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ヒューマンドラマ

彼女は、ブランコに乗りたい夢を数十年かけて叶えた

作者: いかすみこ
掲載日:2026/03/13

 数十年ぶりに訪れた、小学校。

 校庭には、ブランコが揺れていた。


 今日は学校は休み。生徒は1人も来ていない。

 私はイタズラ心がわき、ブランコに乗ってみた。キシキシとした、鎖の音。老朽化が進んでいる、ブランコに負担をかけないように、そっと漕ぐ。


 こんな形でかつての夢が叶った事に、想いがこみ上げる。

 涙が出そうになった。


 私は学校に、馴染めない子どもだった。クラスで浮いてしまい、一部のクラスメイトからはイジメも受けていた。


 担任教師は扱いにくい私に、どう接すれば良いか困っていた。


 イジメに対しても、なんの処置も取らなかった。

 弱っていく私を見かね、両親は田舎に引っ越す事を決意した。転校直前の、最後の登校日。


 校庭のブランコを見て、『一度でいいから、乗りたかったな』と寂しくなったのを、まだ覚えている。


 あれから数十年。色々あったけど、私なりに頑張ってきた。

 かつての夢を叶えた今の自分を……あの時の、子どもの頃の私がみたら……『頑張ったね』 と褒めてくれるだろうか?


「市長、こちらにいたんですか!? 」


 いけない! 秘書に見つかってしまった。


「勝手な行動は、やめてくださいよ。予定が分刻みで、決まっているんですから」


 素直に謝る。


「ごめんなさいね。かつて、この小学校に通っていたから懐かしくて」


 秘書から、ハイハイと受け流される。


「それで、視察の結果は? 」


 私は気持ちを切り替え、仕事モードに戻る。


「そうね。学校側から要望のあった通り、遊具の全面改修が必要ね。全ての子ども達が、安全に楽しく遊べるようにするわ」

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― 新着の感想 ―
 体を張って子供達のストレス発散などに有用な遊具の耐久性などを確認するとは、良き市長ですね!  童心を刺激されながらも、庶民のためになることを一つ一つキッチリ行う描写などが書かれた物語、よかったです。
市長! 遊具の改修よりも、教職員の人選を総点検したほうがいいんじゃないでしょうか!
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