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二話
ロマリーが向かったのは、学校だ。もちろんビルの通っている学校だ。
「近くで見ると、やっぱりすごく大きくてきれいな家」
門の前に着くと、思わず立ちつくし、感動をする。どこまでも続く大きな長い建物。お金持ちしか通うことのできないこの場所は、ロマリーにとって憧れの場所でもある。
しばらく見上げたあと、小さな手と足を使って門をよじ登る。雪によってさらに冷えた塀は、彼女の体温を容赦なく奪っていった。
「ここからだときっとビルの教室からも見えるわよね」
ロマリーはたくさんの教室の窓が見える中庭に場所を決めた。
「よしっ、ビルがびっくりするくらいのを作るんだから」
そう言うと、ロマリーは雪をせっせと集めはじめた。
そう。彼女は雪だるまを作ろうとしていたのだ。