第32話 王太子殿下は十七歳
一話の分量が増えてきていたので、軽く読めるように少なく調整してみました。
2024年 1月17日(水)
第32話、改稿済みです。
どうぞよろしくお願いいたします。
「十七歳? 高二……?」
「誕生日が来たら十八だから、日本だと高校三年生かな? 学年でいえば、リラのひとつ上になるね。……え、そんなにびっくりした?」
呆然とするアリアの目の前で、おーい、とスズが手を振る。
「てっきり、年上だと……」
「欧米系の顔立ちは大人っぽく見えるよね。チエさんの息子さんたちもそうだったし。反対に日本人は童顔だから若く見られる。私も最初、十代に間違われてちょっと嬉しかった」
(そういえば、リラの時も驚いたんだっけ……。でも、王太子まで年下だったなんて)
日本でいうところの高校三年生。成人前だと思えば、謁見の間での稚拙な発言も許容範囲のような気がしてくる。
いや、それでも、次期国王として為政者として、やはりあれでは駄目だろう。
アルフォンスが厳しく指導している最中というところだろうか。
(たぶん、伸びしろはあるんだろうな)
「そういえば、ムシャクシャしてた原因が殿下って、どういうことですか?」
「あー……。私が潰れちゃった日、『私がヒールを使える』、みたいなことを殿下がアリアちゃんに言ったっていう話あったでしょ? だから、何でそんなことを言ったのかを問い詰めにね」
「それは私も知りたいです」
「でも結局、アイツ最後まで口を割らなかったんだよね。シェリル様の体調があまり良くないみたいで、アルフォンス様も後宮にこもってるから、今がチャンスだったんだけど……」
「チャンス……、ですか?」
アルフォンスの妃であるシェリルの体調も気がかりだが、今は話の続きが気になった。
「アルフォンス様って優しいけど、わりとタヌキでしょ? だから、殿下がひとりの時を狙ったの」
なるほど、とアリアは頷いた。それならば、思い当たる節は多々ある。
「でも、殿下って、『ポヤンとした温室育ちの王子様』っていうイメージでしたけど、わりと意固地なところもあるんですね。意外です」
「え、誰が温室育ちって?」
「アーヴィン殿下が……」
「いやいや、それはない! 絶対にない! 王太子として甘ちゃんではあるけど、アイツはどこででも生きていける」
「えぇ? とても、そんなふうには見えませんでしたけど……」
「んんー? あっ! もしかして、殿下と二人きりとか、アルフォンス様も入れて三人とかの状況にまだなったことない?」
「はい。謁見の間で、一度お会いしたきりですね」
「なるほど。それ、猫被ってるから。私はその様子をしばらく見てないけど、さすが『アルフォンス様の孫』って感じ。本性見たら、たぶんびっくりするよ」
「それは……、見たいような、見たくないような」
「あはは。まぁ、この王宮内で暮らしてたら、いつか嫌でも見るんじゃないかな。もしかしたら、私と殿下がバチバチしてるところに遭遇するかもしれないし。ごく一部の人の前でしかできないけど」
「バチバチ?」
「まぁ、いろいろと。今回はアイツの態度があまりにも腹立たしかったから、ボイコット再開した。今は師団長が元気に動いてるから、それほど問題はないし」
一国の王太子と聖女のやり取りが、まるで姉弟の小競り合いのように聞こえてしまい、アリアは苦笑いするしかなかった。
2~3話分のストックができたので、数日間は連続更新できそうです。
お読みくださり、ありがとうございました。
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