捉えられた者たち
随分と間が空いてしまってしまい申し訳ありません!!!
読み手がこじらせて書いた作品だったので続きをどうしようか迷っていたのですが、ありがたい感想を頂いたので復活したいと思います。かなりの不定期更新ですが少しづつ進めていきたいと思います。
第二節 捉えられた者たち
「うっ」
眼を覚ますと頭に鈍痛が走った。
(そうか。殴られたんだっけ。)
皐月は頭を緩く振って痛みを払うと辺りを見回した。
(皆はまだ眠らされてるか。とりあえずもうしばらくは行動を控えよう。また鎖に繋がれちゃ敵わないし。)
と足元を見るとその細い足首には無骨な鎖が巻き付いていた。
えっ?!とその鎖の先を眼で追うと部屋の壁の中に埋め込まれていた。
(マズい!あいつら本格的にキレはじめちゃったっ。)
自分が動揺している事を自覚はしているがそれはもう止めようが無い。
(どうしよう。まだ大丈夫だと思ってたのに・・・。このままじゃ本当に殺される・・・・。しかも私だけじゃなく他の子達
まで。)
皐月は、これまでの一連の騒動を痛む頭で思い起こしていた。学校の帰り道、突然黒服を纏った男達に拉致され、この収容所に監禁されて三ヶ月。他にも自分と同じように拉致されてきたと思われる子供達と共に、今度は白衣を着た男達の手でモルモットのように扱われた。かろうじて投薬や解剖といった「いかにも・・・」な事はされてない。にしても、拷問に近いような環境に長時間に渡り拘束され、観察され続けるそれは、人権を剥奪した陵辱的行為にはほかならなかった。このような事がなぜ起きたのか。なぜ彼女たちなのか。
「心当たりはある・・・・。ってか分からされたんだけどね。油断してたなぁ・・・・」
皐月はひとりごちた。
とその時、突然サイレンが鳴り響いた。
「何?!一体何ごと?!」
思わず皐月は叫んだ。
時間は少し遡る。
「ほいっとな。」
白い廊下に似つかわしくない若々しく緊張感のない声が響く。出処は天井に設置された通風孔を塞ぐ金網のようだった。
「ザルもザル。ほんとにこんな警備でいいのかねぇ。仮にも一機関として・・・・。っとそんな事はいい。早く子供たちを見つけないと。」
声の主は先ほどの少年であった。金網を慣れた手つきで外すと、懸垂の要領で軽やかに床に降りる。彼は辺りを見渡しながら言った。
「とりあえず人の気配がする方へ行けばなんとかなるだろ。人数は四人。なんとか運べるか?まぁ、状況確認からってオヤジに口うる枠言われてるからね。情報は大事~♪」
山奥深くに隠されるように佇む施設に単身乗り込んでいるというのに緊張感がまるでない。神経が図太いのか。もしくは自分自身に対する自信の現れか。少年は迷いなく長く続く廊下を走り出した。
しばらく廊下を走ると、十字の交差に突き当たった。壁に身を寄せ耳を澄ませると、確かに人の声が聞こえる。
「ここまで誰とも会わなかったのが奇跡だからな。さてどうするか。」
そっと首を伸ばし声のする方を伺うと、幾人かの迷彩服を纏った男たちがたむろしているのが見えた。
「四人。とりあえず無力化優先。」
呟く少年の表情が一変する。微笑と見まごうばかりの穏やかな表情でここまできた彼の、その顔はその一瞬で能面のごとく一切の感情を消していたのである。ただそこにあるのは、冷たく鋭利な瞳だけであった。
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