家族の察し方
家族の察し方
シャッツェルは、非常に気立の良く気の利く令嬢だった。
セラを気に入ったシャッツェルは心底兄が連れて来た恋人がセラでよかったと思っていた。
シャッツェルはセラが家に来るのを楽しみにしていた。
ところが今日は兄にさっさと上に連れて行かれてしまい、部屋で不貞腐れていた。
隣の部屋からは何やら話し声が聞こえていた。
それが急に静かになった。
おかしいと思ったシャッツェルは壁に耳を当ててみた。微かに聞こえた声に事態を察したシャッツェルは気の利く妹らしく母親に提案した。
「お母さん、今日ご飯食べに行こ。お兄ちゃん抜きで。」
「ああ....タイミングぐらい考えるかと思ったけど、案外ダメね。」
「ほんとだよ。セラもあんな男のどこがいいんだか。」
「お兄ちゃん基本いい男だと私は思うよ?」
「とりあえず行きましょ。シャッツェル、大声で言っときなさい。」
「はーい。おにいちゃーーーん、皆でご飯食べに行って来るねーーーー!」
いい仕事をしたと、シャッツェルは1人満足気に出かけて行った。
エメリスは忙しい。それでも夕飯は家で取るようにしている。今日もそのつもりだった。
すると電話が鳴った。愛する妻からだ。
「貴方、今日家帰っちゃダメよ。外で食べて来て頂戴。」
「え、何かあったのかい?」
「察して。レオは家にいるのよ。」
「おお....やっとか。レオにしてはよく我慢したねえ。」
「マンションも手放すみたいよ。よかったわね。」
「早めに仕事をやらせて稼がせたのが仇になっちゃったからなあ。セラちゃんに嫌われないようにしないと。僕、怖がられてる気がするから。」
「……それは仕方ないんじゃないの。あの家じゃ。今度貴方がデートにでも連れて行けば。レオは嫌がるでしょうけど。」
「そうしようかな。君たちも外食を楽しんでおいで。」
「ええ、そうするわ。」
妻にそっくりなのに、女に惚れ込むとダメになるところだけはそっくりな息子。
そんな息子が連れて来た女の子が自分が選んだ女と似た境遇を持っていることになんとも言えない気分になった。
妻とは違い、内側に抱え込むように影を持ち、柔らかくも強い芯を持った女の子は自分を前にするといつも硬くなっていることを、エメリスは知っていた。
行く末が心配だったがあの黒歴史まで受け入れてもらえたならもう心配はないだろう。
今日は1人で何を食べようか。
考えながら、パソコンの電源を切った。




