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第二の殺人 解明

 次は第二の殺人を解き明かすのだが、式の要望で殺害現場に来ていた。


「では続いて、第二の殺人を解き明かしていきましょう」

「第二の殺人ですか……私は詳しく知らないのですが、どういう状況になっているのでしょうか」

「ああ、それはね……」


 園田が状況説明を行った。


「なるほど、これまたすごいことになっているのですね」

「とはいっても、第一の殺人に比べれば解き明かすのは難しくない。第二の殺人で肝となるのはエレベーターだ」

「まあ殺害現場からしてエレベーターが何らかの意味を持っているとは思っているが……」

「そうですね。結論から言うと、犯人はこのエレベーターを使って佐野さんを殺したんです」


 式はエレベーターを指差す。


「どういう風に殺したの?」

「前提として、この殺人が行われたのは加藤先生が殺された後だ。まず犯人は台車か何かを使って泥酔した佐野さんをここまで運んだ」


 佐野の遺体からアルコール反応が出たことから、佐野が殺害前に酒を飲んでいたことは明らかだ。それも酔って意識を失うほどの量だろう。


「次にエレベーターを一階に呼び出し、扉を開ける。そしてエレベーター内に重りを置いてそれにワイヤーを巻き付ける。もちろんこのときエレベーターのドアは開けっ放しにしておかなければならない」


 ドアが途中で閉まらないように、テープなどでボタンを固定しておけばよい。


「重りに結んだワイヤーは、佐野さんの首にも巻き付けておく。これで準備は完了だ。後はエレベーターのボタンを押してドアを締め、上の階に登ればエレベーターがワイヤーを引っ張ってくれて佐野さんの首を切断してくれる」


 エレベーターが登る力を加えることで、人間の首も簡単に切断することができる、というのが式の推理だ。


「でも、その通りにやったとなると、エレベーターのドアがワイヤーを挟む必要があるよね。エレベーターってドアに物が挟まったら開くような仕組みになっていなかったっけ?」


 春崎の疑問ももっともだ。


「確かに、ふつうのエレベーターならそうなるだろうね。しかしこのエレベーターは結構古いものらしくて、欠陥があるらしい」

「欠陥?」

「このエレベーターはセンサーで検知するタイプのようで、そのセンサーには死角があるらしい。その死角に物が挟まってしまっても、安産装置が作動せずにそのまま動いてしまうんだ」

「け、結構危ないね……」

「とはいっても、通常に使う分にはあまり問題はないらしい。人間がドアに挟まって潰されるってことはなさそうだから。でもワイヤーのような細いものは、挟まっても安全装置が作動しないときがあるんだろう」


 犯人はそれを利用して殺人を行った、と式は言った。


「それで、重りってのは何なの?」

「言うまでもなく、鉄鉱石のことだよ。犯人は加藤先生を殺した後、現場に戻って鉄鉱石を回収した。そのときに死体も水で濡らしておいたんだろう。あの殺人で使われた糸は調べたら水溶性のものだったらしいし、水をかけて証拠隠滅を図ろうとしたらしいけど、糸切れが残っちゃったんだ。これなら手作業で外した方がましだったね」

「ここでも、鉄鉱石が使われたのか……」

「何かと便利ですからね、あれ。ワイヤーにも磁石を巻き付けておけば、ワイヤーが外れるというのも防げると思いますし」


 ここで式は改めて第二の殺人をまとめてみた。

 まず犯人は泥酔した佐野をエレベーター前まで運んだ。次にエレベーターを一階に呼び寄せ、ドアを開いたままにしておく。エレベーター内に鉄鉱石を設置し、それに磁石を付けたワイヤーを巻き付ける。ワイヤーは佐野の首にも巻き付けて、準備完了。後はエレベーターを動かしてその力で佐野の首を切断する。現場に鉄鉱石がなかったことから、犯人は殺害後鉄鉱石を持って現場を離れた。


「これが、第二の殺人の流れとなっています」


 式は推測ではなく、しっかりと断言した。

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