命より大切なもの
荒れ狂う砂嵐。目を開けることすら困難な道のりを、真っ直ぐ進み続ける。
「ねぇ、私たちはどうして戦っているのかな……?」
隣を歩いている友人のニーチ=ハルクスタは、そんなことを聞いてくる。
「それはお前……大切なものを守るためだろ」
「でもさ、私たちは命をかけてるんだよ? 基本的に命って一番大切なものじゃん。それを犠牲にしてまで、私たちは何を守ってるのかな?」
そんなもっとなことを、ニーチは言ってくる。
「確かに、一般的価値基準にしたら、命は一番大切だよ」
「じゃあなんで……」
埃のついた綺麗な白髪をなびかせながら、ニーチは俯く。そんなニーチに、私は遠くに見える敵兵の姿を視認しつつ。
「でもさ、その命を犠牲にしてでも守りたいって思うものが、世の中にはあるんだよ……」
「うーん……そうかな……?」
私の言葉に納得できずにいるニーチは、訝しげな顔をしている。
「ほら、雑談なんかしている暇なんかないぞ。結局、理由があろうがなかろうが、私たちは戦わなくてはならないんだから……」
ニーチにそう言うと、私は鞘から剣を抜く。
「こんな無意味な戦争を、早く終わらせるために……」
そう言いながら、誰よりも早く敵兵の元に突撃した。