楽しいアイスクリーム
楽しいアイスクリーム
「セラ、帰ろ。」
「うん。」
「あれ、なんかいいことあった?」
エリシアは妙に鋭い。お菓子の新作を味見させてもらったなんて言えるわけないじゃないか。
「そうかな?なんか今日はあんま疲れてないかも。」
「そう?それなら帰りアイスでも食べてかない?」
聞いたのはアメリスだ。
「アリ。今日バイト遅いし。」
ダメだ。お菓子は断れない。こんなに食べていたら体重計に乗るのが怖くなってしまう。
街の通りにあるアイスクリーム屋にはたまにエリシアとアメリスと寄る。
「あれ、レオくんじゃない?」
アイスクリームを味わっているとエリシアが言った。目線を伸ばせば確かにブロンドの髪が見える。隣にいるのは――――
「彼女かな?ひぇぇ、超可愛い!」
アメリスが騒ぐのも無理はない。
確かに人形のように癖毛で可愛らしい女の子が隣に立っていた。恐らく年下だろうが、うちの学校では見たことがない。
「他校かな?」
「だろうね。あんな子いたら噂になってるよ。どっかの令嬢とか?」
「きっとそうだわ!社長の後継に相応しい良家の娘なのよ!」
アメリスはこの手の話題が大好きだ。あっちこっちから情報を集めてくる。
「あんたどうなってるの!?この間レオくんと話してたじゃない!?」
「一回話したからって何もないでしょ。あんだけ女の噂絶えないんだから令嬢の1人や2人相手いてもおかしくないよ。」
「まあそれはそうだけど....セラは欲張らなさすぎよ!裏の高嶺の花が廃るわ!」
「廃って結構。大人しく隅で図太く生きてるわ。」
「もう、ほんとに....今度お化粧してショッピング行きましょ。たまには女らしいこともしなくっちゃ!」
「私も夏服買いたいからショッピングは賛成かな〜」
たまになんでこの3人が仲良くなったのか不思議になる時がある。お互い嫌味がないからだろうか。
レオがこちらを振り向いた気がした。




