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1.召喚成功!?
古来、非常事態が起きた時のみ使うことを許される召喚の間。
壁沿いにはこの国の重鎮が立ち並び、術師の呪文を唱える声だけが響き渡る。
この召喚が国の命運を決めるのは居合わせた全員が理解しているからこそ、固唾をのんで術師と魔法陣を見守っている。
厳かに術師が唱え終わると床の中央に描かれた魔法陣からまばゆい光が放たれ、部屋を一瞬に白い光で埋め尽くす。
まばゆい光が徐々に落ち着き、そこにいる者の視界が戻る頃、魔法陣の中央にうずくまる少女の姿があった。
召喚の成功を目にした者が歓喜の声を出そうとした瞬間、
「うそ、やった~、うそみたい!ここどこぉ~❤」
あらぬ方向からハイテンションな明るい声が。
見ると魔法陣の端っこに目をキラキラさせ、満面の笑みを浮かべる女性。
部屋中に張り巡らされた緊張の糸をぶったぎる声の主に、現地人のみならず召喚された少女もあっけにとられて飛び上がって喜ぶ女性を見るしかなかった。