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王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ  作者:


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委ねるという答え

委ねるという答え

翌日。息を吸い込んで教室に入った。驚くほどいつも通りの教室。嵐が吹いていたのはセラのところだけで学校は変わらずに進んでいっている。

「セラ」

駆け寄って来たレオはセラが学校に来るかどうか心配していたのだろう。

「目は何ともないか?」

「うん、大丈夫。」

「今日終わったら家、来てくれるんだよな?」

「……うん。」

それの意味することぐらい分かっている。恐怖よりも、前へ進みたい気持ちが勝った。

「セラ、大丈夫?調子悪かったの?」

エリシアも心配してくれていたようだ。アメリスもやってくる。

「大丈夫。ちょっと疲れが出たみたい。」

「あんまり根詰めちゃダメだよ。」

「うん、ありがと。」

2人には音大を目指すことを伝えた。応援してくれる優しい友人たちは何があったのか深く聞かない優しさを持っていた。

放課後、学園祭の準備を終えるとレオがやって来た。

「セラ、帰るぞ。」

「レオとセラ、一緒に帰んの。」

「仲良いねー」

「黙れ。恋人と一緒にいたいと思って何が悪い。」

あまりにも堂々としたレオに黙るクラスメイト。何となく気まずい空気を残しながらレオに手を引かれて外に出る。

「レオ、手……」

「いいだろ、恋人なんだ。」

校内で手を繋ぐ羞恥心なんてレオにはないらしい。セラは居た堪れなくて俯くことしか出来ない。

校門を潜るとやっと息が出来る気がした。

「シャッツがお前が来ると言ったらうるさい。この間よっぽど楽しかったらしいな?」

「うん、いっぱい案内してくれて可愛かったのよ。」

「悪いな、付き合ってくれたのか。」

「私も妹と関係が良かったらこんな風に出かけられたのかなあって。なんだかシャッツが穴を埋めてくれたみたい。すごい嬉しかった。」

「だからシャッツが懐くんだ……フェルとの乗馬も楽しかったんだろ?」

「うん、純粋に乗馬が楽しくて、また連れて行ってくれるって。」

「そりゃよかった。あれは確かに気持ちいいよな。」

「レオもやったことあるの?」

「ああ。一時期結構ハマったんだが最近あんまだな。また行くか。それよりフェルに何か言われなかったか?」

「あー……フェルさんは昨日のこと予見してたのかなーって今なら思うけど。」

「なんだと……あいつ……強烈な敗北感を感じるな……」

「流石はお姉さんだね。」

「認めたくない。」

「意地っ張りダメ。」

「……分かってるよ。」

家に着くとシャッツが駆け降りて来る。こうやって来るだけで嬉しそうに出迎えてくれるなんて、私は幸運だ。

「セラちゃん、今度はアフタヌーンティー行きましょ!美味しいもの食べて、お菓子は可愛いのよ!」

「行ってみたい!」

「セラちゃん、いらっしゃい。」

嵐が吹いていたことを知らない家族はいつも通り迎え入れてくれた。

「ジーナさん、何か手伝うことないですか?」

「大丈夫よ。レオが今日は連れて行きたそうにしてるわ。」

「あ……」

「セラ、上行くぞ。」

「あー、お兄ちゃんに取られちゃった。」

「セラは俺の恋人だ。お前のじゃない。」

「ケチー」

「なんとでも言え。」

レオの部屋に入るといつもレオは疲れている。男1人はやはり肩身が狭いのかもしれない。

「セラ、座っていいから。」

「うん。」

少し、緊張してる。レオは明言しなかった。だからセラの勘違いかもしれないけど。

隣に来たレオは久々に気の抜けた甘い恋人の顔をしている。

「やっと2人きりだ……最近学校も忙しいし。」

「確かにそうだけど、夏休みはレオが忙しかったじゃない。」

「あれは……お前と2人きりになったら制御が効かないのが怖くて避けてたんだ……」

「やっぱり……なんか変だとは思ったけど。」

「もう何でもいい。俺は情けない男だよ。」

開き直った。セラとしてはこれくらいの方が安心する。

笑って髪を撫でると少し不貞腐れたような顔。

「もう、子供みたい。」

「そんな俺でもいいんだろ。」

「うん。でもずっとはやめてね。」

「当たり前だ。そんなにガキじゃない。……セラ、俺もう無理。」

「ん……ねえレオ。」

「何だ?」

優しい顔。普段は優しくて頼り甲斐があってかっこいいのに、意地っ張りで情けない人。

でもこんなに愛してくれて、寛容な人なんてきっといない。

「私、やっぱりラッキーだと思うの。」

「……急にどうした。」

「だって、レオみたいに愛してくれる人は、きっといないの。」

「……確かに世界中の誰よりもお前を愛している自信だけはある。」

「うん、だからね……ありがとう、レオ。大好きだよ。」

「……俺は飯の後にと思ってたんだが。」

押し倒されたベッドの上、レオが上にいる。そのことに、怖いどころか安心するなんて。

「いいよ。私、レオに触れて欲しい。」

「お前……もう限界だ。」

その言葉と共にされるキスはいつもみたいに我慢したキスじゃない。貪るようなキスに熱を帯びた目。

「ゃ……あ……んん……」

服の上から触れられるだけで震えてしまう。人に、触れられることがこんなに気持ちいいなんて。

「声、抑えとけよ……優しくするから。」

「ん、分かってる……っ」

「なあ、気持ちいいか?」

「うん、気持ちいい……レオ……」

「はぁ……やばい。可愛すぎる。」

丁寧に脱がされていく服と、露わになる身体に急に恥ずかしくなる。

「隠すな。綺麗だから……」

交わる視線。レオの目が、不安を全部溶かしていく。

その目に、身の全てを委ねれば、落ちて来るのは快感と愛。

レオのこと以外考えられなくなるような熱に、ただ、溺れていった。


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