調査
取り調べが終わるまでにはもう少し時間がかかりそうなので、式は校内を調べることにした。
(流石に現場付近は調べられないだろうけど、それ以外の場所なら調べられるだろう……)
とはいえ、どこを調べるのかは決めていない。とりあえず式は外に出てみた。
「この学校に来て二日だけど、あんまり外は見てなかったからな。中庭の方とか行ってみよう」
式は中庭に向かった。
特に何かあると期待していたわけではないが、中庭にある花壇で不審な光景を目にした。
「あれ、ここの石が一つ欠けてる……?」
この花壇には漬物石ほどの大きさの石が周りに添えられているが、一か所だけぽっかりと空きがあった。
「元々なかったのかな。それとも、誰かが持って行ったとか……」
とりあえず後で教師の誰かに聞いて見ることにしよう。
その他にも式は中庭や校庭などを歩き回ってみたが、それ以外は特に不審な点はなかった。
「そろそろ取り調べが終わるかな」
式は急いで取り調べを行っている教室へ向かった。
「え、現場を見させてほしいって?」
取り調べが終わった後、式は榊と春崎の三人で頼み込んだ。
「はい。捜査の邪魔はしませんので、どうかお願いします!」
式は懸命に頭を下げる。
「隼人兄さん、式くんは以前に殺人事件を解決したことがあります。今回も解決できるかはわかりませんが、少なくとも助けにはなると思います」
「うーん、そうだなあ……」
園田は困った表情を浮かべる。
「現場に入れることはできないけど、我々が調べた情報を教えるくらいならできるから、それで譲歩してもらえないかな」
「十分です! いいんですか」
「まあ僕も正直君の推理とやらを見てみたいからね。事あるごとにせっちゃんから聞いてたから興味を持ってさ」
園田はにこやかに答えた。
「あ、ありがとうございます!」
式は深々と頭を下げた。
「じゃあ早速だけど、これが現場の写真だ。こちらが遺体で、これが現場の様子だね」
園田は写真を並べる。式はその写真を手に取り、自分の記憶と照らし合わせた。
「隼人さん、トイレの入り口に糸切れが落ちていませんでしたか?」
「ああ、落ちてたよ。床にあるドアストッパーに巻き付けられていたから、何かしら関係があるのかもしれないね」
「あの職員用トイレってドアがついていましたけど、外開きですよね」
「そうだね」
「後、上にも糸がありませんでした?」
「ああ、ドアクローザーにひっかけられていたな」
ドアストッパーやドアクローザーに糸が付けられていたことから、どうやらこの殺人にはドアが関連しているようだ。
式はドアの写真を確認する。
(外開きで蝶番、外側にはドアストッパーがついてる。まあいたって普通のドアだ。このドアが犯行に関係しているなら、このドアを使って何がしたかったのか……)
ピースは揃いつつあるが、それが上手くはまらない。
(まだ推理に確実性が欠けるな。もっと調査をしないとだ……)
現場についての情報を大方集まった。次は人物についての情報だ。




