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そんなこと言われても

 私がジェフリー様と婚約したのは5歳の時だった。


 もちろん貴族にありがちな普通の政略結婚。


 家が決めた結婚だ。


 幼い頃、私やジェフリー様を含めて何人かの王妃派の公爵家や侯爵家、伯爵家の子供達が王太子殿下の遊び相手として定期的に開かれるお城でのお茶会に参加していた。

 私は年がいちばん下で少し離れていたので殿下の婚約者候補ではなかった。


 領地が隣だったこともあってジェフリー様と婚約したと父から聞いた。


 婚約者のジェフリー様は学園を卒業後、王太子殿下の側近として多忙な日々を過ごしている。


 私達は私が学園を卒業したら結婚することになっていた。



「あなたがベルティーユ・クロフォード?」


 とあるお茶会でいきなり声をかけられた。


 誰だろう? 


 とりあえず挨拶か。


「ベルティーユ・クロフォードでございます」


「ふん。大したことないわね。ジェフリーと別れなさい。わかったわね」


 ショッキングピンクの派手派手しいドレスを着て、ゴテゴテと大きな石のついたアクセサリーをたくさんつけたその人は私を見て鼻で笑い、そう言いながら去った。


「ベル、あれアデライド王女よ。ノバック公爵令息に懸想しているって噂になっているわね」


 ジェフリー様に懸想?


 一緒にお茶会に参加していた友達のナディアが渋い顔で話を続ける。


「だって別れなさいって言っていたじゃない」


 確かに別れなさいと言っていたな。


「あの王女は権力を笠に着てやりたい放題だと聞いたことがあるわ。泣き寝入りしている人も多いらしいわよ」


 そんな噂を聞いたことがあるような気もする。


 しかし、相手が王女となると、聞かれたら不敬になる。


「ちょっとナディア、聞かれたら大変よ」


 私は慌ててナディアの口を押さえた。



 アデライド王女と王太子のウィルヘルム殿下は腹違いの兄妹で、アデライド王女は側妃様の子供だった。


 国王陛下は王妃様と結婚したあと学園の頃からの恋人の男爵令嬢を側妃様にしたそうだ。


 愛する側妃様の娘であるアデライド王女を溺愛していて甘やかしているらしい。


 王妃様や王太子殿下との関係はもちろん悪い。


 側妃様は体の弱い王太子殿下を引きずり下ろし、自分の娘のアデライド王女を女王にしようと企てているとも噂されていた。


 王太子殿下はとても優しい人だ。私が小さい頃は一緒に遊んでくれたり、お菓子をくれたりした。

 あの頃は身体が弱いなんて感じはなかったんだけどね。


 あの頃の私はジェフリー様より、優しい王太子殿下の方が好きだったのだが、そんなことを言えるはずもない。

 年が近かったら殿下の婚約者になっていたのかな? 


 まぁ、結局お眼鏡に適う令嬢がいなかったようで、殿下はまだ婚約者がいない。


 我がクロフォード侯爵家が側妃派でなかったこともあり、それまで面識のなかったアデライド王女にこんな形で絡まれることになるとは思ってもいなかった。


お読みいただきましてありがとうございます。

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