家族が見る変化
家族が見る変化
「あれ、お兄ちゃん、漫画なんて珍しい。それ知ってるよ!呪領廻戦でしょ。」
アインハルト家には父の集めた書庫に大量の本があったが驚くほど漫画がない。兄妹の誰も漫画に大して興味を持つこともなかったため家族揃って漫画には疎いのだった。
「なんだ、読んだことあるのか?」
「ないけど、男子が話してたよ。面白いんだって。」
「確かに悪くない。」
「何?セラちゃん?」
「...そうだ。あの一瞬で気に入ったのか?」
「だってすごい優しそうだし綺麗だったんだもん。ゆっくり話してみたいなあ。」
フェルはシャッツェルを可愛がっているが気が強く自由気ままな性格だ。セラの柔らかい雰囲気を慕っても不思議ではない。
「いつか家に連れて来たらな。上手くいって欲しいなら余計なことは言うなよ。」
「家に連れて来れたらって....お兄ちゃんマジだね。またあのマンションに連れていくのかと思ってた。」
そういえば忘れていた。遊び用に使っていたあのマンションだが、今入ることを考えると気分が悪くなる。
「女連れ込んだところに連れて行くわけないだろ。お前マジで言うなよ。」
「何回も言わなくても分かってるよ。でもお兄ちゃん、あんまり隠すと誤解されちゃうよ?」
「....分かってる。」
「こんなに素直なお兄ちゃん気持ち悪ーい。ねえお母さん、お兄ちゃんが....」
「おい、シャッツ!」
「聞こえてるわよ。情けない黒歴史を受け入れてくれる寛容な女の子ならいいわね。」
この家の女たちは容赦ない。ここにいたら針の筵だ。
「...俺は部屋に戻る。」
「あーあ、お兄ちゃん怒っちゃった。」
「放っときなさい。自業自得よ。」




