プロローグ
新連載、よろしくお願いします。
ざまあ要素多めのストーリーとなると思います。美少女ヒロインは段々と出すつもりです。
――人ってのは、多分生まれた時からランクが決まってるんだと思う。
「えー、何それー? 海斗君面白ーい!」
「はは、僕なんかより直樹の方が面白いよ」
「おい海斗、褒めんなってー! それ程でもないし?」
今大声で喋ってる上位カーストの連中に、教室の隅で本を読んでる下位の俺。高校生になってもそんな格差社会は存在しており、むしろ前より顕著になったといえる。
俺は真田千夜。何か自慢できる才能もない、凡人中の凡人。
好きな本はラノベ全般。アニメや漫画も好んでる。オタクと言うほどでもないが、まぁオタクに近いな。
代り映えのしない毎日に、もう直ぐ大学受験も控えている。最近、何をやっても楽しく感じない。
「あれー? ……そういえば、あそこで本読んでるアイツ。海斗君の友達なんだっけ?」
「あぁ、あいついっつも一人で本読んでるよなー。楽しいのかねぇ」
声を潜めているつもりだろうが、俺の耳にはちゃんとその会話が入ってくる。中途半端に気を使われる方がみじめなものだ。
今、俺とあいつら以外は体育からまだ戻ってきておらず誰も居ない。だからか海斗の取り巻きは、いつにも増して大声だ。
まぁ、あの海斗と一緒にいれば調子にも乗るだろう。
「そうだよ。千夜は幼稚園からの同級生だ。最近は話さないけど……」
「あんな奴と話しても楽しくないだろうし、私達でいいんじゃなーい?」
茶色のツインテールを軽やかに揺らしながら、柊優菜がそう言って笑った。
そんな優菜に、困ったように笑い返した金髪のイケメンは、霧島海斗。成績は常に学年トップ、スポーツ万能でサッカー部のエース。おまけにその美麗な容姿が異性を惹きつけ、既に数えきれない程の数の女の子を振っている。
「確かに……俺は面白い! でもよぉ、余り褒めすぎると調子乗っちゃうぜ!?」
「あはは、直樹、それ言っちゃ台無しじゃん!」
「さっきの謙遜が嘘みたいだね」
「嘘だからな! ははは!」
あの三人の中ではムードメーカー的な存在の武藤直樹。陸上部では選手常連で、クラスでも人気者。あのグループの笑いは、大体直樹から起こっている。
勿論優菜だって只者じゃない。成績はそこまでだが剣道部に所属し、全国大会に出場するほどの腕前。しかも芸能事務所のスカウトを受けて、最近はモデルとして活動しているらしい。
まあそんな訳で、あのグループには誰も入り込むことが出来ないのだ。俺だってあそこに放り込まれれば、一切話せず終わるだろう。
中学校までは少し話すこともあった海斗とも、今じゃほぼ無縁だ。多分これからも、関わることは無いだろう――。
「……ん? なんだ、これ」
「なんか変な模様が……光ってる、の?」
海斗達の様子が明らかに変わった。先ほどまでの会話がストップし、しきりに床を見渡している。連られて俺も床を見た。
……何だこれ。魔法陣、か?
教室中の床に、ゲームやラノベに出てくるような魔法陣が浮かんでいる。どころかその光は段々と増し、その上に居る俺や海斗達をも包み始めた。
「二人とも、早く教室から出よう! 何か嫌な予感が――クッ――!」
「きゃっ……!?」
「クソっ、何だこりゃ……!?」
三人は走って教室から出ようとするが、最早目を開けていられない程に光を増した魔法陣に思わず目を覆う。
俺も目を開けていられなくなり、三人同様に光を腕で遮った。
……こうして俺は、異世界に転移することになったのだ。
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