表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/78

聞こえる声が変わった朝

聞こえる声が、変わった朝

鏡の前で、着替えをした。

『綺麗だ。』

ふと、聞こえたのはレオの声。あの甘くて優しい顔と声。

聞こえた言葉に温かさを感じていると、気付いたのは背後にいた母の声がいつの間にか消えていたこと。

背後でいつも私を醜いと言った声は、いつの間にか聞こえなくなった。

背中の重荷が、少しずつ降りていく感覚。

朝、迎えに来てくれた人の顔を見て朝の声を蘇らせるように言ってくれる言葉。

「今日も綺麗だな。」

いつも気恥ずかしいその言葉が、今日は純粋に嬉しかった。

「なんだ、何かあったのか?」

「うーん……朝、着替えをしててね。そしたらレオの声が聞こえたの。お母さんじゃなくて。」

「……モーニングコールでもしてやろうか?」

「それはいい。」

「なんだ、一瞬素直になったと思ったのに。」

「はいはい、行こ。」

仕事で新しいお菓子の試食とレポート。頭と感覚を使うこの仕事は嫌いじゃない。グレータはまた最後にお菓子をくれた。

レオがくれる言葉が、グレータがくれるお菓子が、ライの言葉が、少しずつ天秤を傾けていく。そのことが、怖くて、でも願いに手が届く希望と混ざり合って心は忙しなく動き続けている。

すっかり減った家庭教師の仕事。未練も何もない仕事。

空いた日にピアノを弾いて、その手がさらに近くなる気がしていく。本屋に行けば目に入る楽典の本。意識が、どうしたってそこへ向かっていることを否定するのは難しかった。

夏休みに入って仕事が忙しいレオは中々家には来られない。それともあの日以来セラを気遣っているのかもしれない。

どちらかは分からないけれど。明後日はデートだ。そのデートはセラの天秤を傾けるのだろうか。

何か、心が期待していることを誰にも悟られないよう内側にしまい込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ