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再会したイケメン幼馴染に彼女がいるんですけど恋してしまいました

作者: 清見こうじ

~雷おこし~


「はい、これ」

  おみやげ、と手渡されたのは、レジ袋に入った巾着型の淡いオレンジ色のパッケージの、雷おこしだった。

「……何これ?」

 ありがとう、を言う前に、思わず、そんな言葉が出てしまう。

 だって。


 雷おこし。

 言わずと知れた、東京名物。


 仮にも、高校生の男子が同級生の女子に買ってくるおみやげとして、このセレクトは、どうよ?

 まあ、グループに対して買ってくるんだったら、手頃な値段で、それなりに数も入っているから、いいかと思うけど。

 一応、「私個人」に買ってきてくれたのなら、他に選びようがあったんじゃない?

 お菓子だったら、同じ値段で、もっと小ぶりな、中身は少ないけど「高級?」な感じのモノがゴマンとあったはず。


 ……あのね、決して、雷おこしがいけないとは言ってないの。

 雷おこしでもいいよ。

 どうせ東京みやげなら、どこどこの新作がよかったな、とかは、言わないよ。

 雷おこしでも、いいの。


 ……純粋に、「東京」の、おみやげなら、ね。


「……柏原くん、静岡に行くって、言ってなかったっけ?」

 お母さんの実家に、行くと聞いた気がしたんだけど。

「うん、そうだけど?」

 悪びれもせず、ニコニコしてうなずく、柏原くんの顔を見ていたら、何だか、聞く気力も無くなってしまった。

「ありがと……」

 とりあえずお礼は言って置かないとね。

 例え、帰りがけの、乗換駅だか高速のSAだかで、間に合わせに買ったのだとしても。


 単なるクラスメートにあげるための、おみやげだもの。

 おばあちゃんのお葬式の為に忌引きしていた間の、ノートのお礼だしね。

 それだけの、意味しかないし。

 彼女でもないのに、贅沢言ってる場合じゃないよね。


「れ……北見、雷おこし、好きだったろう?」

 ……?

「小学校の修学旅行で、言っていたの、俺、覚えていたからさ……」

 誇らしげに言う、柏原くんの顔を見ていたら、何だか胸がドキドキしてきた。


 ……覚えていたんだ。


 もう、5年も前のことなのに。


 好きになっちゃ、ダメなのに。

 不毛だよ。

 彼女のいる人を、好きになったりしたら。


 ……ツライだけじゃない。


 好きだと思った時には、もう彼女がいたなんて。



~おもいで~


 柏原聡一くんは、小学校6年生の4月に、転校してきた。

 そして翌5月には、修学旅行があった。

 新幹線で2時間かからない近さになっても、やっぱり修学旅行で東京に行くのは楽しみで。

 5年からの持ち上がりのクラスだったから、ある程度仲良しグループも出来ていて、事前学習すら楽しくて。


 ……そんな中に、まだ右も左も分からない柏原くんは、放り込まれてしまった。


 今でこそ、元気で、体格もガッシリして、みんなに頼りにされる人気者だけど。

 転校してきたばっかりの頃は、小柄で、女の子みたいな顔と声の、華奢で気弱な男の子だった。


 たまたま同じ班になり、私は班長になった。

「まだ慣れていなくて不安だろうから、面倒見てあげてね」

 担任の先生が、私に言った。

 柏原くんとは対象的に、クラスの他の男子よりも背が高かった私。

 気がつくと、何かの役目を押し付けられていた。

 正直、面倒くさいと思ったけど、ついつい、イイ顔しちゃうんだよね。

 この頃から。


 なもんで、せっせと世話を焼いたよ。

 柏原くんが、また全然照れないで。

「れーこちゃーん、置いてかないでよー」

 ちっちゃい身体で、せっせと追いかけてくるから、もう、気分は姉か母ですよ。

 頭ひとつと半分、背丈の差があったから、周りからはホントに姉弟に見えていたかも。


 で。

 修学旅行の醍醐味のひとつには、限られたお小遣いを遣り繰りして、いかにベストチョイスなおみやげを選ぶか、というのがあるわけで。

 おみやげを買うのは、東京タワーに決まっていたんだなあ、これが。

 スカイツリーじゃなくて、タワーなのは、まあ、混んでたんだろうね。

 ともかく場所を制限しないと、他に行ったテレビ局やランドで収拾がつかなくなる、と予測されたので。

 で、見つけたのが。


 雷おこし。

 軽いし、名物だし、嵩はあるし……値段も手頃。


「れーこちゃん、これ買うの?」

「うん。甘くてサクサクして、美味しいから」

 その他もろもろの理由は省いて。

 試食の雷おこしは、確かに美味しかったから。

「ふーん。……うん、美味しいね。僕もこれ買おっと」


 自分と妹用に東京タワーやなんかをレーザー彫刻したアクリルガラスの置物と絵はがきを買い、その他のおみやげは全部雷おこしにした。


 ……その時に、柏原くんの脳内には、こうインプットされたに違いない。

「北見怜子は雷おこしを買い占めるほど好きだ」

 と。


 修学旅行が終わってからも、柏原くんは何かあると「れーこちゃーん!」と私に泣きついてきた。

 私も口では、面倒くさいと言いながら、結局後始末をして回る毎日だった。

 まあ、どうせ中学に上がるまでの辛抱だしね、と言いながら、結構楽しく世話を焼いていた。


 それは、卒業を待たずして、現実になった。

 2学期の半ば、10月の初めに、柏原くんは転校してしまった。

 父親の転勤、ということで。


 あっけなくいなくなってしまった小さな男の子のことを、時折思い出すこともあったけど。

 それは、ちょっと淋しいかな、という程度の、感傷にすぎなかっんだけど。




~再会~


「もしかして、れーこちゃん?」

 高校の入学式。

 講堂に2クラスずつ並んで入場口で待機している時、突然声を掛けられた。


「え……、まさか、聡ちゃん?」

 隣に並んでいたのは、何と柏原聡一くんだった。

 男女混合のアイウエオ順だったから「カシワバラ」と「キタミ」が近いのは、まあ、分かる。

 ただ……。


「背ぇ、高くなったのね……」

 また、ずいぶんと。


 私は相変わらず背が高くて、この時169cmあったんだけど。

 その私が、顔を見上げる程、高い。

 多分、190近いんじゃないだろうか。


「去年、S市に引っ越してきたんだ。れーこちゃんも、この学校だったんだね」

 入学式が始まり、入場してクラス毎に左右に分かれたので、そこで会話は途切れたけど。

 私は、入学式の進行も挨拶の内容も記憶にないくらい、呆然としていた。

 覚えていたのは。

 早鐘を打つ、胸の音だけだった。


「ちょっとー! 誰よ、あのイケメン!」

 入学式が終わって教室に帰ると、同じ中学の子達にワッと詰め寄られた。

「ただの知り合いだよ。小学校ん時一緒だった……」

「ウソ! あんなカッコイイ男子知らない!」

 小学校で同じクラスだった真由美が言うと、みんなの目線がキツくなった。


「一緒だったよ。アンタも同じグループだったじゃない? ほら、柏原聡一くん」

「……うそお! あの、怜子の後にくっついていた、小さい、あの?」

「あの、柏原くん」

「ウソー!だって、怜子どころか、クラスで一番小さかったじゃない! アレがどうしてアーなるの?」

 何回「うそ」と言えば気が済むのか数えたいくらい、真由美は「うそ、うっそお」と繰り返した。


「……それが、ああなるの……びっくりしたのは私の方よ」

 3年ぶりにあったら、あんなにカッコよくなっているなんて、反則だよ。


「柏原……聞いたこと有るかも。弱小のS東中のバスケ部が去年県大会まで行けたのは、すごい背の高い転校生が入ったからだって」

 中学でバスケ部だった絵梨香が言った。

「あ、そうかも。去年S市に引っ越してきたんだって言ってたし」

 そうか、バスケやってんのか……。

 イヤなことを思い出してしまった。

「大丈夫、先輩たちには断っておくから」

 私の視線に気が付いて、絵梨香が答えた。

「……だけど、もったいないよね。怜子の身長があれば、バスケもバレーも苦もなくこなせそうなのに」

「スミマセンね!見かけ倒しの運動音痴で」

 中学入学当時、既に165cmあった私は、盛んにバスケ部やバレー部に勧誘された、が。

 背があるから誤解されがちだけど、私は運動神経が鈍い。

 足も遅いし、ジャンプ力もない。

 ホント、ムダに背が高いだけ。


「そんなことないよー! 去年の応援団長は、めちゃくちゃカッコよかったよ! さすがK二中のアンドレ様」

「ヤメテよ、その恥ずかしい呼び名」


 運動神経ゼロの私は、何故か気が付けば演劇部に引きずり込まれていた。

 演劇部なんてさあ、大抵男子が少ないか全くいない、タカラヅカ状態よ?

 背丈のある子は、まず男役をやらされるのが常。

 オマケに私はもろ男役向きと言うか……背丈があって凸凹の少ない体つきに、シンプルな顔立ち、合唱では必ずアルトになる低い声。


 せめてオスカル様なら、まだ性別は女なのに。

 何故に「アンドレ様」なのかと言えば。


「いいじゃない? みんな男の子に生まれていたら、絶対恋しちゃうって!」

「それって、全くフォローになってないし……」

 男装の麗人、と言うレベルではない、ということ。

 ある意味見せ物扱いなんだよね。

「そんなこと言いつつ、学ラン来て応援団長やっちゃうし……公式戦でもやれば良かったのに」

 あれは体育祭だから出来たんだよー。


「そういえば、柏原くん? て彼女いるんじゃないのかな?」

 絵梨香の言葉に、みんながシーンとなった。

「まじっ?」

「うーん、バスケ部のマネージャーと付き合ってるって、噂になってたよ」

 バスケ部のエースと美人(かどうかは知らないけど)マネージャーなんてベタな組み合わせだけど。

 だからこそ、あってもおかしくない、というか、あり得る組み合わせで。


 担任の先生が来ちゃったので、話はそこで尻切れトンボになっちゃったんだけど。

 何だか。

 胸の奥に、何かが刺さったような、シクシクした、痛み。

 この時は、まだ気がついていなかった。


 ……気付きたく、なかった。



~牽制~


「柏原くんにちょっかいかけるの、やめてもらえますか!」

 入学式から1週間の時が過ぎ。

 突然、昇降口で呼び止められた。


 可愛い……。

 背は160センチくらい。

 肩の辺りでゆったりおさげに結んだ、わずかに茶色がかった、フワフワの髪。

 色白な肌に、ぱっちりした瞳。

 オマケに、細いくせに、出るとこ出てる。


 絶対なれない、理想の女の子が、そこにいた。


「……えっ?」

 見とれちゃってて、何言われたか、よくわかんなかった。

「幼馴染だか何だか知らないけど、今は私と付き合ってるんです。馴れ馴れしくしないで下さい」

 それだけ言うと、彼女はパッと走り去った。


「何なの……いったい?」

 思わずつぶやくと、ポン、と肩を叩かれた。

「あれが、例の、マネージャー」

「絵梨香……」

「まあ、顔見る度に『れーこちゃん!』じゃ、彼女としては、落ち着かないんでしょ」


 そうなんだ。

 柏原くんは、顔を合わせる度に、昔のように『れーこちゃん』と声を掛けてくる。

 そのあとに『じゃなくて、北見さん』と付け加えるので、つい呼んでしまっているだけなのは分かっているんだけど。

 やたら目立つ柏原くんがやることなので、人目に付くし、一々『幼馴染で』と言い訳しないといけない。

 正確には、違うんだけど、これが一番納得してもらいやすい関係。


『幼馴染』。


 その言い訳を口にする度に、私の胸は、シクシク痛む。

 分かっていた。

 この胸の痛みが、何なのか。


 恋、なんだ。


 っていうか、分かったところで、どうにもならないけど。


 オマケに、今のダメ出し。


 敵いっこないじゃない、あんな、可愛い、彼女。


 叶いっこないじゃない、どんなに、彼を思っても。



~逃避~


 それからの日々は、柏原くんを避けまくった1年間だった。

 もちろん顔を合わせれば挨拶くらいするけど、あくまでも挨拶だけ。

 その度に忙しそうな素振りをみせて、そそくさと離れる。

 かと言って、あからさまに避けていたわけではない。

 避けていたのは、これ以上好きにならないため。

 顔を合わせる度に、言葉を交わす度に、どんどん、彼に惹かれていくのが、分かっていたから。

 だけど、だから、彼に嫌われるのも怖かった。


 故に、当たり障りなく。


 クラスが違えば、1年生のうちは選択授業も少ないし、廊下で会うくらいで、ほとんど顔を合わせないですむし。

 柏原くんはバスケ部に入り、私はまた演劇部に入り。

 部室が校内の端と端に離れていたから、放課後偶然出会う確率も低い。


 ……そんな風に、避けていたのに。


 不意に、顔を会わせると。

 何も知らないで、変わらず声を掛けてくれる、柏原くんを見ると。


 胸が、痛い。


 そして。


 嬉しいと思う、自分がいた。


 無駄なのに。

 ……彼女が、いるんだから。



 

~接近~


 2年生になって、クラス替えがあり。

 同じクラスになった、なってしまった。


 ……どうしよう?


 これからどうしたらいいのか、頭を抱えた。

 たまに廊下で会うだけでも、苦しいのと嬉しいのとで、胸がつぶれそうなのに。

 これからは、毎日、同じ教室なんだよ!


 そんな風に毒づきながら、嬉しくてたまらない、自分がいた。


 おまけに。

 例のごとく、苗字の読み仮名が近いため、また隣になった。

 ……席が。

 隣!


 席替えまでのタイムリミットはあるけれど、それまでは、ずっと机を並べて!

 1日中!


 ……これは、ある意味、拷問かもしれない。

 でも、天国と地獄を一緒に味わいながら、特に進展も後退もないまま、4月はあっという間に終わってしまった。


 その電話がかかって来たのは、5月の連休が今日で終わり、明日から学校、と言う日の、夜。


「怜ちゃん、電話! 同じクラスの人だって!」

 中3になる妹の妙子が、私の部屋に呼びにきた。

 寝転んで雑誌を眺めながら、何となく微睡んでいた私は、眠たそうな声で、むにゃむにゃ返事した。

「うー……誰よぉ……」

「男の子。柏原くんて……」

 妙子の言葉が終わる前に、私は飛び起きて、電話機のあるリビングへ走った。


『もしもし? れ……北見さん?』

「はい!私! 柏原くん!?」

『あ、うん。夜遅くごめん。携帯の番号知らなくて……個人的に連絡したくて』


 まだ9時前なのに、柏原くんは申し訳なさそうに話した。


「LI〇Eも知らないし、小学校の時の連絡網見て、かけちゃったんだ、ごめん」

 うちの学校は個人情報保護とかで、学校専用の連絡網のシステムに、ここにメアドを登録するようになっているから、クラスLI〇Eとかはない。

 何かクラス全員に連絡したければ、専用のアドレスにメールをすれば配信してもらえるようになっている。担任の先生にも行っちゃうから、ふざけた内容は遅れないけど。


 仲のいい子たちや部活内ではグループ作っている。文化祭とか近くなると、自然発生的に生徒だけのができてくるけど、今はまだなかった。

 1年生の時に同じクラスだった子なら知ってるけど、今年一緒になった子たちの中には、連絡先知らない子もまだいる。性別違えば、余計簡単には聞けない。


 だから、私も柏原くんの連絡先は知らなかった。


 ……うん、嬉しい。


「大丈夫だよ。まだ皆起きてるし」

 寝てたくせに……後ろでボソッと呟く妙子を、手振りでシッシと追い払らう。

「どうしたの?」

『あのさ、ばあちゃん……静岡に住んでたんだけど、さっき亡くなってさ』

「! ……それは、えっと、ごしゅーしょーさま? です」

『あ、はい、どうも。……でさ、これから俺、静岡に行くんだ。多分、3日くらい休むかも。でさ、明日から週番だったんだけど、代わってもらっていい?』

「いいよ、別に。どうせ、私もその次だったし」

『助かる。北見さんの時に俺やるから。後、授業のノートも頼む』

「りょーかい! 気をつけて行ってきてね」

『ありがとう。後さ……家電かけづらいから、携番とかIDとか、聞いていい?』

「あ、うん、いいよ」

 ドキドキしながら、電話番号とLIN〇のIDを告げると、もう一度、ありがと、と言って電話は切れた。


 ……普通に、しゃべれてたかな?


 何か馬鹿な受け答えしてなかったか、反芻していると、妙子がニヤニヤして、顔を覗き込んできた。

「彼氏?」

「っバカ! 違うってば! クラスメート! おばあちゃんのお葬式だかで休むから、週番代わってって!」

「そんなの、わざわざ電話して来なくもいいんじゃないの?」

「真面目なんだよ! 聡ちゃんは!」


「あら、聡ちゃん、って、小学校で一緒だった、柏原聡一くん? また、一緒だったの?」

 端で聞いていたお母さんが、口を挟む。

「あ、うん。一昨年、S市に越してきたんだって」

「そうなんだ。お父さんが転勤多いって言ってたしねー」

「お母さん、よく覚えているね。半年しかいなかったのに」

「父母会で、結構話したから。気さくなお母さんでね……『聡一は、家でも怜子ちゃんの話ばっかりしてるんですよ。ホント怜子ちゃんが好きみたい』って」

「バッ! な! 何言ってんの! ガキんちょの時の話でしょ!」

 ニヤニヤしている妙子とお母さんの視線から逃げるように、おやすみ! と叫んで、私は慌てて部屋へ戻った。


 部屋に置きっぱなしにしていたスマホを取り上げると、画面にメッセが浮かび上がった。

 バスケットボールのアイコン……名前は。

『カッシ』


 私は、ドキドキして、アプリを開いた。


『柏原です。さっきはありがとう。おみやげ買ってきます』

 顔文字もない、短い吹き出し。プラス電話番号が入っていた。

 でも。


『忙しいのに、ありがとう!おみやげなんて気にしないで。気をつけて行ってらっしゃい(^^ゞ』

 友達登録の承認をして、それだけ打って、送信した。


 それから、名前を編集した。


『カッシ@柏原聡一』


 打ち込んでから、少し悩んで、消した。


『カッシ@そうちゃん』


 何となく、フルネームを載せるのは、憚られて。

 昔の呼び名を載せるのも何だかなあ、とは思ったけど。


 これくらい、いいよね?


 幼馴染、だし。

 一応。


 このくらい、いいでしょ?


 誰にも迷惑かけるわけじゃないし。

 心の中で言い訳しながら、私はOKボタンをタッチした。

 彼にも、彼女にも言えない秘密。

 ほの暗い悦びが、私の胸に、ときめいた。





~土砂降り~


 柏原くんの忌引きは3日間で終わり、週半ばに登校してきた。

 朝、教室で柏原くんの姿を見つけ、私は一瞬、声を掛けるのを躊躇った。

 驚いたわけじゃない。

 今日から登校すると、昨日メッセージが来ていたから。

 大型連休と合わせて10日あまり、久々に見る彼は、今まで以上に輝いて見えた。


 ヤバイなあ……。


 1年間、あんなに避けていたのに、4月以降、毎日のように隣にいられるようになったとたん、会えないのがツラくてたまらなかったんだ。

 それを、会えないときにじゃなく、会えたとたん、まざまざと感じてしまった。


 ……こんなにも、柏原くんに会いたかったんだな、私ってば。

 何だか息苦しくて、声を掛けられない。


「あ! れ……北見さん!」

 そんな私の気持ちも知らないで、柏原くんは、全開の笑顔で話しかけてきた。

「色々ありがとな。無事帰ってきました」

「いえいえ、お疲れさま」

 何とか気持ちを鎮めて、私は慌ててカバンからルーズリーフの束を取り出した。

「これ、休んでいた間のノート。分かりづらかったらゴメン」

「おお、サンキュー! ……スゲー丁寧に書いてあるじゃん! 字、きれいだなあ」


 ……よかった、何度も書き直した甲斐があったよ。


 他愛ないお世辞でも、こんなにも嬉しい。

 そして、おみやげの雷おこしをもらい。


 冒頭のやり取りに至るのである。


 

 その日は朝から晴れていたのに、部活を終える頃になって急に雲行きが怪しくなってきた。

 電車に乗っている最中に、車窓にポツポツ雨粒か当たるのが見えた。

 やっばいなあー。

 置き傘も無かったし、雨なんて予報もなかったから、今日は傘持ってないんだ。

 家に着くまで、降らないでもらいたかったんだけど。

 駅に着くと、雨は本降りになっていた。

 家に電話すると、留守電だった。

 母親のスマホにかけても、コールがむなしく繰り返されるだけ。

 多分買い物にでも行ってるんだろう。

 店内だと、ザワザワしていて、着信が分からないと言ってたから。

 一応メッセージ送信してみたけど、既読がつかない。


「あれ? 怜子もこの電車だったんだ?」

 声をかけてきたのは、絵梨香だった。

「今日、絵梨香、早かったんだね」

「うん。バレー部が練習試合で、コート全面使うから、基礎トレだけで終わったんだ……雨、すごくなってきたね」

「ホント。どうしよう……やまないかなあ?」

「うちの人は?」

「それが、家もスマホも出なくって。既読つかない」

「じゃあ、送ってくよ。うちの母親、買い物すんだら迎えにくるっていうから、一緒に待ってよ?」

「え、悪いよ。絵梨香んち、逆方向じゃない」

「いいって。車ならスグだし。行き違うといけないから、連絡しときなよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて」


 絵梨香が連絡している間に、母親に絵梨香のお母さんに送ってもらうと送信する。

「母親オッケーだって。まだ時間かかるから、中で待ってよ?」

 普段待合室には、ほとんど人はいないけど、今日はお迎え待ちなのか、結構混雑していた。

 ベンチはいっぱいだったけど、なんとか端っこの席を確保できた。

 5月半ばといっても、こんなに雨が降っていると、肌寒い。


「お腹へったなあ……」

 不意に、絵梨香がつぶやいた。

「何で、この駅は売店もコンビニもないんだろ……」

 そう言われると、私も何だかお腹が空いてきた。


「あ、そうだ。これ、食べよっか?」

 カバンから、柏原くんにもらった雷おこしの入った袋を取り出した。

「え、何でそんなもの、持ってンの?」

「あ、おみやげにもらったから」


 誰から、とは言わず。

 ホントは、柏原くんからもらったものなら、大事にとっておきたいところだけど。

 でも、義理でもらったような、味気ないおみやげを大事にしまっておくのも、逆にむなしい気がする。

 キャアキャア言いながら食べてしまった方が、すっきりするかもしれない。


「もしかして……柏原くんから?」

 え、なんで……?

 声には出さなかったけど、絵梨香には通じたらしい。

「男バスのマネージャーが持ってきたんだ。柏原くんのおみやげを、おすそ分け、って」

 ……。

「雷おこしと、お茶の飴……静岡のお土産だからって」


 雨は、ますます激しくなってきた。

 まるで、私の気持ちに答えてるみたい。


「そっか、私のは、後で気が付いて買ったんだろうね……静岡土産ですらないし……」


 その他大勢に、とりあえず買っていくようなおみやげは、そんなもんだよね。

 でも。

 彼女のお土産だけは、きちんと静岡で買ったんだ。


 そういうもんなんだよ。


 雨宿りしてるのに、心は土砂降りの中で、雨に打たれているかのように。

 目の前が、霞んで、見えない。


「……怜子……?」


 涙が、止まらない。

 急に、まわりが暗くなる。

 絵梨香が、腕全体で、私の頭を抱えるようにして、引き寄せていた。


 優しい友達の体温を感じながら、私は、声を殺して、泣き続けた。

 散々絵梨香の服をハンカチがわりにして、何とか私の涙腺は閉じた。

 絵梨香は何も聞かず、私をトイレまで引っ張っていき、濡らしたタオルで瞼を冷やしてくれた。

 おかげで、絵梨香のお母さんが迎えに来た頃には、何とか見られる顔になっていたけど。


 

 次の日は、前日の雨雲なんてどこに行ったのかと思うくらいの快晴で。

 お昼休みには、中庭の芝生はすっかり乾いていた。

 「今日は、中庭で一緒にお昼食べよ?」

 登校してすぐ、洗濯した後、一晩かけて何とか乾かしたタオルを渡すと、絵梨香が言った。

 今年になってクラスが分かれたので、一緒にお昼を食べるのは久しぶりだった。

 お昼休みになって、お弁当片手に中庭に行くと、もう絵梨香は場所を確保していて、私を見て手を振った。

 「4時間目、カヤバァだったから、早く来れたんだ」

 時間にうるさいけど、授業もきっちり時間内で終わらせてくれる古文の加山先生は、その点で生徒に評価が高い。


「……怜子、柏原くんのこと、どう思ってる?」

 お弁当を食べ終わる頃、不意に絵梨香が聞いてきた。


 最後のプチトマトを口に入れたばかりの私は、思わず噛まずに飲み込んでしまった。

 胸を叩いたりお茶を飲んだりして、何とか胃に落とす。

 背中をさすりながら、絵梨香は続けた。


「前に、彼女がいるかもって、言ったよね」

「……うん」

バスケ部の美人マネージャー。

「付き合ってた、ってのはホントらしいんだ……中学では」

「でも……」


手を出すなって、牽制されたのは、去年の今頃だったし。


「……私の主観で言うよ? 多分、あの二人、何でもない」

「……」

「中学で一緒だった子から聞いたんだけど。文化祭かなんかのイベントでベストカップルに選ばれて。彼女も内緒にしてたのに、みたいなコメントして……何だか公認のカップル扱いされてたみたいで」

「でも、柏原くんも否定しなかったんでしょ?」

満更でもなかったんじゃ……美人だし。

「だから、彼女の方は、多分好きだと思う。でも、柏原くんは、わからない」

「でも……」


「ゴメン……怜子の気持ちに気付かなくて……ずっと、つらかったんでしょ。ずっと、好きだったんだよね……?」


 私は、コクンと、頷いた。

 昼休み終了の予鈴が鳴る。


「ともかく、気持ちを伝えるべきだよ!こんな風に苦しんでいるぐらいなら……」

 慌ててお弁当をしまいながら、絵梨香は付け加えた。


「それに、飴をお土産に選んだのも、多分、柏原くんじゃないから」

 ……?

「だって」


 ポイッと絵梨香が投げて寄越したモノ……緑色のパッケージのキャンディー。


「きっと、買ったの、お母さんか誰かだよ。それって、男の子が選ぶもんじゃないでしょ、フツー」


 手のなかで、無表情のご当地白ネコちゃんが、笑っているように見えた。



~雷鳴~


 連休明けが月曜日から始まり、今日で5日目。

 つまり、金曜日ということ。

 柏原くんと交代した週番も、今日で終わりだった。

 お昼休みに絵梨香に知らされたことで頭が一杯になり、午後の授業の中身はさっぱり分からないで終わってしまった。

 放課後、部活に行く前に2年校舎と、割り振られている特別校舎の戸締まりを確認して歩かなければいけない。

 今日は特に週末だから、課外活動で使用してない教室の施錠もすることになっていた。


 私は一人、特別校舎の入り口にいた。

 本当は二人一組で見回るんだけど。

 一緒に特別校舎を見回ることになっているクラスの週番が早退してしまったのだ。

 戸締まりだけだから、別に1人でも大丈夫なんだけど。

 人気のない校舎は、何となく、寂しい。

 おまけに、雲行きが怪しくなってきた。


 いつもより薄暗い教室の中を、私は点検して回った。

 二階の見回りを終えて、階段を降りていた、その時。



 ドカーンッ!!!



「キャアアアァァッ!!」

 物凄い地響きがして、私は思わず悲鳴を上げた。


 途端、階段の電気が消えた。

「うわっ!」

 一瞬目の前が真っ暗になって、私は足を踏み外し、階段を滑り落ちた。

 幸い後2、3段だったので、転がり落ちるようなことにはならなかったけど。

 私はそのまま、階段の踊り場にしゃがみこんだ。


「っ……!痛ッ……!」

 運悪く、足を捻ってしまったらしい。

 立ち上がろうにも、痛くて立てない。


 ゴロゴロ……。

 遠くで雷の音が聞こえる。

 さっきのは、どうやら大きな雷だったのだろう。

 近くに落ちて、おまけに停電してしまったみたいだ。


「……どうしよう」

 他のクラスの週番が探しに来てくれる可能性は低い。

 自分達の持ち場が終わったら流れ解散ということになってるし。

 週番日誌が返ってないことに気付いて、先生が探しに来てくれるとしても、まだ数時間先だろうし。

 授業中の規則でしまっておいたまま、スマホは、カバンと一緒にロッカーに入りっぱなし。


 あー、どうしよう?


 ……多分、15分くらい過ぎて。

 電気は点いたけど、相変わらず人気はない。

 聞こえてくるのは、雷の音と、激しい雨音。


 あー、よりによって校舎の一番奥の、階段の踊り場だなんて!


 まだ、階段下だったら、普通校舎より小さな特別校舎だもん、這ってでも出口に行けたけど。

 今の状態で、階段を降りるのは、怖い。

 下手すれば、今度こそ転がり落ちる羽目になる。


「もしもしー?ダレかいませんかー?」

 演劇部で鍛えた大音量で声を張り上げてみるけど、返事はない。

 誰もいない校舎なのに、思ったより声が響かない。

 雨と雷に、かき消されてしまってるみたいだ。

 私は、もう一度、もっとお腹に力を入れて、声を張り上げた。


「ダレかー!ダレか来てくださーい!」


 虚しく雨の音が響く中、私は思わず涙ぐんだ。

 あと、何時間こうしていればいいんだろう?


 その時、電気が揺らめいて、空が明るく光った。

 さっきほどではないけれど、耳をつんざくような雷鳴に、私は思わず耳をふさいだ。


「いやぁーっ! ダレか来てえぇー!」


 恐怖と孤独と痛みで、私は無我夢中で叫んでいた。


「ダレかーっ!……聡ちゃーん!」


「れーこちゃん!?」


 目の前に、聡ちゃんが、柏原くんが、いた。


 まだ部活には行ってなかったのか、制服の上にバスケ部のジャージを着ている。

「大丈夫?」

 いたわるような、優しい笑顔を見て、私は思わず泣き出してしまった。


「れーこちゃん?……大丈夫だよ。よかった、見つかって……」

 ふわっと、柏原くんが、頭を撫でてくれた。

「この天気なのに、れーこちゃんが帰って来ないから……よかった」

「聡ちゃ……柏原くんが、どうして?」

「休んでいた時の授業で、どうしても確認したい部分があって。昼休み、聞き損ねたから、教室で待ってたんだ。だけど、帰って来ないから……メッセージも既読つかないし、おまけに、この天気だし……」


 その時、三再みたび雷鳴が轟く。

「やだあぁあ!」

「……やっぱり、今でも、苦手なんだ、雷」

 思わず抱きついてしまった私を、柏原くんは、ギュッと抱き締めた。


「雷おこしは好きなくせに、雷は嫌いなんだよね。れーこちゃんは」


 そのあと。

 私が足を捻挫しているのが分かると、柏原くんは……!


「ちょ……! や、やめてよ……!」


 ひょいっと、私を抱き上げた!

 お、お姫様抱っこ……!


「立ち上がるのも痛くてダメな人が、文句言わない!」

「だって! 私! 重いし!」

「大丈夫! 俺、もうれーこちゃんよりずっとでかいんだぜ?」

「でも! こんな……誰かに見られたら……恥ずかしいよ」

「……じゃあ、おんぶ?」

「……う……うん」

 まだその方が、恥ずかしくない、かな。

 足が痛くて立てないので、膝立ちして、私は柏原くんの背におぶさった。


「……なるほど。こっちの方が、俺もいいかも……」

「え?」

「あ、ううん。何でもない。他に痛いところはない?」

「大丈夫……」


 あったかい……。

 柏原くんの背中。がっしりとして、安定感があって。


 ……って、これって、さらに密着してる!?

 私は思わずのぞけってしまった。


「こら!バランス崩すから、しっかりはり付いて!」

 柏原くんに注意され、私はおずおずしがみついた。


「かし……聡ちゃん」

「なあに、れーこちゃん」

 昔と変わらない口調で、声だけが低くなって。


「好き」


 一瞬、柏原くんの動きが止まった。


「……って言ったら、困るよね」


 柏原くんの動きが、完全に止まった。


「困る」


 はっきり、そう聞こえた。

 ……だよね。


「今の状況で、言うなよ……顔も見えないじゃん」

「……?」


 再び、柏原くんは歩き出す。

「もう一回、顔見て言って……っつーか、何で先言っちゃうかなー」

「何でって……つい」

「俺の計画台無しー」

「計画?」

「だって、1年生の時は、俺のこと避けてたろ?」

「え! 何で……?」

「だって、会うたび逃げられてりゃ、分かるよ。何とか話す機会を狙っていて、1年過ぎちゃったけどなあ……やっと同じクラスになったのに、微妙に気まずいし」


 怒ったような柏原くんの口調に、私は無言で答える。

「ばあちゃんが亡くなった時、不謹慎だけど、チャンス! と思ってさ。冠婚葬祭に関することなら、無理な頼まれごとも許されるかなーと。思い切って電話してさ」


 ……その点については、私もちょっと不謹慎でした。

 おばあさまのご不幸より、連絡もらったことの方を喜んでました!

 ゴメンなさい!



 保健室の入り口で、柏原君が……聡ちゃんが、止まる。


「ずっと、好きだから」


 顔は見えなかったけど、耳が真っ赤に染まっていた。



~成就~


 保健室は誰もいなくて、聡ちゃんが手当てをしてくれた。

 保健室の端にあるスツールに腰かけると、聡ちゃんは、かがみこんで足首にシップを貼ってくれた。

 スカートから足が見えそう恥ずかしがっていたら、ジャンバー脱いで貸してくれたので、膝に掛けた。

 ふわっと、さっきまで感じていた聡ちゃんの汗のにおいが広がって、おんぶされていた時のことを思い出して、また恥ずかしくなった。

 そんな気持ちを紛らわせたくて、つい、包帯を巻いている聡ちゃんに聞いてしまった。


「聡ちゃん、彼女いるんだよね?」

「いないよ」

「でも、マネージャーさんが」

「マネジとは、何でもないよ。何か、中学の時、噂と言うか、公認みたいに言われて、でも同じ部活だし、下手なこと言うと気まずいから……何もなければそのうち忘れられるだろうって、ノーコメントでいただけ」

「でも、彼女、私には付き合ってる、って言ったんだよ」


「入学式でれーこちゃんに会えて、俺、彼女に言ったんだよ。ずっと好きだった子と再会できたから、もう誤解を招くようなことは言わないでほしいって。……考えたら、それが彼女を傷つけたんかもな。……れーこちゃんも」

「え、私は……」


ひとりで勝手に、落ち込んでただけで……聡ちゃんのせいじゃないし。


「でも、いつも困った顔してたじゃないか。おみやげ渡した時だって……」

「あれは……何て言うか、ちょっとした気持ちの行き違いというか……」

「何?」


「……だから、何で静岡行った人が、東京みやげを買うかなーって……」


「静岡のものがよかったの?」

「じゃなくて! ……例えどんなものでも、私の為に買って欲しかったの! ついでじゃなくて」

「……一応、れーこちゃんの為に買ったつもりだったんだけど。部活のはついでに。静岡のは、母さんに持たされただけで」

「……分かってるよ。今は」


 おみやげは雷おこし! っていう私の言葉に従ったんだよね……。


「……あれは、大事な思い出だったから」

 包帯を巻終えて、テープで止めてくれる。

「修学旅行で二人きりで食べて、二人で同じもの買って……それが、とっても美味しかったから……思い出して欲しかったんだ」


 ジッと、私を見上げる聡ちゃんの顔。

 久々に、聡ちゃんの顔を見下ろした気がする。

「何だか懐かしいな……昔はこうやって、聡ちゃん見下ろしていたのに」

「今は、逆だけどね」

 スクッと立ち上がり、私のオデコを指でつつく。


「ねえ、れーこちゃん。もし、俺がれーこちゃんより背が低いままだったら、好きにならなかった?」

「……難しい質問だなあ」


 でも。


「……私、彼女がいる人なんか、絶対好きになりたくなかった……」

「だから、それは」

「うん、誤解だった……でも、それが分かる前から、私、好きになっていた。彼女がいる聡ちゃんを……だから、背の低い聡ちゃんでも、好きになったかもね」


 聡ちゃんが、聡ちゃんである限り、好きだから……。


「れーこちゃん、歩けそう?俺、送っていくよ」

「大丈夫。お母さんに迎えに来てもらうから……聡ちゃん、部活、大遅刻じゃない」

「うゎ、忘れてた!……っていうか、れーこちゃんは?」

「……私も忘れてた……」


 二人で顔を見合わせて。



「「……このままバックレちゃおっか?」」



 ……そのあと、二人はどうしたかと言うのは、まあ、ナイショということで。



 とりあえず、ハッピーエンドでした、みたいな?


 てへ。



 おしまい。

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