかな」
「さあな。でもあいつなら生きてる気がする」
「そうだね。ところで、志穂ちゃんが言った言葉覚えてる?」
「ああ。俺は直接聞いたわけじゃないけど、犯罪やるなら今の内、みたいなこと言ったんだっけか」
「うん。それ聞いて確かにその通りだな、って思ったんだ」
少女は興奮したような声で言う。
「じゃあお前、やるの?」
「うん。ちょっと今思いついているトリックがあってさ。やってみたいなーって思ってたんだ」
「へえ、どんなの?」
「教えないよ。パクられちゃうもん」
「そんなことしないって。実は俺も思いついているものがあるんだ」
少年は自信満々にいう。
「へえ、そうなんだ」
「もう準備も整ったし、後は役者さえ揃えばできるんだけど、問題は誰にしようか迷ってるんだよな」
「多田先生なんてどう? あの人なら結婚もしてないし、長男でもないから死んでも大丈夫だよ」
「あ、確かに。いい条件が揃ってるな。じゃあ多田先生で決まりかな」
「私が考えたものは、ターゲットが複数人なんだよね。だから大人数を一斉に殺せてお得感満載だよ」
「おー、壮大だな」
感心したような声を上げる少年。
「じゃあ俺は早速明日やってみるわ。思い立ったが吉日ってね」
「あーいいなあ。私はもう少し練ってからやるから、それまで待っててよ」
「えー何で?」
「だって、こういうのって一斉にやった方が面白いでしょ?」
「あ、確かに。じゃあ待ってやるよ。でも早くしろよな。あんまり遅いとフライングしちゃうかも」
「わかったよ。素早く完成させるから待ってて」
少年と少女は狂気を孕んだ笑みを浮かべながら語っている。
その数日後、とある新聞に一つの記事が記載された。
『有名私立小学校で死者数十人にも及ぶ大規模な殺人事件が発生・廃校確定か』




