貴方が私を気遣う理由
貴方が私を気遣う理由
最初はどんな気の迷いかと思ったがレオは本気で漫画にハマったらしい。奇妙な感想文が送られてくるようになった。
『おい、ヒーローが死んだぞ。ヒロインの相手が死んだら話はどうするんだ。こんなことなら火でさっさと燃やしておけばよかったんだ。』
『これはスポーツとして成り立っているのか...?最早バトル漫画じゃないか。技の背後にドラゴンが登場したぞ。』
料理をしながら、送られてきた文に思わず吹き出してしまう。
「あら、楽しそうね。」
「あ、いや、友達が。」
「いいわね、私は毎日退屈だわ。あんたは友達にも愛されて、いいわね。私のことなんていつも放っておくくせに。」
また始まった。母は人生がつまらない。だからセラにこうして呟く間だけが楽しみなのだ。
「明日友達と出かけるんじゃなかったの?」
「ええ、そうよ。夜は遅くなるわ。どうせよかったと思ってるんでしょ。」
「そんなこと言ってないじゃない。」
思ってる。だって家にいたらずっとこうだから。またお金を使われる。そう思っても出かけてくれる方が安心した。
早く明日になって欲しい。そしたら学校に行けるのに。
湧き上がった思いに驚いた。学校は、決して気楽な場所じゃない。多くの人から自分を隠さねばならない場所。
そう思っていたのに。
楽しそうに話すレオの顔が浮かんだ。あの顔を見ると何となく落ち着く。話している間だけ、まるで何も隠さなくてもよくなる気がする。
「どうした?浮かない顔して。」
レオはセラの些細な変化にも気づいてしまう。
そのことが嬉しくて、でも気づかれたくない。
「そう?何でもないよ。それより続きは読んだの?」
「読んだ。アニメも見たぞ。ついハマってしまった。お前のおかげで寝不足だ。」
「夜感想送っていいよ。面白いから。」
「そうか?それより最近眠れてるのか?授業中ずっとウトウトしてるだろ。」
バレていたのか。夜はなんだか落ち着かない。静けさの中に孤独を感じてしまって、眠れない日が続いていた。こんなの、小学生以来だ。理由が分からず、困惑していた。
「まあ、ちょっと。なんかそう言う時あるよね。」
「落ち着かないなら電話でもするか?人の声聞いたら落ち着いたりするだろ。」
「電話.....したことない。」
「友達と、しないのか?」
「しないなあ。電話してまで話すことないし。」
「別に何も話さなくたっていい。眠れるまで繋げておけばいいんだ。」
「そんな赤ん坊でもあるまいに...」
「お前は1人で抱え込みすぎだ。どうしても嫌ならいいが、少しでも思い出したら電話しろ。ちゃんと出るから。」
「まあ....もしどうしても眠れなかったら。」
「頼むぞ。俺が心配で眠れない。」
何で?聞きたい言葉を飲み込んだ。聞いたら何かが変わってしまう。そんな気がしたから。
電話って私もあまりしないんですが、皆様されますか?
そしてメリークリスマス!




