表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

◆第一章 穢れし地上六厄災1◆

◆第一章 穢れし地上六厄災1◆

 真っ暗な闇。それは余りに暗すぎて目が開いてるのか開いていないのか、分からなくなる程。そこら中から黴びの匂いがする。

床は柔らかくほんのり暖かい、何だか気持ち悪い感覚だ。辺りを確かめたくて伸ばした手に当たるのは、ゴツゴツとした固い壁の感触。その時だった、自らの下で何かがもぞもぞと動き始める。

「なっ、何よこれ!」

その場所から退こうとしても、どうやら狭い空間の様で動く事もままならない。

「動くな、ってぇ、まじ、動くな!」

聞き覚えのある声。その声の主が、自らの下で呻いている。試しに、思い切り叩いてみた。

「動くなって言ってるだろう!」

案の定、予想通りの返答だった。

「あら、椎叉?」

「憐華、俺以外に誰だって言うんだ」

ガラリッ

暗い空間内に差し込む眩し過ぎる光。暗闇に長い間居た為に慣れてしまった目には、その光はあまりに強烈過ぎる。少し時間が経ち、光に目が慣れてきたおかげで一人の男が見えた。

「お邪魔でしたか?」

押し入れの中の様子を見るや否や、一言呟いた男。

少し日に焼けた肌に明るい茶色の瞳。その瞳の色よりは黒に近い茶髪の髪を一つに纏め、後ろで縛っている。

その彼が押し入れを開け一番初めに見たのは、仰向けになった男。そしてその上に、のし掛かるように馬乗りになっている女だった。

「本当よぉ」

嬌笑を浮かべ悪戯っぽく憐華が呟くと、押し入れの戸がゆっくりと閉じられていく。

「って、おい!閉めるな」

慌てた椎叉が、戸を抑えて言った。

「あら、残念」

人の悪い笑みを浮かべ、椎叉の耳元でそう囁く憐華。椎叉の上から退くと、外へとでる。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「地上のこんな狭い場所に落とすなんて、元帥も何考えてるのかしら」

そうぼやきながら、服に付いてしまった埃を両手で払っていく。

「……良し。さてと、あなたは誰?」

「地上でのサポートを致します、観察使の紀堂笠音[キドウ カサネ]です」

地上中間所員である証、灰色ダイヤの指輪を見せる

「それで?今の地上の流れは?」

 傍から見れば大変不自然な質問だが、これはとても重要な質問である。

 異空間に値する三つの領域、そこではそれぞれ別々の時間や暦が流れて進んでいる。造られたときは同じでも、地と天と獄の領域それぞれには全く異なる時が流れているのだ。

「ここはニホン国、西暦2006年。三領域である地上に置かれている中間所の総本部です」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ