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日月の物語

陽光の王子と夜の姫君

作者: 但馬ほずみ

 (わたくし)は、ランドル帝国のガルム公爵令嬢エヴァンジェリン。皇弟の娘です。


 この度、我が国の皇太子とアカトゥキ大陸月の王国王女との結婚が決まりまして、本日は王女の歓迎会ですの。

 皇太子が、実は私の元婚約者だったりするので、皆さま変に気を使ってくださるのよね~。居心地悪いですわ。挨拶も済んだし、早々に帰りましょう。


 もともとこの婚約は、自由でいたい皇太子と、結婚が面倒くさい私とが周りを黙らせる為に交わしたもの。愛なんてカケラもありませんわ。生まれた時から知っている従兄弟と結婚なんて冗談じゃありません。近頃結婚をせっつかれてましたから、婚約破棄は、お互いに好都合でしたの。

 それにしても、あのいまいち残念な皇子が、よくがんばりましたこと。月の王国の王と女王の即位20周年の式典に行って王女に一目ぼれ。滞在中のアタックはもちろん、帰国後も毎日のように手紙攻勢で、王女もほだされたのでしょうね。ま、私も知恵を貸しましたが。あの方が王妃なら、この国も安泰というもの。

 それで傷心旅行ということにして、国外にでも行って、適齢期が過ぎた頃に帰って来たら、領地に引きこもろうというのが、私の計画。旅行に行けるし、結婚も避けることができて、一石二鳥でしょう?


「どの国に行こうかしら?」


 会場をぬけたから気がゆるんだんでしょうね。つい、そう口に出してしまいましたの。


「ご旅行なら、わが国はいかがです?夜の姫君」


 気付いたら、目の前に人がいました。それも大変ゴージャスな。あ、夜の姫君っていうのは、私のことですわ。黒髪と濃紺の瞳からそう言われてますの。


「王太子殿下…」


 濃い金髪に瞳は空の青。凛々しいお顔の美青年は、残念皇子と同じ19歳のはずなのに、威厳があります。月の王国の次期日輪王で、かの国では陽光ひかりの王子と呼ばれているとか。王女様の兄上でいらっしゃいます。…どうもこの方は苦手です。初対面の挨拶のときから、こう…なんというか、首の後ろがぞわぞわするというか、ようするに、危険人物っていうことですわね。


「シンラートです」


 え、いやですわ。後が面倒くさいから。


「いえ、そんな。畏れ多い…」


「シンと」


 あー、もう、引かない人ですわねぇ。


「では、シン様。これでよろしいでしょうか?」


 とりあえず微笑んでおきます。早く解放していただきましょう。


「まぁ、今はいいでしょう。で、いかがですか?わが国にいらっしゃいませんか?」


「え?まあ、機会がございましたら」


 ホホホとお茶をにごしましょう。そうしましょう。ちょっと、何で手をにぎっているの!?


「では、約束ですよ」


 きゃ~、なにするんですか!?限りなく唇に近い頬にキスしてきましたよ~!!

 顔を真っ赤にして(多分)、何も言えない私を置いて、王太子は、会場へと消えていきましたわ。

 我に返った私は、とりあえず考えるのを放棄して眠りにつくことにしましたの。夢だと思いたかったのですわ~。


 で、翌朝。起きた私を待っていたのは、複雑な顔のお父様とニコニコのお母様。訳のわからないまま、伯父様つまり皇帝陛下の前に連れてこられました。

 陛下の横には、残念な皇太子とその婚約者の王女、それに王太子が並んでいます。王女様のキラキラした目が気になりますわ。


「やあ、エヴァ、シン王太子と月の国にいくって約束したんだって?」


 陛下おじさまの笑顔に、顔がひきつります。


「約束というか、機会があればと…」


 なんですの、嫌な予感しかしませんわ。


「うん、機会作ったから。おめでとう」


「は!?」


 おめでとうってなんですか、おめでとうって!

 王女様、抱きつかないでください、苦しいです~。


「うれしいわ!あなたをお義姉様と呼べるなんて」


 え?!


「いや~、お前も幸せになってくれてうれしいよ!従妹が義姉か~」


 ええ?!


「シン王太子なら、エヴァをまかせて安心だ」

「殿下、娘を、娘をよろしく…」

「はい、おまかせください。幸せにいたします」


 えええ~!!!お父様、なに泣いてるんですか。いや、違う!


「そういうわけで、これからよろしく、婚約者殿」


 王女から王太子に引き渡された私は、そこで意識を手放しましたわ。



 王女の歓迎会の夜、私が思考を放棄して寝ていた間に、王太子は根回ししまくっていたみたいです…。

 私は、王太子の婚約者として月の国にお持ち帰りされてしまいました。近々結婚式を挙げます。ここまできたら、もう抵抗はできませんわ。私も皇族の端くれ。覚悟を決めましたの。

 王太子妃として、いずれは王妃として、幸せになってみせますわ。 


 そうですねぇ、ご両親もいい方たちですし、城の皆にも歓迎されているのはいいのですが…。ちょっと困っていることが一つ。城の方達と親しくすると、王太子の機嫌が悪くなるのは、どうにかならないでしょうか?



fin.

ユーリ王子の兄、第一皇子シンラートのお話でした。日の一族の男達は、独占欲強いです(笑)

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