温かいお菓子の意味
温かいお菓子の意味
泣いても目が赤くなることがないセラだったが昨日は流石に泣きすぎたらしい。朝鏡を見れば目が赤くなっていた。
レオの言った言葉は、セラにとったら不思議でたまらなかった。嫌いにならないでいてくれて、待っていてくれる人。心は、少し軽くなった。あんなに怖いと思っていた気持ちは無くなった気がする。あとは、私が選ぶだけ。
仕事は順調に進んだ。改善案が評価されて一部取り入れることとなりその細かい打ち合わせに参加させてもらえることになった。細かいこととなるとまだ分からない部分が多く、学ばなければならないと午後は学びに時間を費やすことを許可してもらった。グレータは、セラの赤い目にも何も聞かずにいてくれた。最後、仕事が終わる直前、グレータが聞いた。
「仕事は楽しい?」
「そうですね……楽しいと言えるかどうかは分かりませんが、まだまだ未熟なのでやることだらけです。」
「セラちゃんは真面目よね。きっと何をやっても成功するわ。」
「そんなことはないと思いますが……」
「うちは純粋にセラちゃんが欲しいわ。その能力を買ってね。でもセラちゃんは、それで嬉しいの?」
「嬉しい……かは分かりませんが有難いと思います。」
「貴女は生活ベースで考える癖があるわね。まだ18なのに。」
「確かにそれはそうですね。生きなければならなかったので。」
「過去形?」
ハッとする。生きなければならないと追い詰められていたことがいつの間にか過去になっていたということに。
「あ……今も、かもしれません。」
「いいえ、違うわ。今貴女は選べる立場にいるのよ。初めて、普通の18歳のまだ未来ある女の子として。」
何が、言いたいのだろう。レオと何か話したんだろうか。
「……私には贅沢な話です。」
「他の18歳の子は親から当然のようにその権利を享受するわ。貴女はたまたま親でなかっただけ。セラちゃん、私がお菓子を今あげたいといったら受け取ってくれる?」
「そう、ですね……有り難くいただきます。」
「それはお菓子が好きだから?それとも断ったら失礼だと思ったから?」
「どちらもでしょうか。」
「お菓子は小さいから判断が簡単よね。でも断ると失礼は間違ってるわ。私は食べて欲しくてあげてるんだもの。」
「……そう、思うのは少し難しいです。」
「ええ。だからはい、お菓子。ここのじゃないけど、美味しいわよ。」
渡されたお菓子を食べると魔法でもかかっているかのように温かい気持ちになった。
「ありがとうございます。」
「また次もあげるから貰ってね。美味しく食べてくれたら嬉しいわ。」
そう言って、グレータは微笑んだ。




