君を理解出来る日は来るのか
君を理解できる日は来るのか
翌日、屋上に行けば早々に来て座っているレオがいる。頭痛はもう良くなったのだろうか。
「頭痛、もういいの?」
「ああ、おかげで綺麗さっぱりなくなった。」
「それはよかった。ところで本当に読んだの?漫画。」
「読んだに決まってるだろ。セリフもちゃんと覚えてるぞ。」
頭のいい男は本気で読んできたようだ。漫画なんて、そんなに気合いを入れて読むものでもあるまいに。
「私なんて何回読んでもストーリーすら忘れちゃうのよ。すごいね。」
「忘れるのか?」
「うん。それこそ綺麗さっぱり。感情で読んじゃうからかなあ。」
「....何が面白くて読んでるんだ?」
「テンション上がるし息抜きになるじゃない?それに哲学書より哲学になる時もあるのよ。」
「忘れるのに?」
きょとんという効果音がしそうな顔。多分レオには一生理解出来まい。
「刺さったところは忘れないの。レオ君は何が面白かったの?」
「術式が細かく設定されていたのが面白かったな。制限と解釈の広さもいい塩梅だ。」
「超経営者目線だけどそこは確かに魅力だよね。あれがないと無法地帯になっちゃう。」
「死黎回遊のルールも細かくて読み応えがあった。」
「あれ私未だに理解してないかも。適当に読んでた。」
「俺がお前を理解出来る日は来るのか....」
「別にしなくてもいいんじゃない。」
なんだかんだと言いながら語ってしまった。レオは本当にセリフまで覚えていたようで何も覚えていないセラは何となく負けた気になった。




