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チートで怠惰な聖女様のために、私は召喚されたそうです。〜テンプレ大好き女子が異世界転移した場合〜  作者: 櫻月そら
【第1章】異世界ものは大好きですが、フィクションで間に合ってます。
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第44話 ふいうち 1

やっと新しいサブタイトルに進めました!


 少し緊張がほぐれたアリアは、ふと思い出した。


「ところで、大臣たちに伝えるって……。あの微妙なダメ王太子の演技でですか?」


「微妙って言うな。貴女も騙されていただろう。……というか、どこまで知ってる?」


「確かに、謁見の際には騙されましたけど……。それは初対面だったからですよ。ある程度の時間を一緒に過ごせば、気づく人もいると思いますよ? 私は図書室での殿下の口調や立ち居振る舞いで気づきましたから。その時に派閥のこともおっしゃっていたので、演じている理由も何となくは……」


「あぁ、そうか。そういえば、あの時に話してしまったな。……お察しの通り、父の退位を早めさせようとしている大臣たちがいる。主に聖女の記憶に関することを理由に」


 アーヴィンは自身の膝にひじを乗せ、頬杖をつきながら苦い顔で話を続けた。


「その派閥は、聖女を信仰するあまり過激な言動も多い。今回、スズ殿がお役目を放棄したことで父への批判がさらに高まった」


「そのこと、スズさんには……」


「伝えてないよ。今後も話すつもりはない。しかし、彼女も聡い女性(ひと)だから……。おそらく、図書室での会話で気づいてしまっただろう。何らかの噂話がスズ殿の耳に入ってしまう可能性も大いにあるしな。…………アリア殿」


「な、何でしょう?」


 突然、強い眼差しを向けられながら名前を呼ばれてドキリとする。

 

 アリアをまっすぐに見つめながら、アーヴィンは深く息を吸い込むと、テーブルに額をぶつけそうな勢いで頭を下げた。


「召喚について、本当に申し訳ないことをした! 聖女が増えれば状況が緩和されて、父への批判が減るのではないかと浅はかなことを考えてしまった。異世界から拐かすようなことをした上に、危険な目にも遭わせてしまい……」


「ちょっ! 頭を上げてくださいっ!!」


 アリアは思わず立ち上がって、アーヴィンの額と肩を押して顔を上げさせた。

 異世界の王子どころか日本の男友達でさえ、このように扱ったことはない。

 大胆で不敬な行為であるとは感じつつも、これ以上アーヴィンに頭を下げさせたくはなかった。


「謝罪は、あの夜に受け取りました」


「しかし、何度詫びても足りるものではないだろう。……私のことは許さなくても良い。ただ、貴女がこの国で少しでも暮らしやすくなるように手助けをすることは許可してほしい」


「アルフォンス様にもお伝えしましたが、この国で私にできることがあれば手伝うと腹をくくったんです。もちろん、元の世界に戻る方法を見つけることも諦めてはいません。だけど、この国のことも嫌いじゃないです……殿下も含めて。今回の事件に巻き込まれる覚悟もできています。だから、もう謝らないでください」


「しかし……っ!」

「もう! だから、嫌いじゃないって……」


「嫌い、じゃない……?」

「あ、間違えた」


「やっぱり嫌い……?」

「違います。殿下のことは嫌いじゃないです。間違えたっていうのは、えーっと……もう! ややこしい!」


(この人、まさに王子様っていう時もあれば、子犬みたいなところもあって憎めないんだよなぁ。私は猫派だけど。……いや、もしかしたら猫好きだからこそ、このコロコロ変わる様子が嫌いじゃないとか? うーん、もう分からんっ)


 とりあえずは、お互いに良好な関係を築きたいと思っているのだから、それで良いかとアリアはひとり頷きながら納得した。


「アリア殿……?」


「ん? あぁ、いえ、何でもないです。お気になさらず。えーっと、つまり、私が伝えたかったのは『とにかく、もう謝らないください』ということです!」


 本当にそれで良いのか、と首を傾げたアーヴィンの頭に垂れた耳の幻覚が見えてしまいそうだ。

 ふふっと笑いながら、アリアはアーヴィンに右手を差し出した。


「国や大切な人たちのために、これからは共闘というか協力しながら仲良くしていきましょ? それと、殿下は”少し強引で俺様な王子様“の時のほうが似合いますよ」


「ありがとう、恩に着る。……最後の言葉は、どう受け止めたら良いか迷うが」


 アーヴィンはアリアの手をギュッと握ると、少し幼い顔で不敵に微笑んだ。


「ふふ、どうぞ額面通りに。――それから、生活のサポートをしていただけるのはとても助かります。この国のことも、もっと知りたいです。お城の中で行ったことがない場所も見たいし、いつか街も歩いてみたい」


「もう少し状況が落ち着いて、安全が確保できるようになったら必ず案内する」


「楽しみにしていますね。そうだ……いずれお話しますが、私個人の問題を解決するためのヒントを、この国もしくはこの世界で探したいんです」


「分かった。そちらについても最大限に協力すると誓う」


「ありがとうございます。……とても心強いです」


 まだまだ未熟で不器用な――、しかし、根は真面目で義理堅い王太子を支えたいという(あかり)が、アリアの胸に眠る不安や孤独のかたまりを少しずつ溶かし始めた。

お読みくださり、ありがとうございました。


作品と同じく、ゆっくりなアリアとアーヴィンの関係も少しずつ進み始めました。


二人とも口調に揺れがあるのは、お互いを尊いつつも少しずつ近しい仲になってきているため、敬語と砕けた言葉遣いが混ざっています。


そして、皆様は「子犬」と「俺様」どちらがお好みでしょうか?(笑)


アリアに嫌われたくない時は子犬に、

アリアと張り合いたい、もしくは、イジワルしてからかいたくなった時に俺様が出てくるようです。

基本的には、賢いけど不器用な王子様。

権力を笠に着るのは嫌い。

しかし、使うことで多くを助けられるのであれば使う主義。


アリアも淑女教育を受けた元お嬢様かつ、複雑な環境で揉まれてきた負けん気が強い女性です。


二人の相性はいかに……。


「ふいうち 2」も、あまり間を置かずに投稿できる予定です。

次回もお付き合いいただけましたら幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] ウフフフフフ(*´艸`*) 二人の関係の移り変わりが見ていて楽しいです( ´∀` ) ちなみに私はワンちゃんでは軍用犬とハンドラーみたいな関係性が好きです(聞いてない
[良い点] わー、なんかいい感じに二人の関係が進んでる!! >この国のことも嫌いじゃないです……殿下も含めて。 ふふふふふ。言質取ったわよ!! アリア、あーりーあー、言っちゃったね。 >殿下の…
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