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第8話 第二種接近遭遇……④


「……OK、カット!」


 ドローンのカメラに向かって自分でカットを入れたスカさん……何処となくホッとしてる様に見えるのは気のせいか?


「さてお二方とチームの皆様……レースのスタートは本日22:00で御座います。スタート・ゴールの各ポイントと仮想円錐指標(バーチャルコーン)の配置・指定獲得数はタブレットからそれぞれのマシンにダウンロードしてご利用下さい。それでは……これより各機体を運搬してきたトレーラーの荷台(キャリアラック)に搭載された燃料(リソース)の封印を解除します」


 姉御とチームのスタッフ(?)、それに錠太郎がスカさんの説明に一斉に頷いた……


(……マジか? そんなの何処に載ってた?)


 俺はほんの僅かに遅れてみんなと同じ様に頷いた。同時に、


 ― ガコンッ ―


 チームのパドックを兼ねたトレーラーの方から何かが外れる音が聞こえてきた。まず、間違い無く燃料の保管庫が開放されたのだろうが……


 ……正直に言おう。俺はレースの事で頭がいっぱいで、トレーラーに燃料が積載されてるとか全く気付いてなかったわ。


「これ以後、提供された燃料(リソース)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そのリソースの使い方は各チームに完全に委ねられます。マシンのセッティングに費やすもコースに出て練習(プラクティス)を重ねるのも全て自由で御座います。それでは……次はスタート地点でお会いしましょう」


 そう言い残すと……奇妙な仮面で顔を隠したギャンブル狂(ロクデナシ)執事は、踵を返して其の場から立ち去ろうとした。


「ちょっと待ってくれ、スカ……ンジウムさん!」


 パイミー(ミーティング)が始まったから黙ってたが、俺の聞きたい事はまだ終わってねぇんだ。


「ふむ……何でしょうか? これ以後はレースの公平性を担保する為に我々と競技者サイドの接触は制限されるのがルールなのですが……」


 うん……あんた仮面を被ってるのに困った顔が出来るとか凄いな。って、そんな事はどうでもいいんだ!


「すまねぇ……一つだけでいい。あんた俺の登録した機体“電撃戦車(ブリッツパンツァー)”を知ってるって言ってたよな? もしかして……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 スカさんが沈黙すること数秒……俺に取っては永遠の様な静寂だったが、周囲の人間にとっては俺が言い出した事なんて、全くの意味不明だろうな。


「ふむ、いいでしょう。今は時間が在りませんので……レースが終わってからなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 ――――――――――


「お前が知りたいのは……行方不明の親父さんの事か?」


 錠太郎が……貸与されたタブレットを見ながら俺に尋ねた。


「ああ……」

 

 俺の短い答えにチラッとだけ視線を寄越した錠太郎は、何かを言おうとして口を開いたが……数秒後に何も言わず口を閉じてタブレットに視線を戻した。


「……手掛かりが見つかるといいな」


 結局、錠太郎が親父の事について口にしたのはそれだけだった。いいね……友達にするならお前の様に気遣いの出来る奴に限るよ。


「ああ……で、コースはどうだ?」


「ふん……毎度の如くいやらしい配置さ。このレースシステムを考えた奴は根性が3回はネジくれてるに違いないぜ」


 そう言って、錠太郎が寄越したタブレットには……この“初めて俺がレースを目撃したのと同じ廃鉱山”に配置されたコーンの位置と、スタート・ゴールのポイントが表示されていた。ちなみに……この鋼田錠太郎という男も俺と同じく“#Bad Speed Brigander”のヘビロテユーザーだ。


「……マジかよ。コーンの総数と俺達がゲットしないといけない数が同じじゃねぇか!」


 これは……地味だがかなり厳しいセッティングだ。つまり、このレースではコーンのとりこぼしが許されない。


「これはスタートダッシュが勝負を分けるな……」  


 俺は少しだけ安心した、俺の機体はかなりピーキーなセッティングだが、スタートダッシュは相当に鋭い機体だからな。


「それは確かに有利だが……問題はそれだけじゃねぇよ。ココを見ろ」


 そう言った錠太郎が、コース図の一部をピンチアウトして拡大する。そこには……


「はぁっ? 何だこりゃ??」


 それは……俺が知っているこの“地元コース”では、一度も見た事の無いセッティングだった。

 

カクヨムには先行して第9話が投稿されております。よろしければそちらもお楽しみ下さいm(_ _)m


https://kakuyomu.jp/works/16817330665505718291

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