暴かれる偽り、奪われた支配
暴かれる偽り、奪われた支配
来るのは予想通りだった。だが血の気の引いたセラの顔を見ると怒りが沸る。抑えながら校門前まで行くといつか見たよそ行きの顔を貼り付けた女がいた。
セラに、似た女。顔立ちや色素は多少違えどやはり親子だ。人目を引く美人。それがこの女の人生を狂わせた一因でもあるのだろう。
セラが、こんなことを望んでいないことは知っている。本当は普通の家で、普通に学校に来て、普通に恋することを望んでいたはずだ。
それを、この親は全て壊した。
「あら、レオくん。丁度よかったわ。セラを知らないかしら?」
「セラですか?セラなら家に帰ったと思いますよ。」
「でも昨日からいないのよ。荷物もまとめていなくなって....それにライまで。どういうつもりなのかしら。」
「お母様と一緒に住む気がないと言うことでは?」
「は?そんな、何言ってるの。私はあの子の母親よ?」
「もう高校生です。身の回りのことは誰よりも出来ますし、一緒に住む必要はないと判断されたのでは?」
「そんなこと....あるわけないじゃない。あの子は私がいないとダメなのよ。」
「何故です?セラは家事も仕事も問題なく出来ますよ。」
「私があの子を育ててきたのよ。可愛げもない癇癪起こしてばかりのあの子を.....!レオくん、貴方あの子の居場所を知ってるんでしょう。教えてくれたら怒らないわ。」
「俺は別に貴女に怒っていただいても構わないんですが。セラの場所は言えません。セラはこのことに納得しています。」
「それは貴方がそう思ってるだけでしょう?あの子だって帰りたいはずよ。妹まで置いて行くなんて....可哀想なメアベル。」
「常に嫌味と母親の機嫌に晒され、自分の部屋もなく、妹に全てを譲らなければならない環境に帰りたいと思うほどのマゾヒストはいないでしょう。お母様こそ、このままお帰りになってくださるなら何も起こさず済みますが。」
母親のよそ行きのの顔が崩れて行く。
「貴方ね.....!会社の社長息子だからと思って何でもできると思ってるんでしょう!?あの子はうちの娘よ!返しなさい!」
「お取り込み中失礼します。」
「ああ、コンペル。いいところに来てくれた。お母様、彼はうちの顧問弁護士なんですよ。」
弁護士という言葉に母親は一瞬たじろいだ様子を見せた。自分の行いに僅かにでも自覚があるのだろうか。
「弁護士....?弁護士がなんの用なの。」
「確認させていただきましたところ、あなたがたに支払われている養育費は全て母親である貴女、そして次女であられるメアベル様によって使い果たされてるとか。離婚された元旦那様はこのことを把握しておられませんでした。事実をお伝えしたところ非常にお怒りでお母様への養育費の支払いは止めるのとのことです。」
「は、何言って.....私はそんなことはしていないわ!」
「ではお持ちになられているそのバッグはどこから?かなり良いブランドの物のようですが。それにそう仰られるということはセラ様とライ様は働く必要はないということでしょうか。」
「そ、それは.......ラ、ライは身体が弱いのよ。病院代がかかって.....」
「では明細を出していただきましょう。養育費を私用に使い果たしていないというのであれば証拠を出していただきます。出来なければ裁判になりますが、勝ち目があるとは思われない方がよろしいかと。」
「そんな.....裁判だなんて....私たちはどうすれば」
「メアベル様、お母様共に働かれて生活されるしかないでしょう。それが出来なければ借金暮らしですな。因みにこの件に関してアインハルト家は一銭の助けもいたしません。」
「なんて非情な家族なの......!あれだけ娘を誑かしておいて.....!セラは私のものなのよ!」
「セラを誑かしていたのは貴女だ。彼女の優しさにつけ込み負う必要のない責を負わせた。
これ以上話す必要はない。コンペル、お帰りいただこう。いつまでもここにいられては迷惑だ。」
「なんですって.....」
「行きましょう。」
連れられていった母親を見送った。どれだけ虚勢を張っても事実は変わらない。諦め、働くのか、それとも借金まみれの生活をするのか。
レオにはどうでもいい話だった。




