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命より大切なもの  作者: ラリックマ
幼少期編
9/14

面倒ごと

「は? いやいや、おとなしく先生と組んでろよ……」


「嫌だね」


 アルクは私の前に、両手を横に広げて立ちはだかる。


「そもそも、どうして俺があぶれる必要がある? お前が先生と組んどけよ」


「はぁ……。もういいからどいてくれ」


 私はアルクの言葉に耳を傾けず、無理やりどかそうとすると……。


「負けてたまるか--ッ!」


 アルクは、握力1、3のひ弱な肉体で私にタックルをかましてきた。そんなことをされると思わなかった私は、咄嗟(とっさ)に後ろへ避けるが足を絡ませて尻もちをついてしまった。


「いって……。何すんだ!?」


 地面に座りながらアルクを睨めつけると、アルクはものすごい眼光で私の方を見ながら。


「コイツは絶対にわたさねぇ!」


 そんな恥ずかしいセリフを言っていた。本当にどうしたんだコイツ……?

 そして、私たちの意味わからないやり取りを見ていたニーチは、オロオロとしている。

 どうしてこんなよくわからない状況になっているのか……。私がアルクを裏切ったからなのか……?

 どうして体育のペア決めで、こんなめんどくさいことになってるんだ……?


「はぁ……」


 私はため息をつきながら立ち上がると、尻についた砂を手でパンパンとはたき落とす。


「じゃあニーチに決めてもらおうぜ」


 私がそんな提案をすると、アルクは


「よし、それでいいぜ」


 提案に乗ってくれた。本当にバカだなコイツは……。アルクよりも私の方がニーチといる時間は長いんだから、私を選ぶに決まってるだろ……。

 私たちはニーチに前に行くと、顔をずいっと近づけて。


「「さあ! どっち?」」


 そう言いながら、ニーチに迫った。そんなことを言われたニーチは、「え、え?」と戸惑いながら、私たちの顔を交互に見ている。

 それから数秒の沈黙が流れて、ニーチは。


「や、やっぱり、私がその……先生と組んでくるね」


 そんな結論を出して、先生の方へ行ってしまった。取り残された私たちは、しばらくの間ポカーンとニーチの後ろ姿を眺めていた。

 それからハッと我にかえると、私は隣でアホ面を晒しているアルクの頭を叩いた。


「何すんだ!」


 叩かれたアルクは、涙目になりながら頭を抑えていた。


「しょうがないからペア、やってやるよ」


 そう言って、体操の準備に取り掛かった。



















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