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王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ  作者:


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壊れかけた愛の、正直な告白

壊れかけた愛の、正直な告白

セラが、学校に来なかった。それだけで自分が何をしてしまったのか、改めて思い知らされる。

今朝、ライからメールが来ていた。

『姉が部屋から出てこないんですが、何かありましたか?』

『俺のせいだ。悪い。』

『流石にこれは初めてなんでなんとかしてください。俺、連絡あるまで外いるんで。』

『学校終わったら直ぐに行く。必ずなんとかするから。』

ライにはそう言ったものの授業など耳に入らなかった。人の言葉も、音も。ただ雑音のように聞こえる周りの世界と昼休み、学園祭の準備をする。

なりふりなど構っている場合ではなかった。このままでは本当に関係が終わってしまう。それだけは。授業が終わった瞬間教室を飛び出した。クシェルが上手く言ってくれるだろう。

セラの家の前で足が止まる。ここは来年にはセラとレオの家になるはずだったのだ。そう、なってもらわねば困る。

インターホンを押す指が震えた。虚しく響くインターホンに、答えてもらえないことを覚悟した。その瞬間聞こえるドアが開錠される音。

その音に安堵しているわけにはいかない。話はここからだ。

家のドアは開いていた。そろりとドアを開けると人の気配がない。

セラの部屋をノックする。すると開かれたドアの前に立っているセラは俯いてこちらを見ようともしない。

「セラ。話がしたい。」

「話すことなんて……」

「ある。俺に、まだ少しでも愛が残っているなら、話させてくれないか。」

無言のセラ。分かっている。俯いていたって見える絶望の色を帯びた目。セラはきっとこれで終わりだと思っている。セラにとって、続く愛なんて存在しない。

だから、ちゃんと話さなければならない。

微かに頷いたのを肯定と取った。

「……セラ、まず謝らせて欲しい。俺の愚かさがお前にこんな思いをさせた。」

「……別に、レオが悪いわけじゃないでしょ。過去何してたかなんて人の自由なんだから。」

「そうやって言って、お前は何も納得してない。ただ諦めてるだけだ。俺はお前をそんな諦めで失うわけにはいかないんだよ。」

必死の懇願。俯いていたセラの顔が僅かに上がる。理解できない。そう、書いてある顔。

「俺はお前に嫌われたくない。いい格好して、お前に頼れるかっこいい男だと思って欲しかった。だからあの酷い過去をなかったことにしようとした。お前を抱けなかったのは抱いたら過去と同じになる気がして怖かったからだ。……本当は、抱きたくてたまらない。」

「言って、くれれば……」

「あのマンションは俺の汚点だ。俺が、お前に知られたくないような黒歴史を作り上げた場所。そんなところにお前を連れて行きたくなかった。話さなかったのは俺の愚かな見栄だ。……家に、誰も連れて行ったことなんかない。お前だけなんだよ。」

セラの目に、涙が光った。泣く姿に、泣かせた自分を責めたくなる。

「分かってるの……レオにだって理由があることくらい。過去のことだって分かってた……でもあの女の子たち全員にレオが触れて、キスしたんだと思うと耐えられなくて……それに、私には話す価値もないのかなって……」

嗚咽しながら話すセラに、胸がどうしようもなく傷んだ。抱き寄せたい。なのに今の自分にはその資格がない。

「……俺が、お前にキスする時、俺はいつも我慢してるし必死だ。もっと触れたくなって、気持ちよくて、お前に気持ちよくなって欲しくて。余裕なんてない。他の、女にこんなこと感じたことない。お前に話す価値がないんじゃなくて俺がお前に拒否されるのが怖くて隠してただけだ。だから……お前が、こんな俺が嫌なら……」

それでもいい。そう言いそうになってやめた。だって、どうしたってよくない。

「いや、違うな……すぐに受け入れられなくてもいい。でも、それでも俺といて欲しいんだ。」

「……ずっと、不安だったの。私だって、レオに触れて欲しいって何度も思ったの。なのにレオはやめちゃう。あんなに女の子に手出すのが早いって聞いてたのに……私、レオといたいの。でも……」

限界だった。抱き寄せた身体は小刻みに震えていて、自分がどれだけセラの根幹を震わせてしまったのかを感じずにはいられなかった。

「……今だって、俺はお前に触れたい。こんな話をしている最中にだ。それぐらい、俺はお前といると歯止めが効かない。情けなくて、知られたくなかった。」

「……レオが、情けないことぐらい知ってるの。かっこつけたいことも、いつも私を楽しませようとして気遣ってくれてることも。それがすごく嬉しくて、でもたまに寂しくなるの。」

「……なんで?」

「私はレオの全部が知りたい。情けないところも、かっこ悪いところも、子供みたいなところも。そんなの、あることぐらい分かっててレオと付き合ったの。完璧なレオなんか求めてない……だから、隠してなんか欲しくなかった。」

……そうだ。セラは、強い。あの家庭環境を生き抜いて、それでも人をこんな風に受け入れよとする強さに、レオは惹かれたのだ。

「……悪かった。もう変な隠し事はしない。過去は、変えられなくても今もこの先もお前だけだって、証明して見せる。だから俺をもう一度、信じてくれないか?」

「……次、あったら私多分耐えられない。」

「ない。次なんて、ないから。」

「……分かった。……私も、ごめんね。昨日突き放して。」

「いい。あの状態で俺を気遣えなんて思わない。……なあ、もう分かっただろ。俺がどれだけお前を抱きたくて我慢してるか。」

「……うん」

「明日、家に来いよ。今日はそんな泣きはらした状態だから。」

「……うん。」

聞こえた返事に腕の中のセラをもう一度きつく抱きしめる。こうすることが、許されたことに、安堵なんて言葉では足りない。崖っぷちから無事生還したような気分だ。

「はあ……俺、お前を失うところだった。」

「私ももうダメだと思った。全部返して、今までの生活に逆戻りだなって。」

「そんなことさせるわけないだろ……勘弁してくれ。」

「レオ……愛してるよ」

「は……え……なんで今……」

「すごい間抜け面。ただ、なんとなく言いたくなったの。」

「……俺は一生、お前に敵わない。」

「そんなことないと思うけど」

「もう無理だ……せめてキスさせて。」

仲直りのキスと呼ぶには少し痛すぎたけれど。激しく吹きすさんだ嵐が家を飛ばしてしまうことは回避できたようだ。

何度も深く、口づけた。セラは、それを受け入れてくれた。


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