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10:OTAKUの本領

「佑志さん!この武器は一体なんですか?!それとこの携帯兵器に関する書物は…」



「これは友人から譲り受けたものですよ。キャンプ場には熊が出るという話を聞いていたものですから護身用にとクロスボウのほうは友人のお古で貰ったのです。たしか本来であれば18万円ぐらいする代物だったそうですが…えっと、何かまずかったですかね?」



「いえ、その…これらは根本的にこの時代の戦の概念を崩してしまう恐れのあるものですので、こちらで厳重に管理してもよろしいでしょうか?」



「ええ、それは構いませんが…クロスボウのほうはこちらの時代の弓矢よりも精確に狙撃できる代物だと思いますよ」



「クロスボウですか…ちなみにこのクロスボウの詳細な情報は分かりますでしょうか?」



「ええ、そのクロスボウの正式名称はTAC-15G…軍用のM4ライフルのロアー部分を流用して作られた高威力かつ強力な弦に張り替えたモデルです。200ポンドもあり専用の弦引き機もついているので精確な射撃に適しています。競技用や狩猟用にも使える代物です。このTAC-15Gの有効射程は精確に狙える射程距離としては100メートルぐらいですかね」



「なんと…それほどまでに凄まじいものなのですか…弓矢は300メートルとも言われていますが、あれは合戦において密集している敵目掛けて当てる物…精確に狙撃できるのであれば鉄砲よりも強いのかもしれませんね」



TAC-15Gに関しては友人のほうが詳しかったが、軍用兵器全般に関しては現代戦略ゲームなどを通じて知っていたので、それなりには詳しかった。

にわかというわけではないが、この時代の鉄砲は至近距離で撃たれた場合は現代の軍用銃よりも高威力であったという検証結果がその『大物動画配信者と学ぶ携帯兵器図鑑』に載っている。



しかし、現代の軍用銃は薬莢に火薬を詰めて雷管と呼ばれる装置に着火して弾丸を発射する仕組みになっており、この時代ではまだ開発すらされていない。

僕もそうした雷管の仕組みに関してはさっぱりであり、異世界チート能力でも持っていればそういったことは可能なのかもしれない。



火縄銃は戦国時代における戦のやり方を変えたが、同時に火縄銃はハイコストな武器であったという。

鉄砲も種子島に伝わってから堺などの都市部で生産されていたが、値段も高い上に訓練しなければ使えないという代物だ。

おまけに、種火を使って発射するので湿気に弱く、3から5発ほど撃ってしまうと銃身に発射起爆剤の一部として使われていた硫黄がこびりついてしまい、使用不可になってしまう。



鉄砲万能論というものもあったが、実際その図鑑では戦国時代に活躍したのは弓矢であったという記録も残されているそうだ。

戦国時代における兵士の死傷原因の約3割近くが弓矢による攻撃が原因だったらしい。

おまけに、矢の先端に糞を塗りつけて傷を負わせることで破傷風などを引き起こして行動を不能にしていたとか…。


とにかく。

鉄砲よりも安価でかつ高威力である弓矢、そしてもちこんだTAC-15Gのような高威力の精確射撃に適している武器であればこの時代の武人でも扱いやすいだろう。

それをみた紫苑さんは僕にクロスボウと新兵器開発が出来ないかと尋ねた。



「佑志さん、クロスボウやそれ以外の攻城兵器を作ることは可能でしょうか?」



「3D演算ソフトやシミュレーションソフトがこのノートパソコンに入っているので不可能ではありません。クロスボウであればすでに現物がここにあるので大まかな設計図をつくれますし、攻城兵器でよければいくつか案もありますので可能ですよ」



「…では、お願いしてもよろしいでしょうか?」



「ええ、任せてください。」



こうして、新兵器とクロスボウの量産化を目的とした大命を紫苑さんから直々に任されたのであった。




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