六話
ビルが帰った後、ロマリーは再び出かける準備を始めた。
向かう先は学校だ。今日も雪は深々と降っている。なので作った雪だるまも崩れることもなく元気だ。
ロマリーは持ってきた木を2本取り出し、雪だるまの体の左右に一本ずつ刺した。そのあと、残った木々は全てその左側に置いた。
「なんか、手だけあるのも変な感じね」
そうつぶやいたあと、昨日も訪れた山の中へと今日も入って行った。
下を見ても上を見上げても真っ白な世界。彼女がなぜここに来たのか、それはホウセキを探しにきたからだ。
「今度こそビルに喜んでもらうんだから」
彼女はそう意気込むと、ズンズンと中へと歩いて行った。
しかし、歩いても歩いてもホウセキは見つかりません。
「やっぱりおとぎ話なのかしら?けれど、ビルは見せてもらったって言っていたし……」
そう言って上を見上げると、空から何か落ちてきた。
「いたっ」
その何かはおでこにぶつかると、雪の中へと吸い込まれていった。ロマリーはその何かを確かめようと手を伸ばすと、それは小さな赤い実だった。
もう一度空を見上げると、木の上に赤い実がたくさん実っている。その近くには鳥が一羽止まって、おいしそうに実を食べていた。
「そうか。きっとホウセキってこのことだったのね!」
ロマリーはこの赤い実がホウセキなんだと確信し、ビルのことを想いながら実を集めだした。
「教えてくれてありがとう、鳥さん!」
集め終えると、しっかりと鳥にお礼を言って、家へと帰って行った。