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チートで怠惰な聖女様のために、私は召喚されたそうです。〜テンプレ大好き女子が異世界転移した場合〜  作者: 櫻月そら
【第1章】異世界ものは大好きですが、フィクションで間に合ってます。
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第21話 疲れと、はやる気持ちと。


 To doリストの一つであった図書室の利用と、聖女についての情報収集については目処が立った。


 ふぅ、と脱力したアリアはソファに背中を預ける。

頭をフル回転させている状態を解くと、ふと、スズのスケジュールを思い出した。


 もう一度、姿勢を正してからスズに問いかける。


「スズさんは今日、魔導師団のほうにいらしたんですよね? 結界などの状態はどうでしたか?」


「あー、私がぷちボイコットしてる間は、師団長がメンテナンスしてくれてたらしい。だから、大きな問題もなくて、今日は細かい所の修復をしたくらい。何かさ、別に聖女いらなくない? って時々思うんだよね。かなり有能なの。この国の魔道師団」


「――そうなんですか。それは……頼もしいですね」


 スズが身も蓋もないことを言い出した。

 気持ちは分かるが、少し返答に困る。


「でも、メリッサ様やシェリル様は、とても大変な思いをなさったんですよね……」


「あー、そうか。そうだったね……。やっぱり、聖女は必要か」


 スズのその言葉は、どこか自分に言い聞かせているように聞こえた。


「アリアちゃん、師団長に会ったことある?」


「召喚された時に、倒れている姿は見ました。位置的にお顔は見えませんでしたが……」


「なるほど。じゃあ今度、会ってみると良いよー。すっごいイケメンだから」


(あ、やっぱりイケメンなんだ。そして、腐女子スズさんのストライクゾーンなのかな。魔導師団長ってなると、何となく攻めのイメージかな……。偏見だけど)


 正直なところ、「聖女(仮)」と呼ばれる立場で魔導師団に近づくのは憂鬱だ。

 しかし、王太子やアレクを見慣れているスズが「イケメン」だと評価する師団長を見てみたい、というのもアリアの本音だった。


(機会があれば会ってみようかな。どのみち、聖女の力について詳しく知るためには、いつかは話さないといけないだろうし……)


 そんな会話をしているうちに、一人の執事がアルフォンスに近づいてきた。


 手には小さな長方形のシルバーのトレー。

その上には、アンティークのように少し色褪せた金色の鍵と、くすみのない金色のチェーンが乗っていた。


 それを受け取ったアルフォンスは長めのチェーンに鍵を通して、アリアに手渡した。


「アリア様、図書室の鍵です。図書室をご利用になる時は、このチェーンを首からお下げください。身分証の代わりにもなります」


「ありがとうございます」


(ICカード付きの社員証みたいだな)


 さっそく頭から通してみると、鍵はみぞおちあたりの位置に収まった。

これなら、首から下げたまま鍵の開け締めができそうだ。


「さっそく、図書室をお借りしてもよろしいですか?」


「もちろんです。ただ、一点だけ。日の入り後は、一人でお部屋から出ないようにお願いいたします」


「身の安全のため、でしょうか?」


「その通りです」


「分かりました。気をつけるようにします。では、失礼いたします」


 アリアは軽く頭を下げて立ち上がった。


「アリアちゃん、また後でね」


 スズが笑顔で手を振る。それに応えて、アリアも微笑んで軽く手を振った。


「はい。スズさんもお気をつけて」



 廊下に出ると、温室へ向かう時と同じくリラに案内され、アレクが警護として付いてくる。


「アリア様。一度、お部屋で休憩なさいませんか? やはり、あまりお顔の色が良くありません」


「ありがとう、大丈夫です。疲れたら戻ります」


「そうですか……。ご無理なさらず、お辛い時はすぐにおっしゃってくださいね? 約束ですよ?」


 リラの気遣いに、アリアは素直に頷いた。


 本当はとても体が重い、まぶたも重く感じる。

身体が休むようにとサインを出している。


 しかし、気になったことは早めに消化しておかなければ、疲れているのに眠れない、なんてことに結局なってしまうだろう。


 アリアは重い足を懸命に動かしながら、今後の願いを込めて、胸元の鍵をロザリオのように握った。

お読みくださり、ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言] イケメンばかり……これもまた怪しいですよね普通に考えると。 顔だけで選考してんじゃなかろうね。 中には顔だけで中身がポンコツの残念さんもいらっしゃるかもしれんのに(ォィ
[良い点] おおおおおお!! イケメン魔導師団長!! 腐女子的に攻め!! おそらく受けなカワイイ系イケメンもいる!! 魔導師団、何故か男ばっかりなイメージです。 かなり楽しみ♡ [気になる点] …
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