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6:イカしか現代文明の結晶を紹介するぜ!その2

持ち込んできた…。

というよりも僕と一緒に巻き込まれてタイムスリップしてきたモノの一覧を紫苑さんは雪ちゃんに書かせるように命じた。

すぐにメモ帳っぽい紙の束を取り出して筆に墨を付けて書き始める。

僕も勿論協力しました。

ハイ。

特に英語だったりするものがあるので、無理せずにカタカナで書きやすい読み方に直したりしました。

ではどんなモノを持ち込んでしまったのか…。

早速整理して順にみていくとしよう。


まず車。

JIMS-1500Tb。

軽自動車モデルを一回り大きくしたサイズアップ版の四輪駆動車(4WD)だ。

これは僕の大学への入学祝いで両親が購入してくれたものだ。

維持費とか燃費を考えたら軽自動車でもいいかなって思ったんだが…。

こればかりは両親が猛反発したんだ。


『佑志ちゃん!軽自動車は乗りやすいかもしれないけど、免許取り立ては頑丈な車がいいわよ!』

『そうだぞ佑志!軽自動車は耐久性が無いからすぐに壊れるからな。車に乗り始めたら耐久性のあるものにしなさい!』


両親は車をぶつけても生き残れるように耐久性のある車にしろと口うるさく言ってきた。

その結果、前から欲しかったJIM-660ではなく、それよりも一回り大きいJIMS-1500Tbを買ってもらったというわけ。

確かに乗り心地は軽自動車版よりもいいし、なにより排気量とトルクも倍以上あるから走りはキビキビ動く。

ただ、パワーを得た分、燃費は悪くなっている。

おまけにターボモデルだからリッター14km前後だ。

ターボエンジンの中では燃費は良い方らしいけど、それでも軽自動車と比べたら燃費は消費する。


ずんぐりむっくりしたボディー。

悪路やオフロードでも走破できるように設計されているのでこの時代の道路でも走れるとは思うが…。

60キロ以上出すのはやめておいたほうがよいかもしれない…。

そもそもコンクリート道路なんてものは無いしね…。

キャンプに入る直前に燃料メーターが点滅していたのでガソリンスタンドに駆け込んでガソリンを満タンにしたから400キロぐらいは走れるだろう。


次に生活必需品として活用されている簡易ガスコンロセットだ。

昨日はこれでコンビーフを焼いてカップラーメンのお湯を沸かすのに使った。

ガス缶は新しいものにしてあるので数回分ぐらいは使える。

まぁ…ガスに関しては新規品が入手できないので、限られた用品といえるだろう。

それよりも価値のある物は缶詰と酒の類だろうか……。

特に酒は価値のある代物だ。

古代から酒と金と女にばかり溺れる奴は失墜すると言われているぐらい罪深い飲み物だ。


失恋のショックを和らげるために購入したウォッカにジン、それにウイスキーなど10品目の酒を用意してきた。

勿論、全部瓶入りだ!

炭酸水もレモン風味やライム風味など20本ちかく持ってきている。

全てクーラーボックスにぶち込んでいるのでひんやりとしている。

晩酌には自信があるんですよ。

ええ、もう入手できなくなっていると思いますがね。


このうちコーラ缶は消費してしまっているので、割ってチューハイとして飲むものとしてはサイダー・レモン・オレンジジュースがある。

まぁ、このうちのどれかは信忠さんへの贈り物としてあげたほうがいいでしょう。

ちなみにこの時代には日本酒しかない!

日本酒は甘ったるいので僕的にはあまり好きじゃない。

でもこの時代には日本酒しかないので、今後日本酒を飲む機会が増えるだろう。

うーん、献上品はウイスキーでいいかな?


あと缶詰だけど…。

保存食であれば漬物がある。

奈良漬けなどはこの時代でも十分に存在している。

この牛肉をミンチ状にして保存したコンビーフなどは価値はあるけど、多額のコストを投資して開発するにはかなりリスキーなものになる。

個人的には瓶詰でも大丈夫かなとおもったが…。

生憎瓶詰に関しては堺や下関あたりでないと入手は難しいようだ。

どうも話を聞いてみると今は戦国時代らしい。

江戸時代かなとは思ったけど、雪ちゃんや紫苑さんの話を聞いてみると戦国時代の真っ只中に立たされているという。


「素晴らしい代物ですね…これでしたら堺の金物屋で作れるかもしれませんね!紫苑様!」


「もし平時であれば缶詰も製造はできるかもしれませんが…今は戦乱の世ですから難しいかもしれませんね…」


「えっ?!今は戦国時代なのですか!?」


「そうですよ佑志様!私達が使えている信濃小笠原家も信濃府中の一帯を守護する大名なのです。室町幕府から統治を委任されています…」


「つまり信忠様は現代で例えるなら県知事に警察権を持たせているようなものなのですかね?」


「現代からしたらその例えでほぼ間違いないですね…戦国大名などはそうした室町幕府の指揮下を離れて独自で勢力を伸ばしている者たちです…現在信濃小笠原家は諏訪氏と木曽氏…そして越後の上杉家と共に甲斐の武田家や今川家などの武蔵連合国との戦いが続いているのですよ」


日本各地に国境線があって行き来が難しい時代だ。

おまけにここ信州には海がない。

海なし長野県故に港を設けて海洋貿易をしようにも出来ない。

諏訪湖は湖だけど漁業協同組合があったはず。

それは現代の話だから関係ないか…。

消耗品はよくて一か月で底を尽きるだろう。

車の燃料も有機物だから放置していれば腐ってしまう。

動かせるのは持って一年ぐらいかなぁ…。

うーん、現代の文明の本領発揮ができるのは僅かかもしれない。


さて、あと紹介するのはパソコンと太陽光パネルぐらいか。

そう思い車の助手席のダッシュボードを見てみると、恐らくこの時代で最も役に立つ代物が出てきてしまった。

うん、これはこの時代の軍人が最も欲しがるものだろう。

紫苑さんにその代物を見せると、飛んで喜んでいた。

反応からしてやはり必要不可欠な代物のようだ。

ちなみに何を渡したのか気になる人に教えると…。


「やった!やったわ!これで軍議が捗りますよぉぉぉ!!!」


「し、紫苑様!ど、どうしたんですか?いきなり大声を出して…」


「雪ちゃん!喜びなさい!佑志さんは各国の『地図』を持ってきたのですよ!それも細かく描かれたものを!!!これがあれば作戦などを立てやすくなりますわ!!!」


僕が渡したのはカーナビが壊れたときにダッシュボードの中にしまい込んでいた『日本地図』である。

地図は昔は最高軍事機密の代物だったという話を聞いた事がある。

元々内務省の一部機関であった国交省は各国の地図を収集していたともされており、昔から地図というものは精確であればあるほど価値がデカかったはずだ。

…であれば、この地図は必要不可欠だろう。

GPSが使えない現在、この日本地図は一攫千金の価値がある黄金になったのかもしれない。

というか紫苑さんの歓喜っぷりが半端ない。

その歓喜の様子を見ると、紫苑さんも女の子なんだなぁと思いました。

ハイ。

クロスボウの紹介をしようと思ったけど、時間の関係で今回はパスになりそうだ。

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