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七話
「ビル!」
次の日、彼女はビルの姿を見つけると、小さな袋を持って一目散に走って行った。
「こんにちは、ロマリー」
「こんにちは!あのね、ビル!私、ホウセキを見つけたのよ!」
「えっ、本当!?それはすごいよ!」
そう言われて、ロマリーは得意げに袋を見せた。
「このなかに入っているのよ」
「ぜひ見せてよ」
「もちろん」
そう言うと、ジャーンという声と共に袋を開けた。
きっとビルは喜んでくれるはず。そう自信満々に思いながら、ビルの反応を待った。
すると、初めはとても素敵な笑顔だったのに、それがなんだか悲しそうな、呆れたような表情に変わっていくのが分かった。
「……ビル?」
「ロマリー、これは宝石じゃないよ。ただの赤い実だ」
「えっ、けれど山の中にあったわ」
ビルは1つため息をつくと、
「いいかい。山の中と言っても、山に生えているんじゃない。山の土を掘ってその中から出てくる鉱石のことをいうんだよ」
と呆れた口調で説明した。
「そうなの……」
「じゃあ寒いから僕は帰るね」
そう言い残して、彼はそそくさと帰っていった。