変わる恋人、変わる日常、崩れる理性
変わる恋人、変わる日常、崩れる理性
家に入ったレオは何とも複雑そうな顔をしていた。嬉しいようにも、苦蟲を噛み潰したような顔にも見える顔は最早面白いほどだ。
「さっきからどうしたの?ゲーセン、楽しくなかった?」
「いや、不覚にも楽しんだ。お前も楽しんだんならそれでいいんだが.....」
「何買ったか見る?」
「いや、それはっ....それを迷ってるんだ。」
迷った顔だったのか。たかが服を見る見ないであんな顔をするとは。つくづく謎な男だと思う。
「私どうせ開けるから一緒に見てくれたら嬉しいけど.....」
「なら見る。どうせデートで見れるのは1着だからな。全部見るには一年かかる。」
「そこまででは......あるか。クローゼット、入り切るかなあ。」
「足りなかったら買いに行くぞ。」
「とりあえずやってみる。これが1着目。」
「おお、雰囲気が違うな。」
「でしょ?で、次が……」
「待て。着てくれるんじゃないのか?」
「ええ。もう今日試着散々して疲れたよう」
「頼む。明日お菓子持って行くから。」
「私がそういえば断れないと思って......分かったよ。」
セラだって、レオに見てもらいたくないわけじゃない。ただ、恥ずかしいのと疲れてるだけで。
「どう?」
「..........」
「....似合わない?」
「はっ!違う!すまん、あまりにもよくて言葉を失った。そっち系もいけるのか......」
「で、次がこれ」
「...なんか母さんに負けた気分だ。こんなに変わるとは思わなかった。」
「ね。私もびっくりした。」
着替えるたびにいい反応をしてくれるレオに悪い気はしない。段々楽しくなって、試着タイムを終えながら片付けた。
「デート、楽しみすぎるな.....でもあのオフショルは他の男には見せられん。」
「キャミワンピだって同じようなものでしょ。」
「あれは羽織るだろ。」
「まあそうだけど。あとアクセもあるの!」
「へぇ、これとかあのワンピに合いそうだな。」
「でしょ?それで選んだの。ピアスも可愛くて....」
ちゅっ
「!?何急に」
「いや、可愛くて。嬉しそうにアクセ見せるから。」
「だからって.....」
「なら言えばいいか?セラ、キスしたい。」
「ん......はぁ.....」
「こんなんマジで罪だろ。俺を殺す気か?」
「ジーナさんは打倒レオで燃えてたけど」
「作戦は見事に成功してるな。俺はまだデートでもないのに死にかけだ。なあもう一回.....」
ガチャッ
「ただいまー。あ、レオさん.....すいません、お邪魔しました?」
「いい、お前がいてくれなきゃ俺の歯止めが効かない......」
項垂れるレオは今日は調子が良くなさそうだ。そういえば最初の頃もよくこうやって項垂れていた気がする。
「何笑ってる。」
「いや、最初話しかけて来た時私が無視して項垂れてたなーって。思い出した。」
「やめろ、思い出させてくれるな......」
「はいはい。ご飯簡単なのにするね。パスタでいい?」
「いいよー」
「俺はマルドナルドでアホほど食った。今日は帰る。」
「あれ、そうなんですか?珍しい。」
「レオさっきから調子悪そうだもんね。ゆっくり休みなよ。」
「ああ。次は会社だな。月曜日、迎えにくる。」
「そうだね。よろしくお願いします。」
「じゃあまたな、ライ。」
「はーい。」
レオが去ったので今日は靜かな食卓だ。
「あー美味し。俺ご飯が美味しかったこと、忘れてた。」
「ほんとね。美味しく思えてよかった。」
「なんか不思議なんだ。少し余裕ができたら友達と遊びに行きたくなった。」
「え、行くの!」
「うん。夏休みに一回。」
ライは、ずっと仕事ばかりで友達がいるか心配していたのだ。これは本当に喜ばしい。
「楽しんできてね。」
「うん、ありがとう。」
何かが、変わりつつあった。




