表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命より大切なもの  作者: ラリックマ
幼少期編
7/14

転校生

 それから翌日のこと……。私たちは、いつも通り薄汚い校舎の中にある教室へと足を運んでいた。 

 いつも通りの教室だが、雰囲気は少しだけ違う。妙にクラスメイトたちがザワついている。

 

「なぁアルク、みんなどうしたんだ?」


 昨日のことをまだ怒っているのか、アルクは机に突っ伏したまま。


「転校生が来るんだとよ」


 強めの口調でそんなことを言ってきた。転校生か……。

 珍しい……というか初めてのことだ。少なくとも、私がこの校舎に来てからは初めての出来事だ。

 ここはなんの変哲も無い、ただの小さい村だ。そんなところにわざわざ引っ越してくる物好きなんて、いままでいなかった。

 

「どんなやつかな……」


 私は内心ワクワクしながら、(くだん)の転校生をまだかまだかと待ちわびていた。

 

「はーい、皆さん席に座ってくださいね」


 ガラガラと教室のドアを開けて、ルーマ先生が杖をつきながら教室の中へと入って来る。

 

「もう皆さん知っているかもしれませんが、今日は私たちの新しい仲間がこの校舎にやってきました。ほら、おいで」


 ルーマ先生が廊下の方に手招きをすると、一人の女の子が教室に入ってきた。砂埃のついた肩まである白髪に、薄汚れたシャツ、泥だらけのズボン。

 お世辞にも綺麗とはいえない服装の女の子だ。


「あ……あの、今から何をすれば……」


「じゃあ自己紹介しよっか。名前と後は……趣味とか」


 先生にそんなことを言われた女の子は、ゆっくりと教壇の前に立つと。


「え……えーと、名前はニーチ=ハルクスタと言います。趣味は……特に無いです。これからよろしくお願いします……」


 なんとも面白味のない自己紹介だった。まあ普通こんなものか……。私は椅子に背中を預けると、グデーっとやる気のない姿勢を取る。

 隣に座っているアルクも、心底どうでも良さそうな表情をしながら頬杖をついている。

 まあ、少し期待してたけどどうってことなかったな。普通の少しだけ汚い女の子が来ただけだ。

 特に興味を惹かれるものもないし、今後関わるかと言われたら関わらないと思う……。

 

「じゃあニーチにはあそこの席に座ってもらおうかな」


 転校生の自己紹介が終わると、ルーマ先生は私の左隣の席を指差した。昨日までここに席はなかったが、転校生のために新しく設置したのだろう。


「は……い。わかりました」


 ルーマ先生に指示された通りに、転校生は私の隣に置いてある席に座る。ゆっくりとした足取りで、一歩づつ。

 転校生が私の横の席に座ると、私は手を差し出して。


「よろしく、私はナリア」


 そんな挨拶をする。





















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ