下心が引き寄せた新たな扉
下心が引き寄せた新たな扉
「この間借りたのは少年漫画だったが、好きなのか?」
「うーん、基本少年漫画が多いけど少女漫画とか青年漫画も何でも読むよ。」
「それならいくつか好きなの教えろ。読んでみる。」
「少女漫画も?」
「ああ。試してみないと分からないだろ。」
好きな少女漫画でも読めば、好みが分かるかもしれないという下心だ。
「そう?それなら送ってみるね。」
夜、送られてきた漫画のリストを片手に早速本屋で片っ端から買い込んだ。
アレスとやらに対抗し、セラから送られたリストを元に読み始めた漫画だが、いつの間にやらハマってしまったレオはせっせと漫画を集めるようになっていた。
「....お兄ちゃんて、好きな人に合わせるタイプだったんだ。」
「意外に面白いんだよ。お前も読むか?」
「んー、私は興味ない。」
シャッツェルは見事なまでの女の子だ。フェルとは真逆の理想の令嬢と言えよう。
「しかし何故この女はこんな男がいいんだ...?」
「お兄ちゃんが言えるの?」
冷たい妹の一言は聞こえなかったことにしておこう。
「お前はこの漫画の何がいいんだ?この男がいいのか?」
「ほんとに少女漫画まで読んできたの?」
「読み始めたら止まらなくてな。勧められたの以外も読んでるぞ。」
「レオくんて意外と許容範囲広いよね....」
セラは若干呆れている。一旦ハマると長く続くレオにとってはそう意外でもないのだが。
「悪いか?」
「ううん、驚いただけで私としては嬉しいんだけど。」
こんな一言で舞い上がる心の内に自分でも信じられない。1人の女の言葉に一喜一憂するなんて。
「で?あの男の何がいいんだ?」
「いや、私はその男よりかは当て馬の方がいいんだけど。ていうか気になるのはそこなの?ストーリーじゃなくて?」
「ああ、それなら納得だ。あんな軽い男はやめておけ。」
「レオくんが言うの?」
同じセリフも好きな女に言われるとショックは倍増だ。どれだけ後悔したところで過去は消えてくれない。
「俺は....まあ確かに最低だったことは認めよう。」
「最低とまでは言ってないじゃない。ごめんてば。」
「しかし少女漫画も侮れないな。世界観もよく出来ていて緻密だ。」
早々に話を変えることにした。過去のことは掘り返せばそれだけ傷を負うだけだ。
「そうそう。結構容赦ない展開もあるし、油断出来ないのよね。」
「確かにまさかメインキャラが死ぬとは思わなかったな。」
「でしょ。初めて読んだ時大ショック受けたの。」
「お前、笑いながら漫画読むタイプか?」
「うっ....だから人前で漫画はあんまり読まないの。」
「見てる分には面白いけどな。」
「本人は恥ずかしいのよ。....レオくん、漫画面白いならアニメも見たら?ハマるかもよ。」
「アニメか....考えたこともなかったな。見てみるか。」
「少年漫画系はアクションとか相当細かいのもあるから面白いよ。」
「よし、それも見てみる。また感想送る。」
「そうして....ってやば。時間!」
「ん?....まずいな、急げ。」
「2人で戻ったら怪しまれちゃうよ。レオくん先戻って。」
別にいいだろ。喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
「......分かった。お前もすぐ戻れよ。」
「うん、またね。」




