王子とお手紙
『 ライル殿下お元気ですか。
私はいつもより大きな岩を砕くぐらい元気です。
この前のナーミア様とカリオルト侯爵様の結婚式は、凄く感動しました。
ナーミア様がすごく綺麗で嬉しそうで、私まで泣きそうでした。
コルマは泣いていました。
バレないようにしていたので、私が言ったことは内緒でお願いします。
それではまた御機嫌よう。 アリアより 』
『 りんご女へ
元気でよかったな。
手紙は目の前で話すよりもかんたんかとおもっていたがそんなことなかった。
下手だけどお前は読む、ぎむがあるからな。
ちゃんと読めよ。
そしてまた返事かえせよ。
やくそくだぞ。
ぜったいだからな、やぶったらジュースかけてやるからな。 ライル様より 』
『 アリア嬢へ
冬が近づいて来たけど体を冷やさないようにね。
君、ライルに変なこと吹き込んでないよね。
ライルが拳を鍛えるとか、岩がどうたらとか最近言ってるんだけど。
ライルは純粋で素直だから信じやすいんだ。
そこが良いところなんだけどね。
この前なんか私が
『 私は生まれてくる前に神様にライルと双子にして下さいって頼んだんだよ 』って言ったら 、
『 へへへ、俺様もだぜ 』って笑ったんだよ。
あり得るかい、可愛すぎるよね。
そういうことだからよろしくね。
賢い君ならわかるよね。
尚、私に返信はしなくていいよ。 カイルより 』
『 ライル殿下お元気ですか。
この前の “ 岩を砕く ” というのはあくまで比喩表現です。
本当に砕くわけではありません。
私のように小さなか弱い女の子が岩を砕くなんてあり得ませんから。
私は今、淑女になるための訓練をうけています。
あと、辺境伯領では王都から遠いので乗馬が出来なくてはいけないらしいんですが、走った方が速いのにおかしいですよね。 アリアより 』
『 りんご女へ
ひゆだったのか本気にしたぞ。
おれ様は、馬にのれるぞ。
まだ、小さいやつだけどな。
もう少しで大きいやつにのりたい。
馬は走ったら速いぞ。
歩いてる馬ときょう走したのか。
大人でも走ってる馬にはかてないとおもうぞ。
もっと成長したらみんなで馬で出かけたいな。
りんご女もいっしょに行かせてやってもいいぞ。
じゃあ、またな。
おなか出してねるなよ。 ライル様より 』
『 アリア嬢へ
寒さが厳しくなってきたね。
ところでこの間、比喩ってなんだとか、馬より速い人はいるのかとかライルに質問されたよ。
誰の影響だろうね。
でもいいんだ、私はライルに質問されるのが大好きだからね。
ライルは私が帝王学を学んでいる間に法学や歴史学、剣術などを学んでいるんだ。
将来、私が王になったら支えてくれるんだって。
嬉しいよね。
思わず、抱きしめてしまうのも仕方がないよ。
尚、この手紙は読んだら燃やしてね第一王子派に見られたら嫌だし、よろしくね。 カイルより 』
───ペラッ⋯⋯
私は自室の机でカイル殿下からの手紙を読みながら思った。
「 この人、弟自慢したいだけだな⋯⋯ 」
そうしてまた、ライル殿下に返事を書く私であった。
読んで頂きありがとうございます。
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