側にいることを、どうか許して
側にいることを、どうか許して
翌日、学校に行くと何かを言いたくて堪らないといった顔をしたレオと目が合った。お願いだからお昼まで我慢してくれと目線を送る。
もうすぐ夏休みだ。稼ぎ時の夏休み。この時期に稼いでおかないと文化祭の準備に参加できなくなってしまう。
「やっと来たか。」
「これでも急いだんだけど。ごめんね。」
「いや、謝らなくてもいいんだが。心配でどうにかなりそうだった。」
「....びっくりしたよね。あれじゃ。」
「次家出たくなったら俺に電話しろ。別に家来なくてもいい。そこら辺でも付き合うから。」
「いや、昨日はつい出ちゃっただけで....もうしないから。」
あまり心配はかけたくない。うちの事情にも、これ以上巻き込めば母親は更にうるさくなる。
「お前たち、どうやって生活してるんだ?あの調子なら母親は働かないどころか金を使い果たしてるんじゃないのか。」
「一応父親が私の学費は払ってて。学歴にうるさい人だからね。辞めると養育費を払わないって言うから辞められないの。学費と別に貰ってる養育費はほとんど母親とメアが使ってる。だからその他の生活費は私とライが働いて捻出してる感じかな。」
「言いたくないなら言わなくていい。父親には会うのか?」
「たまーにね。私だけ。家の中じゃなければそれなりに会話は成り立つ人よ。」
「そのレベルなのがな....」
「セラ。とにかく辛いことがあったら俺に連絡しろ。些細なことでもいい。漫画の話で気が逸れるなら付き合うし、夜中のコンビニだろうがなんだって付き合うから。」
レオは、優しい。普通こんな話を聞いたら皆逃げていくのに。レオは正面から向き合ってくれている。
「.....私、好きになったのがレオでよかった。」
「!?おまっ急に何を......」
「ほんとのこと。レオ以外の人と付き合ったってきっと上手くいかない。」
「なんか人生で大して積んでない徳を使い果たした気分だ....」
天を仰いでいる。変なレオ。
「必ずお前を幸せにする。手始めに今週木曜はうちの会社だな。あともうすぐ夏休みだが....」
「稼ぎ時!」
「そう言うと思ったからうちの仕事を増やしておた。家庭教師の方減らしとけよ。じゃないとデートいけないだろ。」
「....ちゃんとした仕事?」
「それなりにちゃんとした仕事だ。いいか、俺はお前との時間を削られたらキレる。キレたら会社そのものに影響があるんだよ。」
何だかとっても理不尽な気がする。社員の方はそれで納得するんだろうか。
「自然系でいいとこ考えてみたんだが、こんなのどうだ?」
見せてくれたのは綺麗な噴水の周りに花が整備されている庭園のようだ。
「よさそう!写真撮りたいって言ってたもんね。」
「ああ、そうだろ。ここから車で1時間弱だ。ドライブがてら悪くない。」
「ほんとだね。」
昨日あんなに辛かったことが嘘みたい。レオが隣にいるだけで、暗い影は消えてしまう。だけどそれは罪なのかもしれない。私に、こんな幸せを手にする資格なんてないのかもしれない。実の親すら守れない私が。
でもこの幸せを後少しだけ。そう、願ってしまう自分がいた。




