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雨の日のチムニィ

作者: gaffiot


あの人を元気にするために

僕は何ができるだろう?


僕は何をあげればいい?

愛を囁いてあげればいい?

三時間も六時間も一週間だって一年だって

話を聞いてあげればいい?


でもねチムニィ

あの人はもう動けないんだ

愛を囁いたって疲れるばかりだよ

話を聞くにしたって

もう殆ど喋れないんだ


僕は何をあげればいい?

僕はあの人から何もかもをもらったよ

僕の持っているものだったらなんだってあげたいよ

この目と手をあげればあの人は本が読めるかな?

この足をあげればあの人は歩けるかな?

この心臓をあげたら、また笑ってくれるかな?


でもねチムニィ

あの人は心臓どころか、爪の先さえ欲しがったりはしないんだ

いらないものをおしつけたって、嫌がられるだけだよね


ねえチムニィ

僕は笑ってほしいんだ

あの人にまた声をあげて笑いかけてほしいんだ


でも知っているんだ

僕は何もできない

こんなにも愛しているのに

誰よりも誰よりも愛しているのに

世界で一番悲しませたくない人なのに


それにねチムニィ

わかっているんだ

僕はすぐこの心を忘れて

音楽を聴いて忘れてしまうんだ

ひとしきり泣きじゃくったら

すぐに人と笑いあって

悲しかったねで済ませてしまうんだ

こんなにも愛しているのに

忘れてしまうんだ


ねえチムニィ

いきるってくるしいことらしいんだ

だから僕は忘れてしまっていいのかな


ねえチムニィ

なんだか今日は雨がひどいね

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