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三話
次の日。
「あっ、ビル!」
家の窓から彼の姿を見つけたロマリーは、急いで扉を開け駆け寄った。
「やぁ、ロマリー。あれ、いつもより顔が赤いね」
「そうかしら?きっとビルに会えてうれしいからだわ」
ロマリーは嘘をついていた。顔が赤いのは風邪を引いているから。けれど本当のことを話してしまうとすぐにさよならになってしまうと思い、少しだけ距離をあけて話そうと決めていた。
「それより、今日は何か良いことあった?」
きっと雪だるまのことを言ってくれる。そう期待しながらビルに問いかけた。すると、
「今日は良いことなんて全然なかったよ」
「そ……そう」
期待する答えとは正反対な答えが返ってきた。
ビルはあの雪だるまに気づいてないのかしら。
「暖炉に使う木が足りなくてさ、一日中寒かったんだ」
「それは大変だったのね」
がっかりしたが、きっと今日は寒すぎて外を見る暇なんてなかったんだわ。
と、ロマリーはすぐに考えを思いなおし、ビルとはその会話を終えるとさよならを交わした。