変わっていく君に、焦る俺。
変わっていく君に、焦る俺。
「で、無事落とせたわけだ。」
「分かるのか?」
「そりゃね。最近昼休み全然降りてこないしゃない。でも大丈夫?セラに寄ってくる男増えてるけど。」
「それなんだよな....自覚がないのが困る。」
「あの雰囲気じゃなあ....裏の高嶺の花だったのに表どころか話しかけやすくなっちゃったよ。」
「俺の女だと知ったらどんな顔するんだろうな。」
「また逆も然りだけどね。レオの相手がセラだって知ったら周りの女が黙ってないよ。」
「だから大人しくしてるんだろ。群がる男どもを殺したいのを我慢してるんだ。」
「その殺気でバレるんじゃない。レオがここまで直情的だとは思わなかった。」
「...俺もだ。」
セラに惚れてからと言うもの、自分の知らなかった醜い部分をまざまざと見せつけられる気がしている。だがそれをセラに悟られたくもなかった。
「セラ、可愛い。」
言い過ぎたのか、慣れてしまったセラは少し苦笑いをしながら寄りかかってくる。その肩を抱き寄せると見上げる目は安心しているように見えて、この時間が永遠に続くことを願わずにはいられない。
「レオ、あのね....」
少しだけ甘えたような声。こんな声を聞けるのは自分だけだという優越感。
教室で、授業を受けているセラに目をやる。髪を耳にかける仕草には艶があり、以前に比べて明らかに女らしく柔らかい雰囲気のセラは、男たちが言い寄りたくなるのも無理はない気がする。
「雇い主に伝えたよ。仕事、少し減らしてもらえるって。」
「なら今度会社に行かないとな。あんまり表に立ちたくないだろ?部門はグレータのところにしてある。グレータなら嫌なことはしないはずだ。」
「ごめんね、気遣わせて。味見以外の仕事もいくらでもするから、ちゃんと使ってね。」
そんなこと、出来るわけがない。これだって絞り出した苦肉の策だ。話を通したグレータは笑いながら引き受けてくれた。
「明日、デートだな。」
「デート....そう、だよね。」
「そうだぞ。ついでにお前の妹にはちゃんと宣言してやる。」
「泣き出しちゃうかも....あとライ、弟がレオに会ってみたいって」
「泣かせておけ。その弟はまともなのか?」
「ライはよく働くしいつも私の心配ばかりしてるの。あの子こそ彼女でも作ってくれればいいんだけど。」
「それならちゃんと挨拶しておかないとな。弟もお前に彼氏が出来たら安心するかもしれないだろ。」
「それもそうだね。」




