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王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ  作者:


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そこら辺の雑草

そこら辺の雑草

「セラ」

「.....」

「セラ?」

宣言通り来てみたものの、セラからの返事はない。

「あー....レオくん、本読んでる時のセラに話しかけても無駄だと思う....」

赤髪のこの女は確かセラの友人のはずだ。

「何でだ?この前は反応したぞ?」

「それは激レアっていうか....何か用があるなら伝えておくよ?」

僅かに見える下心。だがセラの友達と思えば無下には出来ない。

「いや、いい。俺が来たことだけ伝えておいてくれ。」

「分かった。」

意気消沈して戻ればクシェルは楽しそうに出迎えてくれる。

「俺は本以下か....」

「一回しか話したことないんだろ?無理もないよ。」

「普通一回話したら落ちないか?」

「それはレオがおかしいだけ。ましてや相手はセラだよ?」

セラなら男の噂によく上がる。話しやすいのに告白した男は全滅。ヤレそうかどうか。その手の話題でもセラは確実にノーに分類される。

「噂じゃ1年の時1番モテてた先輩からの告白をあっさり振ったらしい。レオの顔をイケメンと思ってるかも怪しいね。」

「俺も小説にでも手出してみるか...」

「ピアノを弾くらしいよ?一度聞いてみれば?」

「そうなのか?」

あの姿でピアノを弾けば何とも幻想的だろう。折角同じクラスになったのだ。接点ならいくらでも作れる。



「セラ、さっきレオくん来てたよ?」

本を閉じたタイミングでエリシアが言った。

「あれ、ほんと?全然気づかなかった。」

宣言通りやってきていたらしい。本を読めば最早気づかないことを伝えていなかった。

「ほんっとに本読んでるとダメだよね、セラは。」

「諦めよ。何回電車乗り過ごしたか分かんないよ。」

「ところでいつレオくんと仲良くなったの?」

「なってないと思うけど。」

「なんかショック受けてたよ?セラが無視するから」

そんなことを言われても。仲良くなった覚えなどない。

「いや、別に無視してたわけでは....まあ一応謝っとくわ。」

「えー、いいなぁ。レオくんなんて学園の王子様じゃない。」

「いいもなにもないよ。顔も好みじゃないし。」

「セラはなんかこう武人ぽい無骨な感じの方が好きよね....でも信じらんない、あの顔を前にして普通に会話するなんて」

大して男に興味のないエリシアですらこう言う。セラなど2年になってやっと顔と名前が一致したというのに。

「どうせ同じ人間でしょうが。」

「セラのそういうとこよね。だから高嶺の花なんて言われるのよ。」

「そこら辺の雑草と変わんないんだけど。」

大して可愛くないと言われて育った。そんな自分が高嶺の花と言われても戸惑うだけだ。

一応、悪いと思い放課後声をかけておくことにした。

肩をトントンと叩くと驚いた顔で振り向かれた顔は緩みそうになったのを慌てて引き締めたようで、見ていて面白い。

「さっき、ごめんね。」

「あ、いや....俺のタイミングが悪かったんだろ。」

「私、本読んでると何にも聞こえないから。キレる前に無視するだったね。」

「そっちの方がタチ悪くないか?」

少し拗ねたような顔。気取った顔以外も出来るのか。

「皆諦めてくれてるんだけど、言ってなかったら分かんないよね。」

「次、どうすりゃいい?」

「まあどうしてもなら肩叩いてくれれば流石に...」

「いいところだったら?」

「睨んじゃうかな。」

ガックリと肩を落としている。昨今そんなに退屈しているんだろうか。

「....昼は?」

「お昼?エリシアたちと食べて、図書室か屋上にいるけど。」

「ならもうそこでいい。適当に行って話しかけても怒るなよ。」

そう言う彼の方が少し怒っている気がする。

「はあ。なんでもいいよ。読んでなかったら。」

「お前な....まあいい、またな。」

「うん、またね。」

さて、さっきの続きを借りて帰ろうか。そんなことを考えながら教室を後にした。

 

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