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八話
ビルの姿が見えなくなると、ロマリーはとぼとぼと家へと戻っていった。
その夜、ロマリーの父が手に白い毛糸を持って帰ってきた。
「お屋敷の御主人から頂いたんだ」
ロマリーの父はお屋敷の外で働いている。今日はそこの御主人がたくさんあるからと下さったそうなのだ。
「わぁ、すごく真っ白できれいね。それにあったかい」
父から毛糸を受け取ると顔をそれにうずめた。柔らかなぬくもりに包まれる。
「そうだわ」
ロマリーは良いことを思いついた。
「お父さん、この毛糸、少しもらっても良い?」
「母さんに聞いてみてごらん」
父は優しく答えた。ロマリーの隣にいた母は、
「セーターをこれで編むから、その余った分なら良いよ」
と笑顔で答えてくれた。
そうして、ロマリーのリベンジが再び始まった。