セラの、知らなかったこと
セラの、知らなかったこと
次の日。それはそれは痛い学校中の視線。こうなるから嫌だったんだ。
しばらくは図書室で過ごしたいところだが昼休みも学園祭の準備のためどこにも逃げられない。
レオはといえばバレたのをいいことに教室内で声をかけてくるようになった。
「セラ、昨日は眠れたか?」
「ちゃんと寝れてるよ。ていうかこれほんとどうすんの……」
「バラしたのはお前だぞ?俺は何もしてない。」
「分かってるよ……」
どんなに恨みがましい視線をレオに向けてみたって自爆したのは自分なのだ。がっくりと肩を落とさねばならないのは今度はセラの方だった。
昼休みの作業中。
「セラ、お前はあっち行け。昨日みたいなことされたら俺の寿命が縮まる。」
「もうしないもん……」
「ダメだ。お前工具持ったことないだろ。」
「うぐっ……なんで分かるの」
「ライがお前にやらせるとは思えん。」
その通りだ。セラとは正反対に機械ものや工具に滅法強いライは絶対にセラに触らせようとはしなかった。昨日はそのツケが回ってきたわけだが。
「じゃあこっち手伝ってよ、セラ。レオも俺ならいいだろ?」
「ああ。」
クシェルならセラも気を遣わない。大人しくクシェルと作業をすることにした。
「ごめん、私ちょっとお手洗い行ってくるね。」
「うん。大丈夫だよ。」
トイレに行って、出てくると囲まれているのは気のせいではないらしい。
「貴女よね?レオくんと付き合ってるの。」
違うと言ったらどうするんだろう。ほかの人のところへ行くんだろうか。
「いや……」
「しらばっくれても無駄よ。顔は割れてんだから。男に人気の”裏”高嶺の花さん。」
これだけで今からどんな嫌味を言われるかが想像できる。まあ物理的なら止めればいい。生憎嫌味を聞くのには慣れている。
連れていかれた先は体育館裏。なんとも定番な場所だ。
「あんた調子乗ってんじゃない?」
テンプレのような言葉から始まった女に次々と言葉が続いていく。
「レオくんが本当にあんたを本命にしてると思ってるの?」
「大して美人でもない癖に男にちやほやされて浮かれてるんでしょ。」
別に、これぐらいは分かっていた。レオと付き合えば何か言われることぐらい。何も反応もしないセラに女たちは苛立っている。
「なによ、そんな澄ました顔して。どうせあのマンションにも連れて行ってもらってないんでしょ!」
「マンション?」
聞き返せば女たちは勝ち誇った顔をした。
「ほらね。何かも知らないなんて。抱かれてもないんじゃない?」
「それは……」
気に、していたこと。なんてことないつもりだった心が急に揺れてしまう。そんなの、この女たちの思う壺なのに。
「付き合って数か月も経つのに抱いてももらえないなんて、レオくんあんたのことは本気じゃないのね!」
何も、言い返せない。
セラだって分からない。レオがどういうつもりでいるのかなんて。きっとここにいる女たちは皆レオに抱かれたんだ。そう思った瞬間一気に苦しくなった。
「本命じゃないならちょっとぐらいいいわよね?このっ――」
殴られる。そう思っても、止める気にもならなかった。




